3.アキラ、奮闘
あの女があんななのか?
俺が知ってるあんなは太ってる脂ギッシュな女だ。そう、婚約破棄をしたくなるような。
俺は自分の姿をガラス越しに見た。
……太っている。
こんな俺に婚約者が一人もいないのは当たり前だよな。
あんなの成功にも腹が立った。俺からの慰謝料を元手に始めた事業で大当たり。
何が腹立つって‘俺からの慰謝料を元手に’ってところだ。
俺は本気でダイエットをした。
食事を抜くような不健康なダイエットではなく、健康的に運動をしまくった。
結果、6パックの腹筋も手に入れた。癪に触るが肌のキメなんかをキープするためにあんなが開発した基礎化粧品を利用させてもらった。
そんな状態で再び社交界に俺は返り咲いた。
目的は……あんなと再び婚約するため。
だというのに……。
「最近西条グループのご令嬢が北方コンツェルンのご令息と婚約したらしいわよ」
「西条グループってIT関連が弱いから北方コンツェルンと政略結婚かしら?」
「そうではなくて、互いに一目惚れみたいよ?なんだかこの間のパーティーで出会ったのがきっかけとか?」
……なんだよ。俺の苦労を無に帰す気か?
「北方コンツェルンのご令息って……結構お歳を召していなかったかしら?」
「見た目と実年齢が異なるタイプなんじゃないかしら?」
……どういうことだ??
どういう事でしょうね?