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010 やばい学生



「女神様、良い点数を取って学年1番に慣れますように応援していてください」



 片膝をついて両手を組み女神に祈る1人の女学生が居た



「こんなとこ来る時間があったら勉強したほうが良くない?」

「キョンちゃん、元も子もないわぁ〜

 私はちゃんと応援するわよ?願うだけだけど」

「でも女神ちゃんMCIだからすぐ忘れるでしょ?」

「MC愛って何よ?そんなに人に話し振るの上手じゃないわよ?」

「MCIね、絶対に意識して間違えたでしょ

 MCIは軽度認知障害で認知症の手前って言われてるわ、女神ちゃんも300年生きてるんだからなってもおかしくないわ」

「魔物に認知症なんてあるの?」

「あるわよ〜、銀竜なんていう数千年生きた竜なんて餌取りに出たら家が分からなくなって眠りながら飛んでたところでモーちゃんに首チョンパされてんだから」

「そりゃ大変だ、呆けないようにしなきゃ」

「とりあえずアレ・コレ・ソレと言う前に何かを思い出すようにしてみることね」

「分かったわ」



 いまだ熱心に祈る女学生のこめかみに血管が浮き出ていた



「黙ってりゃアンタ達さっきから煩いわね!

 私が勝手に祈ったってさ、アンタ達に関係ないでしょ!?低俗過ぎるわ!偶像物共が!」



 めちゃくちゃにキレてた



「こちらの会話が筒抜けです、オーバー?」

「そうみたいですね、オーバー」

「全部聞こえてるんですけど?オーバー?」

「キョンちゃん、リアルタイムに返答有りましたけどどうしましょうか?オーバー?」

「そろそろ黙ろうか、オーバー」

「もはや遅いわよ、オーバー」



 …沈黙は金、では無いようです



「まさか女神様が魔物とはねぇ〜」



 願う気がもう無いらしい女学生は立ち上がって腕を組んで無い胸を張った



「アンタ達、と言っても女神とどれが喋ってるか分からないけど聞こえてるかどうかとか考えないの?」

「だって念話って特定の相手としているから傍受しにくいでしょ?」

「これ念話だったの?私普通に聞こえてたから喋ってるんだと思ったわ」

「あちゃー、この娘『看破』したら『地獄耳』スキル持ちだわ、それもパッシブスキルだから聞きっぱなしじゃない」

「そうよ?悪い?」

「だったらさ、筆記試験なら周りの音聞けばなんとかなるんじゃないの?」

「私筆記は良いの周りの人の音を聞いて統計取って1番当たりを狙うから

 でもね、魔法学の試験はそうもいかないのよ

 陰口とか全部聞こえちゃうんだから」



 表情が曇った、ちょっと落ち込んでいるらしい

 周りの音聞いて統計とったら完全なカンニングなんだが…と何人かは思ったが口には出さないで我慢している

 女神様は既に話についていけてないのでダンマリ状態だ、頭から煙が出てないか心配しているくらいに気が散っている



「その魔法学ってどんな試験なの?」

「今回は皆の前で魔法を使ってその安定性と効率性、実用度とかが点数になる魔法実施論の試験なの

 悪口が聞こえてしまって集中出来なくて毎回上手くいかないの、留年しないために今回は絶対に落とせないから祈りに来たってことよ」

「ふーん、地獄耳で聞いた内容をそのまま音を大きくして流せば良いんじゃない?

