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068 ダンジョンバスターどこいった?それどころじゃねえ


 日差しが強くなってきた今日この頃なのにブレストプレートやフルプレートアーマーを付けて汗だくになっている探索者達が多くみられた



「こんな暑いのにあんな鉄板付けてて大丈夫なの?」

「サイズあってなくてブカブカな人が多いよね」

「あれはあえて大きいサイズを着て鎧の下に涼しい何かを入れるためだ」

「モーちゃん、あそこに何を入れるの?」

「短時間なら氷とか水を掛けたりくらいでいいけど長時間なら何らかの魔道具だ

 安いのはブカブカのプレートに穴を開けて動いたときに風が通りやすくするものでいっちょ前に稼ぎがあればプレートの中に波打った薄い軽銀の板が仕込まれてて風を送る魔道具で中に風を通すと冷やせるもにがある、一番高級なものは魔石を砕いて粉にしたのを線維に絡ませておいて汗が滲んだ時に冷える魔法陣を刻んでおいたりだな」

「手間暇掛ければ掛かるだけ金がかかるわけだ〜」

「金などいくらあっても命には替えられないのだよ」

「ほんとね〜」



 神殿の近くで狼と戦っていた女の子は胸を保護するブレストプレートのアンダーの部分に細かく穴が空いており狼の爪が引っかかり狼の膂力で上半身をグラングランに振り回されていた



「あぁいう風になると力の劣る人間には難しい

 もう少し膝を上手く使って自然といなす技術がなければ攻撃に移れない」

「なるほどねぇ」


「やめ!とっめ、ま!ゔぇ、おええええええ」

「ギャン!おゔぇええええ」



 女の子の嘔吐は狼の口の中にダイレクトインで連鎖、狼が落ち着いたところをすかさず顔色が悪い状態のまま短槍で腹を貫いた



「単純に口がクセェ」



 女の子は狼の口が臭いことで動きが鈍り揺らされて堪らずキラキラさせたのだ



「あの娘のスキルが凄い!」

「キョンちゃんのテンションが珍しく高いね」

「『看破』の結果が聞きたくないのかい?」

「アネゴ、きかせてくだせぇ」

「ならば、よぉぉぉぉおおくきけぇ!『象鼻』です」

「えええええええ!?なにそれ」

「象って言う種類の動物がいて、それがめっちゃ鼻が良いのよ

 嗅ぎ分けが半端じゃなく鋭いの、それと同じくらいの嗅覚ってこと」

「要するに狼の口は超臭いってことね」

「そうなるわ」



 女の子のブレストプレートの膨らみの形は実際より大きくスカスカで女神ちゃんには影が見えてしまった



「あの子、胸に隙間空けて風通ししているわ」

「それは見栄も含んでいると考えられる」

「んーとなんで?」

「男は単純で顔・胸・尻・腰・足とみて興奮する生き物だからだ」

「テンプテーションの魔法を胸に掛けなくても効果を広範囲に発揮させる防具ということ?」

「紆余曲折あって間違っているけど大まかには合ってる…かな、そんな認識でいいと思う、効果は薄いしバレたら逆効果かもしれないけどもね」

「効果範囲を拡げるリスクということね」

「うーん、まぁそれでいいかな」



 女の子は背嚢から巨大なクロスボウを取り出しフットスティラップを踏んでコッキング、ボルト(短矢)をセットして女神ちゃんに向けて構えた



「ヤバいって!バレたかも!ていうかクロスボウにしちゃでっかくない!?普通の倍はあるよ!」

「こりゃ女神ちゃんバレちゃったね、大人しく撃ち抜かれちゃいなよ」

「余計なことを言ってた酬いかもしれないな」

「えええええ!助けー」

『バッギィーン!』



 女の子は右肩にストックを当て左手で右目で照準を合わせてトリガーを弾いた


 ボルトは女神ちゃんの右こめかみをスレスレで通り抜け数十メートル離れたところを飛んでいた叫びのカラス(上空に持ち上げて落とすという極悪非道な所業を行う怪鳥001和参照)の横っ面に直撃し汚い肉片の雨を降らせた



