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062 木っ端微塵


「今日も今日とて技術を磨こうじゃないか」



 モーちゃんはドリーのパワーボムでの大爆発を見てから触発され色々な切り方や峰打ち、剣の側面でぶっ叩く、柄でアタック等物理的にやれることを色々試していた



「今日も収穫はなかったな」

「今日の試みが失敗したというのが収穫だね、明日はまた違うことが試せるよ!」

「女神ちゃんはポジティブだな」



 もっとポジティブなのは夜警中グッスリ寝て朝焼けの時間に起きると手元に落ちているゴブリンの右耳と狼の牙、極小粒の魔石をみて「また俺はやっちまった〜」と本気で悔しい顔をしながら内心ウハウハなチョスナーである



「最近、モーちゃんは色々試してるね」

「ドリーのハイアングルパワーボムでの大爆発が頭にこびり付いて離れないのだよ」

「大爆発!ってあれか〜って思ったよね」

「女神ちゃん、そう!そこなんだよ!

 致死性の範囲攻撃ってのは剣では難しいことなんだ

 例えば剣を振って作り出す真空の刃でも効果的なのはせいぜい数メートル、水滴を飛ばすにしても大きい粒でなければ霧散する

 他にはと考えてしまってね、引っ掛けて投げつけるだけじゃゴブリンといえど必死にはならない

 他に何かが必要なんだ」

「へぇ〜」

「何も考えてない発言と受け取っていいのかな?」

「いやいや、モーちゃんの強みは1対1でこそ発揮されるんだしそっちを磨くべきじゃない?って思ってたわけですよ」

「意外と的確な返答で焦ったよ、失礼なことを言って済まないと思っている」

「いいよ、実際あんまり考えてないし

 逆転の発送って楽しいよね!モーちゃんのヤル気をワクワクして見てるよ」

「うむ、日中考えてよる実行するのみだ」

「ガンバ!」



 モーちゃんは女神ちゃんの激励を受けて範囲攻撃だけでなく自分の長所を伸ばすことも考えることにした


 まだゴブリンと狼は神殿周辺によく出現するため探索者、冒険者達の戦闘シーンを間近で見ることが可能だ


 魔法攻撃やディスポーサブルなアイテムでの攻撃、足元の石を拾っての投石攻撃などもよく見る光景だ



「お、足で石を蹴るか…我なら地面を切るように叩くことが出来るが刃こぼれは嫌だな」



 八角棒を音速を超えるスイングで叩きつけ骨を飛び散らしたり剣を回転させつつ投げてブーメランのように使用するなど色々なことを試しているのが見えた



「あれは夜やってみよう」



 弓に矢の如く細剣を番えて射た変人や魔法を唱えるフリをして杖で殴打する脳筋魔法使い、数匹を手玉に取るように両手剣で捌きながら魔法の詠唱をして殲滅しようとするものも居た



「ィイイイイッキシ!『ドガァーーン!』ポージョン!」



 最後の魔法名で発動する所でクシャミをして大失敗かと思いきやクシャミでゴブリンを爆散させたりなんかもしていた



「あれは…ほう、なるほど、やってみる価値はあるな」

「くしゃみはモーちゃんはできないでしょ?」

「くしゃみは出来ないが…何かできそうでな」

「ガンバ!」



 夜、チョスナーがやってきてキョンちゃんの後ろで寝たところからモーちゃんの研究が始まる



「よし、今日もやるか」



 奉剣クラウゼン・モー、別名は崩剣クレイモア、彼はソウルイーターでほんの僅かでも傷をつけられれば魂を吸え、即死させることが可能という恐ろしい生きた剣だがはるか昔の魔王には刃が立たなかったこと、現魔王にも小さな傷すらつけられなかったことでより高みを求めてブタクサの如きが彼の中には渦巻いている



「ゴブリン、我の礎になってもらおうか!」



 今日は特に生き生きとしている


 剣先が服の繊維の隙間を通すように抵抗なく皮膚を貫いたらゴブリンが爆発し肉片を散らした



「おおぉぉぉ!これは最近では一番感触がイイ!」



 繰り返しゴブリンを爆散させていくモーちゃん、ゴブリンの血の匂いで狼やオークを始めとして様々な魔物と死体回収と掃除にブロブも大集結し『魔物だらけの体液ヌルヌル大運動会(r=15指定)』が夜中繰り広げられた



「うわぁ、やっちまった〜

 遂に無意識に魔法まで使ったのか」



 夜明けとともに起きたチョスナーは凄惨な現場を見て顔を青ざめさせた



「おい!チョスナー大丈夫か!?」



 別の夜間警備員が走ってきて声を掛けたがチョスナーの体についた魔物の体液をみて吐気がするほどだった



「手は綺麗だ、体も調子は悪くない」

「お前が無事で良かったよ〜

 夜に魔物がこっちに大移動してるって話があってよ?もしかしてチョスナーがやばい状況になってないか塀の上から見たら魔物が大挙してて近付くことも出来なくて、そしたら魔物の山の中心で水が弾けるような音とたまに月明かりにキラッと光る奉剣が見えてよー!」

「あぁ、それはだなぁ、なんというか」

「言わなくても分かってるさ、それだけ汚れていて手が汚れていないんじゃよ、お?誰が振るっていたかなんて一目瞭然じゃないか」



 もう一人の警備員がチョスナーわきを肘でツンツンした



「いやさ、夜の記憶が無いんだよ」

「は?無意識ってか?」

「そうらしい、今までも何度か(実は毎日)あったんだ」

「夢遊病みたいなやつか?」

「そうなんだろうな、朝に気が付くと倒れていて手元に魔石とかゴブリンの耳とか狼の牙なんかが置いてあるのさ」

「こええな」

「そういう日は決まって奉剣に血とか毛とかがついてて…」

「うちに秘めたる力って奴だな、いつか起きている時に使えるときが来るさ!気にすんな!ここの担当はずっとチョスナーのままだからよ」

「このことは内緒にしておいてくれるか?」

「しておかないとお前は魔物の最前線に送り込まれて死ぬだけだもんな、黙っとくさ」

「ありがとう」



 こうして夜間警備員チョスナーの居眠り時間は確保されるのであった



「モーちゃん、何か掴んだ?」

「広範囲攻撃としてではなく敵対する相手を効率的に屠る算段として良い手応えだったと思う」

「なにしたの?」

「今までは血や魂を吸い取るだけだったが送り込むという方法が取れることが分かったのだ、送り込むのは何でもいいんだ、水分でも吸った血でも空気でもだ」

「何が良かった?」

「空気だ、圧倒的だったよ

 ゴブリン如きであれば剣先をごく僅かにでも差し込んでおけば勢いよく流し込んだ空気で千切れるくらいだ」

「へぇ〜」

「深く剣を入れ込んでから一気に大量の空気を入れ込めば爆発するが、あのパワーボム程の範囲は得られず肉片では威力も不十分だ」

「地面の石とか体の表面が固いとか骨が固いとか無いと駄目っぽいね」

「そうだ、よく分かったな」

「ずっと目で追ってたから」

「終えるだけでも凄いな」

「えへぇ〜」



 女神ちゃんがまた自分を振るってくれればな…と思っても口には出さないモーちゃんだった


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