23.224番 コトプロ書店さん
コトプロ書店さんは自費出版の同人誌を売っておられる。
『東京近郊、日帰り山行 手描き香盤集』
「900部刷っちゃったんですよねぇ。文学フリマとか神保町のブックイベントでも売っているけれど、余っちゃって。だから棚を借りて在庫減らそうかなって」
ハイキング、山歩き……登山ほど重装備はいらず、気軽に楽しめるレジャーとしても人気だ。
何時に出発してどこそこを経由して……と、手描きの行程表を『香盤』と呼び、写真や図も使って、実際に山に登った気になる。
山歩きを楽しむ人は多いのか、ちょくちょく売れている。
あとは一緒に置かれている、ご友人のZINEも評判がいい。
【カフェ・バクダッド】
『中東カフェを旅する』
行きたくても行けないようなカフェ。写真入りで1店1店紹介されている。大昔、コーヒーは薬として扱われていた。布製のひさしの下、濃いぃ面々がカップを手に水たばこをくゆらせ、レンズに目を向けている。
『日本で食べられる中東料理ガイドブック』
こちらは第二版ができたばかりだ。
『この広い世界を知るための10皿 西部アフリカ篇』
西部アフリカ料理を食べられる、都内の店を紹介している。
どれも一般書店では買えず、内容は特殊でおもしろい本だから、入荷してもすぐ売り切れるため注意してほしい。
224番のコトプロ書店さんは、221番の粉雪書店と入店時期も近く、出店準備や店番、棚のチェックでちょくちょく顔を合わせた。
もとはテレビ局のお仕事をされていたという。
「ロケの連絡って送ってもみんな忘れちゃうから、当日ペーパー1枚に手描きした行程表を配るんです。わかりやすいって評判で。山歩きも趣味で続けてて同じように作ったんですよ。それがこの香盤表のもとになってて」
「あ、なるほど。けっこう売れてますよ」
老若男女問わず、香盤表に興味を示す方はいて、じっくりご覧になってから購入される。休日はコトプロ書店さんの香盤表を手に、山に行かれるのかもしれない。
「それでね、粉雪さん」
コトプロ書店さんは、渋谷〇〇書店のカウンターに、ぐいっと身を乗りだした。
「実は『山と渓谷社』の編集長に連絡とって、この香盤表持って会いに行ったんですよ。最初はね、相手してくれるかなぁなんて思ったんですけど。連絡してみたら、会ってくれることになって!」
「おお!」
「こういうの他にないし。それに『香盤』って言葉を『断捨離』みたいに定着させたいんですよ。もとは香道の言葉が、歌舞伎で使われるようになって、それから映画や芸能の世界で普及したんです」
「いいですね!」
その先は私も、ここに書いていいかわからないので、ご興味のある方はコトプロ書店さんに直接たずねられるといい。
渋谷〇〇書店は、ちょっと面白いことをやっている人たちが集まる本屋でもある。









