22.65番 木蓮舎書店さん
木蓮舎書店さんの棚主さんは、あわやまりさんという詩人さんで、ご自分の詩集や影響を受けた本などを置いておられる。
ご本人もおっとりした、物静かな方だ。
「新しい詩集を作るのに、だいぶ間が空いてしまって」
単語ひとつの重みや響きが、ほかの方とは違うのだろう、ゆっくりと言葉を選ぶように話される。
穏やかながら、コツコツと詩作を続ける、芯の強さも感じられる。
なんとなく、すっくと立つ白い鷺草の花のような方だと思った。
三行詩の詩集は人気で、続きを心待ちにされていた方も多く、店頭で見つけてまとめ買いされるお客さんもおられる。
今こそは言葉や文字列、文章が量産される時代だ。人が必死に頭を使わなくても、AIが瞬時に長文を吐き出してくれる。
だからこそ人の手で紡がれる、シンプルな詩集を求める人は多いのかもしれない。
このあいだは年配のマダムが、「ちょっと読んでみたいわ」と、木蓮舎さんが出品されていた古書を買っていかれた。
棚主さんのセンスに感じるものがあったのだろうけど、実はその本を棚から引っ張りだして、ディスプレイ棚に置いたのは私だ。
古書の相場までは知らないけれど、本については目利きだと思う。
いろんな棚のホコリを払いながら、いいなと思う本を見つけたら、引っ張りだしてお客さんの目につく場所にそっとおく。
そうすることで、お客さんには棚も見てもらえる。
早ければその日に、そうでなくとも次にきたときに売れている事が多い。
そして棚主さんのBOXに目をやれば、また本がそっと補充されていて、こちらもテンションが上がる。
少しだけ人の手を加える。そうすることで、ぜんぜん違うのだ。









