表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/70

059 なるほど、流石です


「流石です!アンパーソンさん!」

「そうかぁ?でもまだ伴侶が居ないんだ」

「いえいえ、まだ出会えてないだけですよ!」

「ナルサスにそう言ってもらえると元気が出るよ」



 朝焼けの時間からグレーのモコモコヘアとモコモコヒゲにハンチング帽が特徴的なアンパーソンお付きの指導者役で大伯父ジェレミーの指示の元、大きいタープが張られた


 今年もアンパーソンの伴侶探しのためのお水のレディの紹介がされるらしい


 そんな会にアンパーソンは始めて男を侍らせて来た、ナルサスと呼ばれた男は日焼けで大きい顔が赤く鼻の穴が大きい隙っ歯の男でやけにヘコヘコしている



「『看破』してみたらあのナルサスって奴の称号が分かったよ」

「キョンちゃん!流石だね」

「真似はよしてよ、ナルサスのスキルはね『天下の太鼓持ち』だ」

「お、おぉぉ、おん?」

「第三者からの一押しってのは中々に記憶に残るものなのさ、それが称賛の言葉なら尚更ね」

「へぇ〜、じゃあ今日は見ものだね」

「そうだね」



 お水のお店のママのバティが会場に到着し会場作りを始めた

 バティはモンペが似合いそうなのっぺりした平たい縦長の顔で今日は綺羅びやかな着物で登場だ



「今日はベンチに赤い布を掛けて傘を付けてお茶会の感じでしっとりした雰囲気を演出よ」

「なるほど〜、相向かいじゃなくすることで顔を見合わせる緊張感を失くす作戦ですね!」

「あら、貴方、はじめましてね?良い目をしてるわ」

「いえいえ、流石バティのママさんですよ」

「あら、お上手ね、アンパーソンさんがむくれちゃうわよ」

「アンパーソンさんはそんなに懐狭い男じゃないですよ」

「そう?今日は宜しくお願いね」

「お願いします!」



 バティさんは若干面倒くさそうにしているがナルサスは気付いていない


 準備は進み、会場設営が終わりお茶が立てられ始めた



「そのセットで紅茶!」

「果物盛り合わせにクッキー!?」



 高台のついたガラスの器に山に盛られた果物の周りをクッキーが囲んでいて山盛りのクリーム添えられてある、高級感より少し下品な感じさえしてしまう



「ではアンパーソンさん、1人ずつ女の子を呼びますので奥の席に座っていて頂けますか?」

「はい、バティさん今年も宜しくお願いします」

「ええ、とびっきりの娘達を用意しますからね」

「ありがとうございます、楽しみにしてますよ」



 毎年、酷い金貸しだと罵られてばかりなのにバティさんにはいい笑顔を向けるアンパーソンは人として出来ているのか、それともそれも嘘で悪い奴なのか…



「1人目の女の子入りまーす」

「源氏名ミィでーす、おじゃましまーす」

「どうぞ」



 出っ歯で細面、メガネのあんまり若くないお姉さんが水色のミニワンピースで若作りして天幕の中に入ってきた



「あ、獣人の方でしたか」

「はい、兎獣人なんです

 でも見た通りあんまり可愛い方じゃなくて売れ残りと言いますかなんというか」

「そんな、そんな、私も売れ残りですから」

「一緒ですね」

「そのようですね」


「アンパーソン上手くいってるじゃない」

「そうね、キョンちゃんはこのままお持ち帰りイケると思う?」

「どうかしら、あれが二人共表の顔だったとしたら?」

「それは修羅場だね」

「お〜コワ」



 アンパーソンとミィさんとの話は終りが見えない、ミィさんの話しの振りが上手く「さしすせそ」の使い方が絶妙でボディタッチも自然ときたものでアンパーソンがノリノリだ



「よぉ!ミィ、今日こそ同伴出勤したら良いんじゃないか?ん?」

「また来たな、ヴィーキン!」



 浮かれて話している最中にアンパーソンの天敵である色黒団子っ鼻のヴィーキンが天幕から顔を覗かせた



「あら、私紳士じゃない方はお断りしていますの

 それに気の合う殿方とこんなに楽しい時間を過ごしている時に出張ってくるなんて無粋では御座いませんか?」

「ケェー!お前の家族なんかケッチョンケッチョンにしてやるもんねー!」

「その言い回し…どこかで…」



 ミィは耳を押さえるように頭を抱え記憶を辿った



 ここからはミィの回想シーンです




「お前なんかが企業相手に告訴したって勝てるわけないだろー!帰ってママのおっぱい吸いながらねんねしてなー!ンナーッハッハッハ!」



 色黒団子っ鼻のヴィーキンが若い頃、とある街の代官屋敷で行われた審議の前に相手方の兎獣人の男にを見下して言い放った



「いくらどんな言い方をされようと企業側の責任というのは明らかだ、法に訴え代官様直々に裁いて貰うのだ」

「俺様にケッチョンケッチョンに負かされて弁護したお前は一家離散、最後は足から吊られて生皮を剥がれて死ぬことになるぞぉ?いいのかなぁ?グフフフフ〜」

「いいや、代官様ならきっと公正な裁きを下されるはずだ!でなければこの街は滅んで終わりだ」

