第一話:私の厄災
『ジリリリリリ!』
アラームの音で目を覚ました。
「はあ、またこの夢か...」
私の名前は、篠原恵美。名前とは裏腹に、不幸を呼ぶ高校二年生。
「不幸を呼ぶ」というのは、例えば、行事をバッドエンドで終わらせること。
私のクラスだけ、勝手にそうなる。こうなる理由も、私は知っている。
篠原家では、幸を運ぶ者と不幸を運ぶ者が順番に生まれてくる。
ただそれだけ。異能力を信じる、信じないはどうでもよかった。
”不幸の代”だったおばあちゃんは交通事故で死んだ。52歳だった。
その前の”不幸の代”だったひいひいおじいちゃんは、40歳のときに強盗殺人に遭って殺された。(戦時中のためか、記録は曖昧だったらしい)”幸の代”であるひいおばあちゃんとお母さんは今日も元気にやっている。
しかも、ひいおばあちゃんは今年で84歳になる。
もう十分だった。この能力はとっくのとうに証明されているから。
”不幸の代”に生まれた人は、人生のあらゆることにおいて、成功しづらい。
学校行事、受験、就職、仕事、恋愛を始めた日常生活はどれも満足な結果にはならない。
なぜか勉強だけは例外らしく、”不幸の代”で全国模試の八十三位を取った人も過去にはいたらしい。頭が良くなければ生きていけないし、そこは神様も認めてくれたんだろう、と私は勝手に思っている。それでも、走ったら高確率で転ぶし、レジでは財布を落とす。所持品はすぐに壊れるし、運動能力にも恵まれない。他の人に比べて老化も早い。そして、記録に残っている”不幸の代”の人の死因は事故か事件、それか自殺のどれか。しかも、不幸の影響は自分だけには収まらず、関わる人全てに、自らの身を守るために不幸をばらまく。ある人は、自分の影響で先輩の受験を失敗に終わらせてしまい、屋上から飛び降り自殺したそうだ。
それに、私はこの能力(厄災)の効果をここ数年より強く感じている。
実際去年もそうだった。運動会三位、合唱コン賞なし、文化祭失敗。全部、私のせいだった。
正直なところ、学校は行きたくなかったし、できれば人との関わりはあまり持ちたくなかった。この高校を受けたときだって事件が起きた。あのときのことは、今も鮮明に覚えている。
二年前のあの日、私は仲の良かった友達と二人で同じ高校を受けた。
もちろん合格発表も一緒に行った。
それが、この夢だった。ここ二ヶ月、またよくこの夢を見るようになった。
やはり彼女は私のことを恨んでいるのだろうか...。
そんな事を考えながら登校していると、後ろに強い衝撃が。
「おっはよ〜!」
「痛いってば。おはよ、美菜」
「えへへ、ごめんごめーん」
「もう」
「それでさー聞いてよ、昨日ねー...」
彼女とは二年生でクラスが同じになった。
初めは人との関わりを避けるために友達を作る予定はなかった。
けれど、休み時間に一人で本を読んでいる時、話しかけてきたのが彼女だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
まだまだ初心者ですが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
よければ、感想お待ちしています。