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052 刺突とは


「我は刺突の真理に至った」



 まだ肌寒い春の夜更け、モーちゃんが何かを悟ったらしい

 キョンちゃんに目があったらキラキラしていたかもしれない程の興奮状態でモーちゃんの言葉に反応した



「遂に出来たの?心臓だけ穴を開けるっていうあの〜技?」

「そうだ、先程も森狼の心臓だけに穴を開けることに成功したのだ」

「凄い!やってみて!」

「良かろう、見せて進ぜよう」



 キョンちゃんの後ろには夜間警備員チョスナーが横になって寝ており狼達が餌を喰らおうと結構な数がやってきている



「来たな」



 シュルシュル、チュリーンと無駄に音を鳴らして台座から抜けて走る狼に向かっていった


 剣先がスッと刺さりスッと抜かれ狼は白目を向いて痙攣して倒れた、その後に首元が腫れた程度で血が吹き出すことなく二度と動くことは無かった



「凄い!何で?あんなぶっとい剣が刺さったのに!?」

「原理的には戻し切りという高等技術の応用だ、心臓に至るまでは組織を切らずに分け入っていき、心臓だけを傷付けて組織を戻してくるというイメージだな」

「へ〜」

「矢筈斬りのその先に答えがあったんだ」



 モーちゃんは回想を始めた



「最初は奇跡だった」


「狼相手に矢筈斬りの練習をしていた時のこと、3匹4匹5匹と切るごとに動ける時間を伸ばしていき6匹目は切った感覚があまり無い程に上手くいってなんと切られても走ること300メートルを超えたのさ」


「どこまで行くのかと見ていたのだ、なんならチョスナーにちょっと噛みつくくらい良いかなって」


「狼はぐんぐん速度をあげてヨダレまで撒き散らしてチョスナーの寝袋に噛み付いて首を振って揺さぶり始めたのだ」


「これは不味いと思ってしっかりと仕留めた、仕留めた後でもう一度さっき切った筈の部分を刃を当てたのだ」


「確かに一度切っていた、切ったのがなかったかのように繋がっていたのだ、勿論切ったところは弱く刃は切るというより剥がすような感覚で入っていったのだ」


「もしかしてこれは…『切り戻し』なのではないか?と」


「それからその刃が剥がすという動きをするにはどうするのかを研究し続けたのだ」



 キョンちゃんは既に話半分で聞いていて女神ちゃんは半寝ぼけくらいな感じで数秒前のことが記憶にすら残っていない状態だ



「そこで完成したのが心臓だけを組織は切り戻し心臓だけを傷付ける方法だったのだ」

「へぇ〜じゃあ刺すじゃなくて切っちゃってるんだ」

「そう言われれば…そうだなぁ…」



 キョンちゃんは余計なことを言ってしまったらしい



「なれば純粋に針穴のように刺す方法で考えよう」

「モーちゃんなら出来る!時間はあるさ!」

「うむ!試しにあの狼でやってみるかな」



 再び餌のチョスナーに突撃してきた狼に向かってモーちゃんはぶっとい剣をぶっ刺し血を撒き散らした



「これは難しいな!腕がなるぞ!」

「腕は無いけどね」

「それは言わない暗黙の了解だろう?ハッハッハー」



 モーちゃんは本日もポジティブです



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