「そうなったらぞーなったでイイモンネー、俺様は違う場所で仕事続けるもんねー」

「クッ、今に見ておれ!」



 審議室の手前で繰り広げられた舌戦は審議室の中にいる代官、副代官、裁判官の心をゴッソリ抉った

 それもそのはず、3人には企業からヴィーキンを介して賄賂の裏金を渡され、それぞれの妻・夫以外の異性との密会現場を押さえられ3人はヴィーキンの部下に脅されていた

 ヴィーキンを勝たせなければその先は人生の破滅に繋がっている、街の破滅よりも自分の破滅を優先するかどうかで心の中の天使と悪魔が血で血を洗う決闘をしている状態だった



「クックック、ハーッハッハ

 役人等は叩けばホコリだらけ、そんなものは企業でも同じこと!税収が減り代官を首になり共倒れを選ぶか街の住人1人のためにそんな無謀をすると思うかい?ねぇ、お父さん?」



 誰かが念写したモノをジャケットの内ポケットから取り出したヴィーキンは兎獣人の男に見えるようにチラつかせた

 写っていたのはしなだれかかった兎獣人の女性の尻尾をニギニギする代官のエロい横顔が描かれていた



「そんな…私の妻が…?」

「イーッヒッヒ、そろそろ審議が始まるヨーですよ?」



 何を言われたわけでもないがヴィーキンは勝手にドアを開けて兎獣人の男の両肩を押しながら審議室に入っていった




「ケッチョンケッチョンにされたってお父さんは言ってた、帰ってきてから母と大喧嘩して弱いのに浴びるように酒を呑んで朦朧とした状態でお母さんを刺したの

 ケッチョンケッチョンのその言葉、お父さんにも向けたわね?」

「そんなこともあったかもしれないね、覚えが有りすぎて覚えていないけどっ…ねっ!」

「キサマー!」

『ドギャン!』

「アンパーソンさん!?」

「流石!鍛え上げた腕の振りは目にも止まらぬ速さです!」



 アンパーソンのしっかりと脇を締めて繰り出した渾身の右ストレートがヴィーキンの横っ面に直撃した

 ナルサスのタイミングと方向のズレた褒め方で一瞬場が白けたがヴィーキンの怒りは納まらなかった



「アンパーソン、遂に本性を表したな」

「お前さんのやることなす事気に食わないと腹の底から思ってたもので、ついね」

「もーーーー怒ったぞーー!お前もケッチョンケッチョンにしてやるぅー!」

「僕が相手だ!」



 口から血を流すヴィーキンは立ち上がりアンパーソンを一睨みして左側の口角を吊り上げて不敵な笑みを浮かべた



「気持ち悪い顔だな」

「アンパーソン、お前にだけは言われたくないわ

 このミィの母親はな夫の稼ぎをデートクラブに注ぎ込んでいたんだ、借金をしてまでな」

「なんの話だ?」

「最後まで聞け?その借金をした相手こそ高利貸しの商売を始めた頃のお前だ」

「何が言いたい?」



 アンパーソンの額には粒の汗がびっしりと浮かびはじめた

 ミィは話を聞きながらアンパーソンとヴィーキンの顔を行ったりきたりさせていた



「お前が堕としたんだよ、そのミィの母親をな

 だから俺のところに来たんだ、割のいい仕事を見つけにな」

「金を稼ぐ算段ができなかっただけだろう」

「そうだな、月に1割なんて高利をつけられてデートクラブに通ってりゃ返せないものな

 だからデートクラブに登録してやったんだよ、脂汗臭いデブのモテない親父達の釣餌としてな」

「だからなんだ?」

「お前が金を貸さなきゃそんな悲劇は起きなかったのさ」

「えーっと…関係ないね!僕のところに来なければ他のところに行っていただけだ

 デートクラブなんていいところを僕に紹介してくれたら金利は下げてやったかもしれないね!?」

「モテない男の遠吠え、流石です!」



 ナルサスは全員の視線を一身に集めちょっともじもじした



「ミィ、どうだ?俺と同伴出勤しようじゃないか?」

「ヴィーキンさんは無理、今すぐにでも訴えたいくらいよ!

 アンパーソンさんはお金を貸すのが仕事だったから仕方ないにしても、一番はうちの母が悪いわ

 今日はお開きにしてアンパーソンさんまた後日逢いましょう?お店に同伴してくれると有り難いわ」

「いいでしょう、アフターまで望むところです」

「まぁ、嬉しいこと」



 ミィはアンパーソンにしなだれかかり分厚い大胸筋の突起を人差し指ではねてから天幕を出ていった



「アンパーソン、今日はここまでだ」

「バイバイ、ヴィーキン」



 アンパーソンも気分が優れないとバティさんに伝えて居なくなり今日の会合は終了だ



「中々にドロドロな関係だったね」

「女神ちゃんはそういうの好きよね」

「まぁね、最後のあの絡みは要らないけど」

「私もそう思うわ」



 赤いベンチの上でジェレミーにバティがスカートを広げて跨り口移しで果物を食べさせている



「アンパーソンは今度こそ上手くやるかな〜?」

「どうかしらね」



 来年もどうせやるんだろうな、と全員が思っていたが口には出さなかった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