023 大魔王降臨
「女神様の裏で倒れていたのか?」
「そうなんです」
「原因は?」
「犯人が言うには足首を掴まれて女神様が腰を捻り折って振り向いて目から血を流して怖い笑顔を見せたらしいです
余りの怖さに失神したそうで」
「怪盗ファイアスターの魔法の可能性もあるな」
「でも2人共失神してましたよ」
「片方は演技だったかもしれないぞ」
「まぁ可能性はありますね」
前日の警備兵が上の人を連れてきて検証をしていた
「看破持ちだから多分バレてるわ」
「マジで?」
「マジで」
キョンちゃんが看破をしたら逆看破された感があったらしい
上役の人は50歳前後、金髪の短髪で彫りが深く青い瞳の垂れ目、身長も高く白いワイシャツが特に似合う渋カッコいい色男だ
「女神様、森側門門衛長兼警備長のダニオゥ(ダニエル)と申します
此度は盗賊の捕縛にお手伝い頂きながら取り逃がしたこと誠に申し訳なく思っております
賊は『怪盗ファイアスター』と言う通り名の大悪党でございます、もし見つけましたら再びご助力頂ければ幸いで御座います」
足を肩幅に開き胸に手を当てしっかりと女神様を見上げて話す姿にキョンちゃんも女神ちゃんも少しキュンッとした
「カッコいい人間だね」
「そうだね」
「魔王とどっちが強いかな」
「相性的にはダニエルの方が有利だけど単純に戦闘能力として魔王なんじゃないかな」
「キョンちゃんの分析としてはそうかぁ〜
魔王って強いんだね」
「そうですか、やはり魔王の方が強いですか」
ハッと街へと続く道の方を見ると顔を少し横に向けてチラッと視線を合わせ左手を挙げるイケオジが居た
「グループ念話にも入ってきたんですけど!?」
「凄いわ、でも流石に見えなくなると聞こえなくなるみたいよ」
「そう、それならまぁいいのかな」
「怖い」「からい」
イーちゃんとプンちゃんもガクブルな体験をしたらしい
「どうしたの?」
「検証中、ずーっと見られてた」「チラミー」
「二人もバレてたのか」
「金貨盗ったのバレたかな」「バレかたなぁ」
「それは自業自得じゃない?」
「いっぱい肉串食べられる」「ニクー」
「それは、まぁ、なんというか捕縛協力金ということで頂いておこうか」
「女神ちゃんナイス」「ナイス」
「いや、駄目でしょ」
「キョンちゃんブーー」「ブー」
「ブーじゃなくって…ちょっと皆静かに」
森の木々が風に吹かれて揺れているのに一切の音が無くなっていた
「さて、昨日お世話になったのは何処のどいつかな?」
キョンちゃんの前に全く風なびかない長い黒髪でキツネ顔の細過ぎる女性が1人現れた
冷たい刃物のような目が女神ちゃんにしか向いていない
「怖ぃ〜いぃ〜いぃ〜」
「その言い方が怖い」
「ごめん」
「『看破』したらその女は幻術で作られてる偽物だったわ」
「そう、なら放置でいいね」
女は足音なく神殿を何度も回った
「いつまで居るんかな」
「そろそろアレが来るんじゃない?」
「誰?」
黒いコートを着た赤い顔のオジサン、魔王が幻術の中に現れた
「待たせたな」
「誰!?私の幻術の中に干渉するなんて」
「君よりは上の存在ということは間違いないね」
「くっ、化け物が」
森の音が戻り女は消えた
「女神様、やっかいなのに付き纏われちゃってるね」
魔王の独り言に応えようかどうしようか女神ちゃんは迷った
「キョンちゃん、魔王にも頼んでみようか」
「そうね、女神ちゃんの模造品で遊んでた変態の罪滅ぼしで協力させよう」
「そんなことあったね」
「ダニオゥにも連絡してファイアスター捕まえるの協力しようよ」
「素晴らしい」
魔王にはキョンちゃんからグループ念話に招待をした
「おお!念話に入れて貰えるなんて」
「魔王、私の模造品で遊んでいた罪滅ぼしに今回の怪盗ファイアスター捕縛に協力してもらうわ」
「ぐっ、分かりました」
女神ちゃんが真っ先に釘を刺しキョンちゃんが更に釘をぶっ刺しにかかる
「協力してもらう代わりに今回だけグループ念話に入って貰いました
ここで余計な話をした場合には完全に無視し居ないものとして扱います」
「は、はい」
「もう一つ、今回の怪盗捕縛に際し協力度合いがイマイチと判断された場合は女神ちゃんの罪滅ぼしは無かったことにするし、全力で精神をぶっ壊しにいくと理解しなさい」
「は、はい」
「キョンちゃん怖い」「からい」
「イーちゃんプンちゃんは黙ってて」
「はい」「はい」
それからキョンちゃんは怪盗ファイアスターが昨日来たこと、看破しても見破れなかったことまで伝えた
「そんな奴が居るのか、ちょっと会ってみたいな」
「じゃあ会ってみてくれる?そのまま捕まえても良いし、好きなように弄んでくれてヨシ」
「男なら殺すかもしれないが」
「それはそれで許可する」
「では早速街に行って来る、さっきと同じ魔力を持った人間を探してこよう」
「期待してる」
「偵察行ってきまーす」「まーす」
「こらーーーーーー」
魔王はザ・ファンタジー魔王な感じでマントをバタつかせて浮かび上がり右手にイーちゃん、左手にプンちゃんと手を繋ぎ「ハーッハッハ」と言いながら透明になって飛んでいった
「魔王襲来ってところかしら」
「言葉だけ聞けば街というか国レベルの危機ね」
「まぁ本気でやる気出して行ったら余裕で滅ぶよ」
「そんな?」
「魔王が街を襲っていますって放送して、上空に魔王の顔を討伐対象って投影してさ【自分が嫌いか苦手、最悪は殺したい奴が魔王に見える】という幻術が掛けられたら間違えて斬り殺してもあんまり気に病まんでしょ?」
「まぁ、そうなんかな、分からんけど」
「そんなネガティブキャンペーンを繰り返せば住み続けたくなくなるから結果縮小よ」
「縮小したら力任せで良いってことね」
「そうそう、無限の時間生きられるんなら楽々よ」
「かぁ〜頭使うって嫌なもんだね〜」
「使い方次第って言って」
「すみませーん」
キョンちゃんと女神ちゃんの妄想会話を魔王が聞いていて「なるほどぉ〜」と感心していたのは言うまでも無い




