022 幻術士
「追っ手が来る前に開けて中身だけにしちまうぞ」
「おい、この金庫どうやって開ける?」
「鍵のところ叩き潰せばいいさ」
女神像の裏でこそ泥2人が盗んできたと思しき手持ち金庫を開けようとガチャガチャやっていた
「女神様を目眩ましにするとか申し訳ねえな」
「んなことぁわぁってるんだよ、探しに来にくい場所で選んだからな」
「兄貴サスガっす」
「だろ?さっさと壊そうぜ、俺は力が足りないからお前頼むぞ
『アンチマジック』の効果の付いたハンマーだ」
「すげえ、魔道具っすか!?やります!」
「頼むぜ」
兄貴は細く小さい、弟分は小さいが丸っこく腕がぶっとい
二人共体中を黒く塗っているため顔は分かり難いが金庫を開いた時には笑顔になっていた
「こそ泥の金庫は金貨が一杯だ」「金貨!肉!」
「キョンちゃん、後ろに居るこそ泥をどうしたもんかな」
「どうでも良くない?」
「まぁ良いんだけどさ、私に隠れてっていうのが嫌なのよね」
「まぁ良いようにしなよ」
「うーん、イーちゃん、プンちゃん協力してね」
「OK」「OK」
「ワシもやる」
「私もやるー」
「僕もやります!」
「「どうぞどうぞ」」
「じゃあ、しーちゃんとでんちゃんは休みでいいのね?」
…
「いや、そういうことじゃなくて
説明すると恥ずかしいので手伝います」
「私もやるー」
「じゃあどうする?」
「ノープランか」
「まぁその辺が女神ちゃんよね」
「泥人形の3人が足を絡め取って女神様が全力で脅かすって言うのでどう?」
「じゃ、どろちゃんの案で行くよー
イーちゃんとプンちゃんは動くのを抑制するような魔法を掛けてぇ」
「良いよ!」「イイヨ!」
「皆よろしく~」
20センチ幅くらいの小さい金庫の中の金貨をいくつかの小袋に分けて服にしまっている2人の足を泥人形から伸びる白い泥が絡め取る
「なんだコレ!」
「兄貴、女神様の足元から伸びてきてる」
「呪いか?ん?泥か、足が抜けねぇ」
兄貴は足元の泥に触れてすぐに見破ったが厚めに泥で固めたため簡単には抜けない
『ギシギシ、ミシミシ、パラパラパラパラ』
「あ、あ、あ、あ、あに、兄貴!」
「どうした!?」
「め、女神様がこっちこっち、ひぃい」
「なんだ?…あ、あ、あああああああ」
女神ちゃんは腰を全力で捻って真後ろを向いた、ただ向いただけだが思った以上に体が回らずしんどい顔に顔になっていた
「ひぃぃギャアアアアアア!…」
「ああああああああ…」
こそ泥2人は失神した
「んぁぁ体しんど、たまに動かないと体が固まるわ」
「女神ちゃん、石像なんだから最初から固まってるのよ?」
「キョンちゃん、それは言わない約束でしょ?」
「まぁそうね」
「眩しっ、もう人が来たね」
こそ泥の叫び声であっちとこっちから2人が走ってきた
「叫び声はこっちからか!」
「居ました!泥棒2人、意識ありませんが呼吸はしてます」
「コイツ等、金庫を開けてやがった」
「こりゃ女神様がなんかやってくれたな」
「女神様の後ろで悪巧みなんて出来やしねえよ」
「全部持って帰って金額の照会をするぞ、回収して連行だ」
こそ泥は縛られて担がれて連行、もう一人が金庫と移し替えられた小袋を纏め地面に落ちていないかも全て確認してから帰っていった
「イーちゃんとプンちゃんは何の魔法使ったの?」
「センスアップ」「フィアー」
「なるほどぉ、私を怖く見せる魔法に感覚を研ぎ澄ませる魔法を使ってより怖くってね
私、失神するほど怖かった?」
「まぁね!」「超ね!」
「プンちゃん!」
「偵察行ってきまーす」「まーす」
「あっ!逃げた!」
2人は暗い中で透明化してそそくさと逃げていった
「それにしても泥人形の3人はさ、あんなこと出来るんだね」
「まぁね、外側を固めたまま、内側を出すだけなんだけどね」
「お尻から内臓を全部出す感じでね」
「ワシは顔まで全部じゃ」
「怖いわ!」
「それで光魔法のG・マターを観に行ってたんだ」
「なるほどね〜器用なもんだわ」
「早く分身の術なりなんなりを会得してね」
「しーちゃん、意外と難しいのよ」
「種族が違うからどんなか分からないけど頑張ってね」
「うん!」
女神ちゃんが分身できるようになるのはいつになることか…
その頃、イーちゃんとプンちゃんは泥と警を追い掛けて門衛さんの詰所までやってきた
「どうしてこんなことをしたんだ?」
「金が欲しかったからだ」
「普通に稼げば良いだろうが!」
「金貸しに契約以上に取り立てられたからその分取り返しただけだ」
「なんでそのことを訴え出なかった」
「訴え出たが取り合って貰えなかった
あとは報復が怖かったからかな」
「小太りの方は何処から連れてきたんだ?」
「あいつは…何処から来たんだ?」
「は?」
兄貴はちょっと記憶が混濁していた
「太い方が消えました!」
「なにぃ!?」
兄貴を檻に戻して捜索するも警備兵達は見つけることが出来なかった
「怪盗か」
「やはりそうですか」
「ああ、この街にも来てしまったか」
「幻覚魔法の使い手、怪盗ファイアスター」
「『アンチマジック』を使ってもヤツの魔法は解けんらしいからな、状況判断と直感しかない
今回逃げられたのは痛かったな」
警備兵達は対策を練り始めた
「怪盗ファイアスターだって」「スターファイアー!」
「ファイアスターな」「まちゃいた」
「帰ろうか」「うん」
小さい女の子が1人、夜の空を飛ぶ透明化そたイーちゃんとプンちゃんを見上げていた




