1話 無関心
この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません
故郷を追われ故郷を追う人々、夢見る人は夢のなかで赤い老人による助言に従いひたすら人々を従えひたすら歩き続けた。
途中いくたびも夢見る人たちを迷わせようと夢を食べる魔物、夢見る人たちは「サク」と呼んでいたものが様々なものに、時には手をもつ大蛇に、時には何万もの双頭の大鷲に、時には彼らが追われた故郷にその身を変えて夢見る人たちを時には襲い、時には恫喝し、時には誘惑もした。
「サク」により夢見る人たちはいくたびも身に傷を増やし、心を折られていった、しかし夢見る人は赤い老人の助言に従い何度も夢見る人に従う人々を救っていった。
ついに彼らは地の果てにたどり着いた。しかし夢見る人はさらに進もうとした。
だが目の前には限りなき海、疲れ果てた従う人々、もう夢見る人意外は動けなかった。
そこで夢見る人は従う人々を一人ずつ背負い海を渡って行った。
ついに最後の一人を渡し終えたとき、夢見る人は彼らに伝えた。
「・・・・・」
「ぎゃっ」
大声と共に倒れる机、集まる視線、そして。
「何やってんだ!」
教師の怒号。
「す、すいません穴があったら入りたいです」
「じゃあ穴に入る前にこれ答えろ余裕だろ?」
「そんなのお決まりじゃないですか、無理です。」
「じゃあこの範囲次テストな、できなきゃ再テストだからな、お決まりだろ?」
「・・・・はい」鬼め。
周りから殺人光線を受けながら授業は終わった。
それにしてもあの夢はなんだったのか、いい迷惑だ。
「お~い道子ちゃん」
この最悪な名前を呼ぶやつはわかっている。
私は振り向きざまに憎悪の一撃を突き出す。私の拳は見事にやつのみぞおちをとらえ。やつは無様に崩れ落ちてうずくまった、はず。
「ヒーックククヒーックク」
やつは勝利の気分を味わっているようで、奇妙な笑い声を出してしゃあしゃあと立っている。
しかし手ごたえはあったはずだ、恐る恐る下を見ると。
「ひっ」
うずくまっているのはやつではなく北郷 大理という最近転校して来た罪なき善人である。
「ごめん」
「いいって、いいって」とうめき声を出しながらも言ってくれた。さすが善人。
「さすが」とニコニコ顔のやつ。
「真我部、お前身代わりなんて卑怯だろ!」
「ばかやろうそれは手前のミスだ、お前が悪い!」
「よし歯食いしばれ!」
再び憎悪の一片を突き刺す。
「がって」
教室の窓際までふっとんだ、北郷。
「ごめん、北郷」
「いいって、いいって。お、それよりまた来てるよ新しい疎開者」
「また?」窓から見ると確かに正門から校舎内に入ってくる10人ほどの集団彼らの顔はいちいち疲れていて遠足気分のやつは一人としていない彼らは難民と大して変わらない、そう私たちも。
「これで今月で3度目か、境界線では激しくなってんのかな?」と真我部はあんまり興味もなさそうに言った。
そうだろうもう珍しくもない景色だ。
いつだろうかこんなになんも感じなくなったのは昔はどんなちゃちな映画でも泣けたのに。
初投稿です。悪いのは覚悟のうえなのでよろしくお願いします。