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015 発音が大事



「私はダナォードだ」

「ドナルドさん」

「ダナォードだ」

「もうドナルドで良くね?」

「ダナォードだ」

「ドナルドでしょ?」

「ダナォードだ」



 薄暗い森の神殿で2人がキョンちゃんの前でいちゃついている

 50歳ソコソコのワイシャツを半分開いて胸毛を見せつけているイケオジに40歳ソコソコのソコソコキレイなお姉さんが足を絡めて互いの唇を1センチまで寄せたまま意味の分からない掛け合いをかれこれ20分ほど継続している



「オッサンメンドクサ!」

「あんなオジサンならドナルドで良くない?」

「キョンちゃんに同意!」

「いや、名前は肝心だ、呼ばれた方の気分が上がるかどうかだ」

「あぁ〜奉剣クラウゼン・モーか崩剣クレイモアって呼ばれるかで違うってことね」

「そうだ」

「モーちゃん的にはどっちが良いの?」

「モーちゃん…かな」

「うわぁ〜、可愛い感出しちゃうんだぁ」

「奉剣クラウゼン・モーの威厳なんてモー無いね」

「無い無い」

「クッ…」



 そんな掛け合いをしている間、ダナォードかドナルドかの掛け合いも継続していた



「君がダナォードと呼んでくれるまで口吻はお預けだよ」

「ダナァード」

「ノンノン、ダナォードだ」

「ダラード」

「惜しい、もう少しだ、ダナォード、言ってごらん」

「ダナォ〜ド」

「ダナォード」

「ダノード」

「ダナォード」

「ダナォード」

「舌を巻くRの発音がサボっているよ、Sayダナォード」

「ダナォード」

「そうだ、その一言が僕を天へ昇らせるのさ

 愛してるよベェイビィーッヒ」



 ダナォードと女性の唇が触れ合いそうな瞬間に彼女は少し頭を後ろに下げた



「私はベイビーではないの、ィックサンティップ(フェ)よ」

「イッキサンティッペ」

「違うわ!ィックサンティップ(フェ)」

「イックサンテッペ」

「ィックサンティップ(フェ)よ」

「ヒクサンティッペへ」



 そろそろ皆が白けてきた



「どっちでも良くない?

 あのオバサンの名前クサンティッペでいいじゃん」

「そうなんだろうけど、意趣返しだと思う」

「我は今耳を削ぎたい気分だ」

「そろそろ2人を止めてくだされ〜」

「耳がィックサンティップ(フェ)を覚えてしまったわぁ」

「ドナルドとクサンティッペで和解するに一票!」

「3人も私と一緒ね」



 唇と唇の間は1センチ、いい加減キスすりゃいいじゃんという距離をィックサンティップ(フェ)さんが詰めさせてくれない



「ィックサンティップ(フェ)」

「そう、私はィックサンティッペ(フェ)よ

 良く言えたわねぇ、お坊ちゃんご褒美に唇をあげるわ」

「おぅ、ベイビー」

「私はベイビーじゃないの、ィックサンティッペ(フェ)よ!」

「分かってるよ、ィックサンティッペ(フェ)」

「あら、いい発音じゃないのぉドナルド」

「ダナォードだ、私はダナォードだ」

「分かってわダナォード」

「君こそ、いい発音じゃないか」



 足を絡ませたまま唇1センチがいい加減に縮まってこない



「はよぅチューして消えて!

 ダナォードもィックサンティップ(フェ)ももう良いから」

「本当にウザいね」



 キョンちゃんと女神ちゃんは胸焼けしたようなモヤモヤを抱えた感じだった



「ねぇ、ダナォード?貴方と私で呼び方を決めてしまわないかしら?」

「そうだね、その方が気持ちを伝えやすいね

 なら僕はDでいいよ」

「分かったわD、私はXでいいわ」

「セクシーだね、X」



 まだ唇は触れ合わない、そろそろイライラが募ってきた



「2人でデラックスかよ

 どうでもいいけど早くくっついて!どこかに行ってちょうだい」

「本当に!早く眼の前から消えて」

「魔法使っちゃおーっと」「おーっと」

「バレない程度でやるのよ!」

「じゃあ2人バイバイ!『ランテレ』」「ババチ!」



 ドナルドとクサンティッペは頭からフラフープの輪を通されたようなエフェクトとともにキョンちゃんの前から姿を消した



「ダナォード」

「ィックサンティッペ(フェ)」



 と思ったら女神ちゃんの右側転移して出てきた



「ちょっとイーちゃん近くなったんだけど!」

「ランテレはその名の通り適当に飛ばすだけだから失敗あるさ」「ババチ!『ランテレ』」



 今度はプンちゃんが魔法を使った、プンちゃんの魔法の時には足元からフラフープが上がってくるエフェクトで今度こそ神殿の近くからは消えて居なくなった



「よかった〜ありがとうプンちゃん、イーちゃん」

「私からも感謝するわ」

「イエーイ」「イエーイ」



 神殿の面々が喜んでいる頃、とある場所では…



「ダナォード」

「ィックサンティップ(フェ)」


「お前ら勇者か?ある意味勇者だが、ここが何処か分かっているのか?」


「君こそ誰だね、私達が絆を結ぶことに茶々を入れるなんて悪い人だ」

「そうよ、後ろでも向いていらして」

「ん〜気の強いィックサンティップ(フェ)も最高に愛おしいよ」

「貴方のスカした言い方もとてもセクシーだったわダナォード」

「おぅィックサンティップ(フェ)」

「ダナォード」


「消えよう」



 魔王は神殿の近くに分身と意識を飛ばして愚痴りに行って無視され、泣く泣く帰ることになるのは見るまでもない



「ダナォード!」

「ィックサンティップ(フェ)!」



 はよぅキスせーい!




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