012 遠足
「良い子の皆さ〜ん、今日は女神様の絵を鉛筆で描いて帰ります
明日から色塗りです、頑張ってキレイに描いてあげてくださいね〜」
「「「「はぁーーーーーーーい」」」」
武装集団に守られて5〜6歳くらいの子供達が10人ほど神殿にスケッチしにやってきていた
先生らしき人はぽっちゃり系で頭チリチリの上下豹柄服のオバサン、いやオバタリアンだ
「さて、皆に質問です!
この真ん中の女の子座りしたオバサンて何してるのかな?」
「ムセたんじゃない?」
「なんでムセた状況を石像にしたと思う?」
「面白かったとかじゃないかな」
「面白い解釈だねぇ」
「チッ」
オバタリアンにオバサン呼ばわりされたしーちゃんは舌打ち
オバタリアンは子供達の反応に着いていけずタジタジだ
「先生!このお尻を向けている人ってどんな顔してるの?」
「先生は見たことないんだけど、どんな顔しているかなぁ〜?」
「じゃ見て」
「え?」
「先生がこの人の体を起こして覗き込んでみてよ」
「あのね、神聖な像というのは触ったり動かしたりしてはダメ
動かしてしまうとこの神殿周囲の魔物が寄って来ない空間に与える魔法的な影響力だったり神聖さが失われてしまう可能性があるの
だから動かすことは出来ないの、自分を守るためでもあるし街を守ることにも繋がるのよ
顔が知りたいのであればギリギリまで近寄って覗き込んで見える範囲で想像するしかないわ」
「へ〜、そんな感じに見えないけどな〜」
「神聖さなどワシには無いが?」
土下座のどろちゃんが自虐ネタをぶっ込んだ
「こっちのお兄さんはさぁ、女神様のオッパイ触ろうとしてるんじゃない?」
「エッチー」
「あーって凄い顔してるよね、触っちゃうよ、触っちゃうんだから、勇気を出してもうちょっと、ああああああああ!ってしてる」
「ジュニオールが変態してるー」
「パパのマネだよ」
「ワタチのオッパイなら触ってもいいよ」
「いいの?触っちゃうよ?痛かったら言うんだよ?」
「それもパパのマネ?」
「うん!」
「お前のパパやべぇ奴だなー!」
でんちゃんが保育園児に突っ込んでいた
「カッケー剣だな〜」
「折り曲げながらさバチで叩いてさポヨンポヨン音出すのやってみたい」
「おぉ〜まぁ〜えぇ〜はぁ、あーほぉ〜かぁ〜
ってのだよね!?アレ凄い面白いよね」
「そんなんだったっけ?」
「我は曲がらぬ」
ペチペチ叩かれながらふてくされたモーちゃんの呟きが流れる
「白くて丸くてキレイ!」
「椅子でもないし枕にもならないし登るには高いしナニコレ」
「鏡じゃない?」
「キレイには映らないよ」
「私がキレイじゃないみたいじゃない!」
「ヨハンナはカワイイよ?」
「ヨハンナはカワイイじゃなくてキレイが良いの!」
「ヨハンナはキレイ、よしよし」
「でへへ〜」
「私は何も映していない、勝手に映っているだけ
頭を撫でている君には女難の相が出ているよ、君のパッシブスキルには『インキュバス』が入っているから天性のタラシ人だ
いつか君の人生が崩壊することを願っているよ…ブツブツブツブツ」
キョンちゃんは呪詛を吐いた
「柱の下に羽の生えた赤ちゃんが居るよー!」
「ホントだー」
「ぽちゃぽちゃじゃん、肘2個あるし」
「膝も2個あるよ」
「背中の肉も腹の肉も凄くない!?」
「赤ちゃんならそんなだよー」
「おんなじのがもう1匹いた!」
「「「カワイー!」」」
「プンちゃんだけカワイーのか」「へへへ」
先に見つかったイーちゃんは自分がディスられプンちゃんが可愛がられるのが気に食わない
「女神様のお尻さ、お母さんよりデカいー」
「先生よりも大きい!」
「ウンコもデカいんじゃなーい」
「ん!臭い」
「ケツクセ!」
「ウンコなんか出ねえわ!モーちゃんで叩っ斬るぞ小僧共!」
女神様はキレている、笑顔が引き攣り額に青筋が浮かびそうな程だ
「皆さ〜ん、描きたい所が決まった人から紙に描いてくださいねぇー」
「「「「はーい」」」」
描き始めたらちょっと静かな時間が流れる
ただしそんなに長くは続かない
「終わった!」「俺も!」「私も!」
「誰が1番早く一周できるか競争しよう!?」
「いいよ!」
「ヨーイドン!」
「ずるい!」
誰かが走り始め、誰かがかくれんぼを始めて、誰かが居なくなり大捜索が開始されるまでそんなに時間は掛からない
「ジュニオール!」
「返事して〜」
「ジュニオールどこー」
「ジュニオールーーーーーー」
オッパイ好きパパを持つ変態ジュニオールが居なくなったらしい
「あのさぁ、ジュニオールってキョンちゃんの後ろで寝てるやつだよね?」
「我はそう思うぞ」
「女神様、どうか照らしてやって下され〜」
「私は嫌!あんなオバタリアンにオバサンて言われたから」
「オッパイ触っちゃおうかな、触っちゃうよ、痛かったら言うんだよ?」
「でんちゃんが変態に」
「女神様〜大変申し訳ございません」
「イーちゃん、プンちゃんあの子浮かせられる?」
「できるよー」「光らせるよー」
イーちゃんプンちゃんはキョンちゃんの後ろで寝ていた変態パパを持つジュニオール君を一度透明にして隠し天高く持ち上げてゆっくりと下ろしながら青白い色を発させた
「あ!ジュニオール君居た!」
「どこ!?ええぇぇぇぇ」
「すごーい、飛んでる〜」
「女神様だ!女神様のお尻が光ってる!」
「ホントだ!」「凄いね」「オナラかな〜」
「プンちゃん、余計なところ光らせないで!」
「ババチ!」
ジュニオール君はオバタリアン先生の上にゆっくり落ちていきお姫様抱っこで抱えられ寝言を呟いた
「痛くしないからね、良い子だね」
「あの子のパパはやべえ奴かもね」
「キョンちゃんに同意」
「我も」
「偵察行くか」「行くか!」
「オッパイ触っちゃおうかな、触っちゃうよ、痛かったら言うんだよ」
「それ、面白くないから」
「気持ち悪いだけですからー!」
「でんちゃん追放」
「そんなぁ〜」
「さようなら、泥人形は2人でやっていきます」
「今までありがとうございましたー!」
「嫌だ〜赦してぇ」
今日も平和です
「赦してぇ〜」