明日は文化祭だが俺は学校を休む
なろうラジオ大賞5参加作品です。
使用ワードは「文化祭」。
高2の文化祭初日を明日に控えた俺は、絶対に登校しないという決意が揺るがないように絶賛ゲームで夜ふかし中だ。
文化系の部活に所属している奴らや、クラスの演し物に心血注いでる方々には申し訳ないが、どうしても明日、俺は学校に居るわけにいかないのだ。
それに最初に気付いたのは、俺ではなく、同じオカルト同好会に所属している村上だった。
「里見君、これ見てくれる?」
部室代わりに使わせてもらっている化学準備室で差し出された古びたノートには、この世の理不尽を嘆くかなり長めのポエムが綴られていた。要は、リア充爆発しろ的なやつだ。
「うーわ。めちゃくちゃ怨念籠ってそうじゃん…」
「それが問題なのよ。」
村上は、最後のページを開きながら言った。
そこには、
〈こんな想いをする人は、自分だけでいい。
ましてや、自分より辛い境遇に身を置く学生などはいないと信じたい。
だかもし、そんな不幸な人物がいるとするならば、その不幸は皆で等しく分け合うべきだ。
この全校生徒”凶“化の呪いが発動しないことを、心から願っている。〉
「…全校生徒凶化の呪い?」
「ノート全体の文脈的に、強制的に皆で不幸を分担するって事じゃないかな、と思うんだけど。おみくじ引いたら凶が出る位のレベルで。」
はた迷惑な呪いもあったもんだ。これを全部読んだらしい村上に若干引きつつ、
「不幸な人物がいなきゃ問題ないんじゃない?」
と何の気なしに返すと、
「それ…里見君なんだと思うのよね…」
と、村上は言いにくそうに言った。
よくよく聞くと、村上がノートから読み取った呪いの発動条件というのが、
勉強でも運動でもぱっとしない
秀でた特技もない
運が悪い
人に言いづらい趣味を持っている
友達いない
恋人もいない
が、自分と同じ名前の年上の人に報われない片思いをしている
この条件が重なる生徒が文化祭に参加すること、らしい。
「いや、趣味とかほっとけよ!村上お前、俺のことそんな風に思ってたの?!てかなんで俺が沙都美先輩のこと好きなの知ってるんだよ?!」
と取り乱す俺を、
「え?何か間違ってる?」
と一言で切り捨て、
「どうするかは里見君に任せる。」
と言うと、先に帰ってしまった。
まぁ俺が休めば万事解決、と高を括っていた6時間後に、沙都美先輩が何故か俺の家まで来た上、
「文化祭一緒に行こ!」
と言ってくれるという大事件が起き、「この場合呪いはどうなるんだ?!」と悩む事になるのだが、それはまた別のお話である。
読んで頂きありがとうございました!