049 全部ミス
「だれか来る」
でんちゃんは魔の森の中を魔王城に向かって進んでいたその近くを走るような音が聞こえ木の陰に隠れた
『ザッザッザーザッザッザー』
「行ったか」
でんちゃんの帰宅手段となり得たタンクトップ短パンの骨男とのニアミスだった
森の奥に入れば入るほど魔物は強くなってくる、物音がしたら木の陰や泥の中に隠れたりとしながらようやく城の立つ山の崖の下に到着した
「こっから更にダンジョンかよ〜精神が持たんどぉ〜」
崖の下の縦長の亀裂を発見しちょっと顔を中に入れてみると空気の膜のような物を貫いた感じがしダンジョンだと確信した
「無理かも、もう壁登っちゃうか」
崖の岩の皺の中を粘菌のように粘土になって張り付いて登っていく
「やべぇ!ダツツキだ、上手くズレてくれ!」
『キュッン!ズガーン』
『キュッン!ズガーン』
『キュッン!ズガーン』
『キュッン!ズガーン』
「セーーーーーーーフ」
ダツツキは超上空から音速を超えた速度で狙いを定めて落ちてくる追尾性能のある矢のような鳥だ
骨こそそれほど強くないがクチバシは良く鍛えられた鋼のような強さで熱して叩いて加工出来る超強度の高性能素材だったりする
そんな鳥さんが岩崖に尻尾までメリ込む(即死or窒息死)程の衝撃と貫通力をもって攻撃してくるのだ、例えでんちゃんが泥だろうとも身体を分断され爆散されたら生きていはいられない
ダツツキの音速をぶち破ったソニックブームででんちゃんの一部が飛び散ったもののその程度で済んでホッとした
「頂上だぁ!」
頂上に着いていざ城に!という目線を向けたところで一気に血の気が引いた
「あの骨達はどうやってこの修羅場を潜ったんだよ」
城が見えているのに角や翼の生えた馬や牛、足の本数のおかしい馬や山羊、二足歩行する馬や牛等の魔物がネコ科の魔物達とワニメインの爬虫類系魔物達を相手取り戦争をしていた
肉肉しさの密度が見ていてキツイ
地上戦だけでなく空中戦や足元での戦場もあり見ているだけでも圧死しそうな程だ
「あの中に入ったら殺される」
崖沿いにスライムを限界まで拡げた粘菌状態で進むが時折崖を落ちてくる魔物が出てきており間一髪、ファイト一発状態が続く
『ブモオオオオオ!』
『キシャー!』
『落ちるナメェー』
ナメクジ混ざってる!と心の中で突っ込んでみたがイマイチな感じがした
短足胴長の山羊が二足歩行のピンクのジャガーに猫パンチされて崖から落ちかけた二足歩行ホルスタイン牛を助けていた
『ブモオ!』
『ホレ!なメェー』
やっぱりナメクジ!と心のなかでツッコむが一捻り欲しいと口をへの字に曲げて悔しがった
「俺に語彙力が無いのが問題なのか…」
語彙力も勿論のことタイミングとツッコミを入れる強さも全てズレているのがでんちゃんだ、それも一種の才能ではあるが失笑(+鼻で笑われる)という笑いの取り方で生きていけるほど神殿内は甘くないらしい
「笑いの才能を開かせるしかない!」
そんな才能あるのかしら?
「ちょっとぉ!しーちゃん、脳にちゃんと響いてるから!」
「あっ!ごめん」
「ていうか念話って結構遠くから届んだな」
「そうねぇ、同種族間だからじゃない?他の面々には聞こえていないみたいよ」
「そうなの?まぁいいか、これから魔王城に潜入するから一旦切るね」
「あっ!ちょっま…」
でんちゃんは覚悟を決めて細く細く伸びて地面の中、ミミズのルートを進んで魔王城に向かっていった
「やっば〜、でんちゃんに念話切られた」
「マジで!繋がったの!?」
「うん、語彙力が無いっていう反省の心の声を拾ったからタイミングもツッコミの強弱も全然出来てねえよって伝えた後で魔王が居ないって伝える予定だったんだけどさ」
「あぁ〜それで切られたってわけか〜でんちゃんは変に真面目だからね〜」
「そうそう、困った奴なのよぉ」
「だって本気で魔王城に行っちゃうんだもんねぇ」
「自発的にって凄いよねぇ〜」
「可愛そうだな」
「そういう運命の元生まれてきたんじゃろうて」
「間違いない、幸運を祈る」
「冥福を祈るにならんきゃいいがの」
「確かに」
しーちゃんと女神ちゃんの心無い罵倒がでんちゃんに聞こえていなくて本当に良かったと思いながら話すモーちゃんとどろちゃんの方が辛辣であった
「あれ?魔王いねえじゃん」
玉座には誰も居らず、とりあえず座ろうかなとでんちゃんは動き出した




