064 ダンジョンバスター
マスクで顔を隠し鎧の上にマントを羽織った2人組が大量の魔物を引き連れて街に走ってやってきた
トレインと呼ばれる行為、魔物に手を出したのに倒しきれず仲間を呼ばれたり血や薬の匂いで魔物を集めた状態で人や街になすりつけ、危険に晒すことを総称して言う
その時命は助かっても犯罪者扱いされ、処刑されることもあり慎重な行動を心掛けることが生存のためのマナーだと子供の頃から教わるものだ
2人組は街がしっかり見えるところで突然煙に巻かれたように消え魔物は近くの人に襲いかかり始めた
「魔物を引き連れてるぞ!」
「鐘を鳴らせ!街から戦える奴等を呼んでこい!」
『カン!カン!カン!カン!』
街を護る壁の上で鐘が叩かれ、戦える者達は武装して街を飛び出していき戦えない者達は建物の中に入り戸締まりをして立て籠もった
「マズイ!薬で狂わされてやがる!」
「なにぃ!」
「意図的だな、ダニエルさんに伝令走らせろ」
壁の上から矢を放ち応戦していたダニエルの下に伝令がきた
「主導したのは2人、近くの探索者に擦り付けて森に消えました
魔物達は薬で狂暴化しており見境なく襲いかかっています」
「面倒な!魔法使いは集まったか!?」
「水が4、土が3、火は1です」
「絶望的だな、魔力の限り魔法をぶっ放せと指示して来てくれ、あとは領主館にいるドリーに協力要請をしてきてくれ」
「了解しました」
「全員耐えろおおおおお!壁に張り付かせるな!前衛達は無理なら引け!命あっての物種だぞ!」
「「「おおおおおお!」」」
野太い声の中に少し高い女性の声も混じっている、鎧の中に女性が入っていることもあるようだ
「いやぁ、凄い数キテルネ」
「私なんて頭噛まれているしね」
「女神ちゃんや、ワシは尻噛まれているぞ」
「僕は手だ」
「私は…なんともないわ」
「我は先程から6匹程殺している、勝手に刃に触れて来るのは止める気になれん」
「便利〜」
でんちゃん、どろちゃんはガブッと狼に噛まれていて痛々しいがしーちゃんは噛む部分がないため仕方ない
柱の裏の天使2人は特になんの被害もないらしい
髪など不要、おしゃれなヒゲを生やすくらいで丁度良い!
鋼鉄の肉体に鎧も不要、陰部さえ隠せるパンツとブーツがあれば他に何も要らない、風でなびく白銀のマント1枚羽織ってリングインだああああああああ
「ウィイイ!イェアアアア!」
SWGPのGマターが壁の上に登場だ!
「でんちゃんウルサイ」
「くっ」
そして金髪の筋肉さんがもう1人
「I CAN DOLLY !!!!」
代官屋敷にお勤めのドリーが壁の上に現れた
「勇者マター!お前はこの魔物だらけの状態をなんとかできんのか?あん?」
「造作もないことよ!ドリー、お前さんこそどうにか出来るのかい?」
「あぁぁったりめぇよ
じゃぁ半分に分けて右がアタシ、左はアンタに任せるよ」
「ふん、その程度瞬殺さ『ライトニングファスト!』『ドゴォォォン』」
Gマターは光のような速度で上空から膝蹴りを繰り出すと、まるで隕石が落ちたかのような深いクレーターが出来上がり周囲の魔物達は木っ端微塵の汚い雨となって落ちてきた
粉塵が晴れたあとには膝を抱えて冷や汗をかくGマターだけが残っていた
膝はミスリルでもオリハルコンでもアダマンタイトでもない、ただのガラスなのかもしれない
「次は君の番だよ」
「やるさ!…膝大丈夫?」
「勲章みたいなものさ」
ドリーは壁から降りると猪のオークをチョークスリーパーで首をしめそのままスイングに移行した
「ドリー!得意のスイングスリーパーだぁぁぁぁ!」
でんちゃんがひとり盛り上がってるが誰も突っ込まない
ドリーに締められた直後はオークもなんとか引き離そうと抵抗していたが振り回され始めた時にはもう白目を剥いて棒立ち状態、汚物を散らしながら最後は壁を壊そうとしていた別のオークに投げつけられた
オークを投げつけられたオークは金属の鎧を纏っていたため鎧が凹み尻もちをつくくらいで怪我はなかったが尻もちをついたことが致命的となった
尻もちをついたオークはドリーに足を肩に担がれドリーの鍛え上げられた背中、尻、腿の筋肉と匠な重心移動によりハイアングルに持ち上げられた
「いくぞおおおおおおおおおおお!」
「ブオオオオオオオ」
「出るか!ドリー必殺のぉぉぉ
ハイアングルパワーーーーーーーーーボーーーーーム!」
『ドガアァァァァァァァァン!』
でんちゃんウルサイと全員が思っており完全に無視、その後のパワーボムの大爆発で土塊や石、魔物の破片が飛び散りそれどころじゃない神殿の面々は沈黙が続いた
「どりゃあああああ!」
ドリーが雄叫びを上げると魔物達(神殿の面々含む)が竦み上がり動きが鈍った
そんな残りの魔物達は残り少なく剣や槍、矢で掃討され今回の事件は終結した
「今回の事件の手口と特徴から首謀者の目星がつきました」
「そうか」
「サッチャとウィンプの犯行と考えられます」
「ダンジョンバスター達の仕業か」
「そのようです」
「ダンジョン千年の物語を地で行く馬鹿共め、ダンジョン溢れさせるとは何事か!」
「全くです」
「ダニエルにしっかり監視しとけと伝えておけ」
「はい」
代官屋敷で代官のその耳の会話だ
ダンジョンバスターとは何者なのか
ダンジョン千年の物語とは何か
まだ知るものは少ない…実は多い?