「あの威力ヤバくない!?」

「女神ちゃん、次は私を侮辱したお前だ!と言わんばかりに睨んでるよ」

「こっわ!」

「コッキングするのにどのくらい筋力が居るのか…常人の背筋じゃないな、2発目コッキングできたみたいだぞ?」

「女神ちゃん、さようなら」

「女神ちゃんお別れだ、首無しになったほうがミステリアスで人が集まるかもしれない、あとは任されよ」

「ちょっと待ー」

『バッ!ギィーン』『ギャー!』



 今度は女神ちゃんの首の右側を薄っすら掠めて遥か後方へ飛んでいき叫びのカラスの肉を狙っていた牙の鋭いワイバーンの顔を吹き飛ばした



「素材剥ぎにいかなきゃ!」



 胸のプレートを左右に揺らしながら駆けていく女の子は一瞬女神ちゃんの顔を見て頭を傾けて走っていった



「女神ちゃん白目剥いてる!」

「はっ!死んだかと思った」

「バレたら殺されるよ!?」

「キョンちゃんごめん」

「いやいいけど、殺されるのは女神ちゃんだけだし」

「酷くない!?」



 ワイバーンの骨や爪、歯を剥いで戻ってきた女の子は女神ちゃんの元に戻ってきて女神像をじっくり見て触れて叩いて首を傾けながら顔を見上げた



「動いたように見えたけどな、一発ぶち込んでみるか?」



 コッキングしてボルトをセットして3メートルくらい離れて女神像の首に狙いを定めた



「やべぇってやべぇって」

「女神ちゃん、お疲れ様でした」

「今まで楽しかったぞ」

「ちょーーーーーー!」

「ご愁傷さま」

「石像は治せないな」

「泥人形がしちゃうか」

「肉になる?」「ならん」

「みんな…今迄ありがとう」


『バッ!ギィーン』



 あ、死んだ…あれ?



「あれ?死んでない、ってか当たってないんだけど?」

「ちょ、女神ちゃんヤベエのきたよ」

「なになに?」



 女神ちゃんの後方、魔王の城の方へ七色に輝く巨大な…



「ドラゴン?」

「もしかして破滅の?」

「おそらくそうだろうな」

「モーちゃんなんか知ってるの?」



 モーちゃんは勿体ぶって語り始めた



「ダンジョンが誕生して千年の節目に来るという…」



 話が長いので割愛します



 ダンジョンが誕生して千年という年月で魔王が神に近付くほどの力を手に入れるとされる

 そこで魔王が世界を滅ぼさないように亜神である竜を遣わしてサラッとダンジョンごと潰してしまおうという定期掃討作戦が発動した



「ということだ」

「へーものしりー」

「その掃討作戦には魔物の掃討の含んでる?」

「キョンちゃん、その通りだ」

「それってさ私達も含んでる?」

「…かもしれないな」

「皆、ご愁傷さまだったね」

「意趣返し!」「せせこま!」

「ひとでなしどもめがー!」



 女神像達が心の狭い言い争いを繰り広げている間、人間達はドラゴンを攻撃しようとしたが全く通じずただ呆然と眺めるだけだった



「魔王、千年と長きの間に力を蓄え神をも堕とそうとするその所業、今が潰えるときだ」



 ドラゴンの拡声器のような声が響いた



「そしてそれに力を得た魔物共々」



 魔物達まで敵意をむき出しにドラゴンを見上げた



「更には神の見た目を模しつつも斯様な魔物を滅ぼせなんだ人間共々滅ぼしてくれよう」



 探索者、冒険者達全員が背中に冷たい汗を落とした



「猶予は1日、我を倒せなんだらそれで終わりだ」



 一瞬の思考のあと戦う術を持たない人達は逃げ出し、戦うと決めた者達は纏まり魔物達は魔王の元に集った



「キョンちゃん、あと1日あるってさ」

「今のうちに動いて逃げちゃう?」

「我もそれで良いと思う」

「1日で動ける範囲でどうにかなるもんかの」

「私、まだ死にたくない」

「1日で人間が進める限界は100キロ程度と言われている」

「飛んでいこう!」「そうしよう!」



 やる気のない神殿メンバーだったりする



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