 そうしたら陰口に集中できるしさ、戦争とか魔物の大群相手でも敵指揮官の指示内容を皆で聞けるじゃない

 前線に出なくていいし、司令室近くで待機してるだけの簡単な仕事につけるんじゃないの?」

「最高ね、しれ私にはうってつけ!勝手に聞こえてくる話の内容を一部公開するだけの魔法ね、簡単で魔力も多く使わないし安定して使えるわ」

「それで解決?」

「そうね、とっても役に立ったわ!祈りに来てみるものネ」

「たまたまよ」

「フフフ」



 女学生はスキップしながら帰っていった



「キョンちゃん、また噂が広まったりしない?」

「大丈夫、『地獄耳』をパッシブスキルで持ってるなんて万が一くらいなもんよ」

「そうだと良いんだけどさ」



 女神ちゃんは心配で心配で仕方なかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



翌日、某魔法学校の屋外演習場にて…



「次、ヘルリーナ」

「はい!」



 先生と思しき尖った耳の腰の曲がったおばあちゃんに呼ばれ女神ちゃんのところに祈りに来た女学生ことヘルリーナは目をギラつかせて不敵な笑みを浮かべて中央に出た



「私の魔法は音声を拡大する魔法です」

「『拡声』かね」

「はい」

「なかなかに悪い顔をしているねぇ、野心タップリでいいよぉ〜、やってみせて」

「はい!」



 ヘルリーナは杖代わりの白く輝く短い槍を耳に当てて言葉を紡いだ



「我が耳に届く声を拡げよ『拡声』」


「ヘルリーナの奴、『拡声』だってよ

 おい!俺の声が聞こえてる」

「マジカヨ!俺の声もだ」

「今回の一年生は未来の御令嬢が多いねぇ、クックック、大変になりそうだ」

「いつも机に突っ伏してゴニョゴニョ言ってるクックック先生のキモい呟きだわ!この場に居ないのにこんなに大きく聞こえるなんて!って私の声大きくしなくて良いのに」

「あぁ腹痛え、試験の日はいつも下り龍だぜ

 あ、またか ビチッ、ビチッ!ビチビューー」

「汚え!今度はコマンドー先生の声だ

 教員用トイレの呟きは良いけどアレの音まで拾うなよぉ」



 壁に張り付いている一部の学生達がリアルな音を聞いてちょっと顔色が悪くなっている



「ヘルリーナ、もう良いよ

 この魔法はいつまで使えるんだい?」

「起きている限りは持続できます」

「凄いね、単純で簡単な魔法だからこそだね

 距離はどうだい?」

「そうですね〜、風向きが良ければ隣町くらいまででしょうか」

「そりゃ驚いた!歩いて1日分てところだねぇ

 もしかしての秘密が有りそうだね」

「秘密のままでお願いします」



 ヘルリーナは人差し指を立てて口に当てた



「艶っぽさがアンタにはまだ足りないよ

 勤めたい先はあるかい?」

「王都のイイトコロが良いですね」

「何処ぞの軍の司令部かな?良いね、推薦状を書いてあげる

 アンタほどリスクの少ない諜報員は居ないからね、大抜擢だろうよ」

「ありがとうございます」



 ヘルリーナは悪い顔をしたまま左足を半歩後ろへ引き左手でスカートを摘んで少し持ち上げてお辞儀をした



「誰の入れ知恵だい?」



 おばあちゃんは口を動かさずに息だけ漏らした

 ヘルリーナは同じく息だけ漏らして返答した



「秘密です」

「そうかい、気に入ったよ」



 ヘルリーナはこの試験で卒業が決定、推薦状を持って某軍の機密情報部への就職まで決めた

 おばあちゃんは恐らく誰の入れ知恵か検討がついていたがその場では何もしなかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「キョンちゃん、血文字!」

「え!?なんて書いてあるの?」

「読むよ、えーっと『入れ知恵、ご苦労、夜露死苦』だって」

「誰よ!?超怖いんですけど!」

「あの女学生じゃない!?」

「あの娘じゃこんな事できないわよ」

「怖い、怖い、怖〜い!だから変な入れ知恵しなきゃ良かったのに!」

「ゴメンてぇ」



 お婆さんエルフは本当に差出人の名前を入れ忘れたのか、わざとか、は謎に包まれたままだった



「怖いんてぇ〜」



 無駄に恐怖を感じただけでその後何もなかったので数日間ずっと怖がって過ごし1週間








本日は3話投稿

いっぱい書いたときには

予備しつつ出します

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