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067 女神ちゃんの必殺技


 夜は魔物達の時間、森の探索者達は狩られる側になるため森には入らない

 ダンジョンアタックする冒険者達はダンジョン内でそれぞれが得意な場所や方法で安全マージンを取りながら休んでいる

 チョスナーを代表格として夜間警備員達は基本的には街が見える範囲でしか活動しておらず聖なる魔法の光が照らしてくれる状態で行動をしているため多少の腕前があればなんとかなる仕事ではある



「でもさぁ、毎回本気で寝るとか狂気の沙汰よね」

「チョスナーって凄いよね、あれだけ囲まれて血の海の中で起きたのにまだ寝るってどんだけ図太い神経してるのかねぇ」

「心臓に毛が生えてるとか言うけど心臓が毛で出来てるレベルよね」

「ホンッッット、ソレ!」



 他人が聞いていない女子トークほど怖いものはない



「ん?なんだあの亀」

「モーちゃんどれ?」

「女神ちゃんからは見えないかも

 右斜め後ろの森からリクガメっぽいのが出てきたんだけど痙攣してるんだ」

「へぇ〜変なものでも食べたんじゃない?」

「ん〜それならいいけどうっすら光ってるからもしかしたら進化の光かもしれん」

「亀って進化するとどうなんの?」

「竜に近づく」

「ワイバーン系?」

「地竜だ、硬質性と柔軟性、回復力を併せ持つヤバい魔物になる可能性がある」

「最終的に飛ぶ?」

「わからない、イエロードラゴンに至る可能性があるとは聞いたことがある程度だ」

「終いにゃ飛ぶね!」

「特殊進化の分岐を抜けていけばな

 おっ、薄青い燐光を放ち始めたぞ、進化の兆候だ!」



 体高60センチ程で甲羅の直径も60センチほどのリクガメが全身薄く青い光を放ち始めて動きを止めた



「進化って具体的にどうなるの?」

「魔物によって大分違う

 狼なんかは進化というよりは急激な成長のように見えるのがほとんど、ゴブリンなんかは角が生えたり脱皮したり縮んだり個体により様々

 亀の場合は成長型が多いが稀に脱皮するように全く違う種になることもある」

「へぇ~」



 リクガメの全身にアンデスメロンのようにヒビ割れる光の線がが入った



「ん?あんな進化の仕方みたことあったかなぁ」

「モーちゃん!どうなったの!?」

「光のヒビが無数に入った」

「え?超気になる、超気になる」



 リクガメの内側が薄っすらと光り始めた



「内側の光が強まった」

「あぁこれはアレだねぇ」「アレだー」

「モーちゃん、イーちゃん、プンちゃんアレってなによ!?」

「ちょっとまって」

「気になる〜」



 リクガメの外側の光が段々と内側へすぼまっていき小さくなっていく



「あ、あれ?退化」

「モーちゃん、あのカメって単為生殖できるタイプ?」「一回保存タイプ」

「なるほど!ということは種族的には退化かもしれないけど卵大量に産めるタイプの方が繁殖力が上がるのか」

「モーちゃん、イェーイ」「イェーイ」

「どういうこと?3人でわかってないで教えてよ」



 リクガメは小さな少し動きの速い亀に変化し森に消えていった



「女神ちゃん、さっきのカメは進化前は体が硬くて前足の力が強いタイプだけど一回に産める卵の数が少なくて大きい卵だから孵化前にロストすることが多いのさ

 ただし、一回雄から精子を受け取ればずっとその子孫を産み続けられるという特性があるんだ

 だから強いオスの精子を数多く残すために力は弱いけど小さい卵を多く産める種に変化したのさ

 傍から見れば弱くなるから退化に思えるけど本人にとっては子孫を多く残せる可能性が高まる進化であるというわけだよ」

「難しいわぁ〜、力は退化したけど子孫繁栄については進化なのね?」

「一長一短あるものさ」

「じゃあ私が傾いて倒れてペチャってしたら終わりね」

「大体の生物は駄目だろうな」

「…そうね」



 天然を炸裂させた女神ちゃんだった


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