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028 噂をすれば


「海だ〜〜〜〜〜〜」

「突撃〜〜〜〜〜」

「オ〜〜〜〜〜」



 泥人形3人衆は目立たないように念話で声を掛け合い海に突入した


 遠浅のリーフエッジまではのんびりと無理心中のように歩きドロップオフから変身を開始



「今回も筒で行こう」

「OK」

「OK」



 数百年前と同様に海底を筒に細長い筒になって進む

 水を吸う、出すを繰り返しながら進むと魚が中を通ることもありそれはそれで楽しい



「筒は抵抗が少なくていいよね〜」

「警戒はしてよ?クジラとかデカい魚に食われたくないわ」

「大幅なロスじゃもん」

「了解」



 海底を進むと青白い光を放つ一際明るい場所があった



「海底神殿かな」

「こんなとこまで移動してきたの〜」

「見つからんように行こう」



 3人は光の当たらない場所まで避けて通る、この旅で初めて迂回するくらい面倒な場所らしい



「難所は越えた!」

「ゴーゴー」

「イケイケ〜」



 さらに真っ直ぐ進むと以前はまだ海だった部分が隆起で陸になっていた



「上がる?」

「上がってみようか」

「嫌な予感もするが上がるか」



 3人は上陸を試みる

 海面からうっすら目だけ出して陸地を確認するとしっかりと大陸になっているのが分かる



「これ絶対に人間住んでるよね」

「だろうね」

「ちょいと休憩じゃな」

「そうだね」

「賛成」



 泳ぎ疲れていたこともあり休憩場所を探してみるとすぐにマングローブ林を発見し泥に紛れて体を休ませた



「この辺りなんだけどなぁ」



 3人はヤシガニを背負った人みたいな奇妙な魔物に踏まれているが日が昇るまでじっと我慢して待機だ



「よし!行くか」

「うん!」

「ワシ顔に穴空いた」



 ヤシガニマンはでんちゃんの顔を掘って休んだらしくでんちゃんは三日月のような顔で立ち上がり笑いを誘ったが返ってきたのは一瞬の沈黙と苦笑いだった



「笑ってくれ!」

「ごめん、酷すぎて」

「見つかる前に行こうか」



 ヤシガニマンの口走りからどうやらここにも魔王が居るらしいと判断し早々に立ち去ることを決めていた3人は行動を開始



「帰りは寄らずに行こう」

「うん」

「そうして」



 水平線に浮かぶ大陸を目指して3人はまた海底を進む


 今度は数時間程度で波が打ち付ける岩の崖に到着だ



「この上だね」

「じゃあいつも戻りやられますか?」

「アレ、地味に痛いんじゃ〜」



 しーちゃんからクライミング開始、三角波を待って下から押し上げるような波に乗ってかいめんから崖に飛び移る



『ドドーーーーン』『グチャァ』


「成功!」



 粘土を岩に叩きつけてベッチャリ広がったしーちゃんを見て「どの辺が成功なのか…」と半開きの目で良いねサインを送る2人


 どろちゃんとでんちゃんは大きくない波に揺られて崖にへばり付きゆっくりと登ることを選択した



「おそーい!」

「しーちゃんのアレは無理!」

「あんな度胸無い」

「そ!行くよ」



 ココまでくれば目的地はすぐそこだ


 すぐそこの筈だった



「あれ?崖崩落した?」

「かもね」

「墓の目印の木だけ残ってるな」



 目標にしていた崖手前に1本だけ離れて木が生えておりその数メートル先に崖の上から海を見下ろす墓石があったのだ


 今はその一本の木の根が露出するところまで崖が削れてしまっており墓はなくなっていた



「300年も海を見てたんだから飛び込んだって不思議は無いよね」

「まぁそうだな」

「自ら行った可能性すらあるわな」



 3人は笑った、もう記憶の中の顔も朧気になった人を思い出して、笑った



「じゃあ帰るか!もう来ることもないな」

「海の藻屑になったんなら仕方ないわね」

「もう顔も思い出せんからな、死んでから300年も経てば人々の記憶の中にも残っておるまいて」

「これでようやく本当に死ねたんだな」

「そうね」

「ワシらの中で生きておればワシらが死ぬのと同じくして死ぬさ」

「もう顔も覚えてないのに!?」

「存在はしてたからね」

「朧気な顔で?」

「「「あーハッハッは〜」」」



 3人は思い思いの落ち方で海に戻った



「長生きな魔物が得なのか損なのか分からねえな」

「いつかは人間が魔物を駆逐するわよ」

「そうだな、考える生き物はやっぱり強いからな」



 未来を見据えて3人は再び笑顔になった



「残るのは神殿だな」

「そうだね、私達が絶対に最後よね」

「海底神殿の連中とどっちかだな」



 でんちゃんの言葉で2人が息を詰まらせた



「その話やめよう、どこで聞かれてるか分からないよ」

「そうよ、海の中では禁句」

「すまん」



 3人は黙って南へ迂回しながら帰宅の路についた



「発見しました…捕獲します」




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