029 だーから嫌だったのにぃ!
「ヤバイヤバイ」
「ヤバイヤバイヤバイ」
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ」
『ザッパーーーーン!』
『パクッ』
「ヤダーーー」
「だから嫌だったのにーーー」
「すまんーーーー」
迂回する3人の後ろを白と黒の模様でイジワル気な顔をした大ヌタウナギが追い掛けてきたことを殿のでんちゃんが気付いた
速度をあげてかなり南へ逃げたが南から来た大きなクジラに捕捉され3人は口に囚われた
数分後、海底神殿の入口で吐き出された
海底神殿はギリシャのパルテノン神殿のような形で青白いエンタシス(柱)に支えられた豪奢な神殿だ
「嫌だったんだよ〜」
「本当に」
「最悪じゃ、ワシが変なことを言ったばかりに」
3人がめちゃくちゃに凹んでいるところに野太い声が聞こえてきた
「久しぶりだな〜入れ入れ〜」
「はぁーぃ」
「はいー」
「…オジャマしますぅ」
海底神殿の中に入るとヘソまである髭をさする三叉の鉾を持った勇ましい顔の男神がいた
上半身はムキムキな人間で下半身は魚で胸びれ、腹びれもある、造形としてはかなりカッコイイ
「一度通り過ぎたらしいじゃないか水臭いのぉ」
「急いでたもので」
どろちゃんが嫌そうに答えた
「それでは仕方ない、して帰りはなぜ南へ向かっていた?」
「この先に変な大陸ができていて、上陸したらそこの魔王に場所バレしたみたいで面倒だったので大きく迂回しようということになりましてね」
「なんだ、そんなことかぁ〜ガァーハッハ」
しーちゃんが面倒臭そうに答えた
「あの魔王は愉快じゃぞ〜、銭紋蛸なんじゃ!」
「お知り合いでしたか!」
「そうじゃ!海底をフラフラしていた我が神殿を固定して陸と繋げてくれてのぉ
お陰で魚人族や海人、水族性の頭の良い魔物達が訪ねてきてくれるようになってのぉ退屈せずに過ごせるようになったんじゃ〜」
「それはそれは良かったですねぇ
では我々は我々の神殿に戻りますのでこれで失礼します」
「待て待てー、100年ぶりくらいではないか
ちょーっと、ちょこーっとでいいんじゃが話をして行かんか?
女神ちゃんのこと詳しく教えてたもれ?
今どんな状況じゃ?
相変わらず美しいか?」
メンドクセーと3人は本気で嫌なオーラを噴出してみたが男神は全く引き下がらない
「でどうじゃ?キレイか?信者は?しっかりと崇め奉られておるか?」
「はい、まあまあ」
「そこそこ」
「ときどき」
「そこをもう少し具体的にだな…」
小一時間くらいなら…と始まって丸1日くらいずっと話させられた
「うんうん、うんうん、そうか女神様は魔王の心も掴んだか!そうかそうか、そうじゃろう、そうじゃろう!キレイじゃからな」
そう言う男神は実物にあったことはなく、しーちゃんが一度変化して見せた程度でしかない
「マッサージ師に街の衛兵長にとな、神や魔物だけでなく人族さえも虜にするとは流石は女神様!私の未来の妻に相応しい!」
「妻にしたところでお互い石像なんだけどな」
「何か言ったか?新たな情報か!?」
「いえいえ、なんでも有りません、独り言です」
変に突っ込むなとしーちゃんを抑える2人だがそろそろしーちゃんの我慢のオランダの涙が爆発した
「あぁー!もうヤダ!帰る!お邪魔しました
2人とも早く帰るよ」
「あ、は、おじゃましました」
「お邪魔しました」
「客人、待たれい!」
「まだ何か?」
「もう少し、もう少しお話してくれんか?」
「有りません、では」
しーちゃんがずんずん足を進めていったので2人も追い付くように頭を下げながらバックダッシュで神殿出た
「早く帰ろ!バンシーに海底神殿って叫んでもらお!」
「鬼!」
「まさしく鬼神じゃな」
「なんか言った?」
「「いえ何も」」
筒になって進む3人を再びクジラが食べようとやってきたがしーちゃんは奉剣クラウゼン・モーに変化し口が開く前に唇に刺さった
海の水が振動を起こすほどの唸り声をあげてクジラは帰っていった
「今のうちに進めるだけ進もう」
「おう」
「進むよ!」
筒になって最高速を出して進み海底神殿の光の範囲内から早々に抜け出した
「1日以上時間取られたわ」
「本当にね」
「100年前に寄ったのが悪かったな
まぁもう行くことはないから大丈夫だろう」
「そうだな」
「そうね」
さら丸1日以上かけて元の大陸にようやく上陸した
「疲れたー、休みなしはしんどいな」
「そうねぇ」
「海の中はどろちゃんの方向感覚が命だからな、助かるよ」
「いやいや、こんなときじゃなければ役に立たないからね」
「本当にね」
「まぁ、笑いに貪欲なのに下手じゃからのぉ」
「うぉーーーーい!」
どろちゃんの扱いは酷い
浜で半日休憩しているとゴブリンが釣りにきたり亀人間が上がってきたり魚人が小鼻に釣り針が引っ掛かって釣られちゃったりと退屈することは無かった
「休憩はそろそろいいかな」
「じゃあ行こうか」
「また山登りじゃな」
また3人縦に並んでパシュートのように風除役と追いかけて押す人に分かれて急な山の道なき道を登った
頂上に付くとまた夕暮れ時だった
3人がバンシーを探すことにした
「ピギャアアア」
豚の鳴き声のような声が聞こえた




