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03 生まれ変わりなのかい?


高校生になり僕は

部活漬けの毎日を送っていた

小学生時代からの仲良しはほとんど成績も同じ

仲良しこよしなためか皆同じくらいに身長が延びて

全員がそろってバスケ部に入ることとなった

特別バスケをやりたかった訳では無いが

みんながやると言ったから僕もバスケ部にした


いつも通りの朝、いつも通りの朝練が終わると

男子たちがいつも以上に騒いでいる

どうやら転校生がくるらしく

話題は可愛いか可愛くないか美人かどうか

こんなことで盛り上がっていた


それに反して男子ではないとわかると

女子たちはあまり興味を持たないようだ

既にグループが出来ている女子たちからすると

至極当たり前のことかもしれない


ガラガラ〜

チャイムと同時に扉が開き

担任の松原先生と共に女の子が入ってくる

教室内がざわめき始める


おっ!かわいいー

お前声掛けてみろよ!

なんて言葉が飛び交い始めた

まぁ典型的な男子たちのやりとりだ


早弁を済ませて片付けていた僕は

チラッと転校生を見てみる



え…ひな…?


そう思ったのは俺だけでなく

小学生から同じクラスの友達数人は

一様に顔を見合せた

みんな驚きと戸惑いを隠せないような顔だ




白河陽菜子です

お花が好きで園芸部に入りたいと思っています

よろしくお願いします



大人しそうな透き通るような白肌に

ぱっちりとした目

あの頃と変わらないひな…



でもそんなはずはない

ひなはもうとっくに…


周りを見回すとやはりみんなと目が合う

どうやら同じことを思っているようだ

だがそもそもひなは

元川雛という名前であった

正真正銘の他人というのに戸惑いを隠せないのは

名前以上に見た目が似ているからだ

お花が好きというところも



可愛い可愛いと盛り上がる数人の横で

僕たちは言葉を発することが出来なかった

なんてったって見た目はひななんだから


担任の先生の指示で

白河さんの席は僕の右斜め前になった

後ろからそっと観察する

すらっとした手足にポニーテールの髪の毛

そこから見えている首はやはり透き通るような白さで

記憶の奥底に封印していたひなと重なってしまう


そのまま1時間目の授業が始まったが

僕は授業どころではなく

彼女の後姿をどことなく見つめてしまっていた

きっと周りからした気味の悪い男に見えただろう

しかし、そんなことはどうでもよかった

その時はただただ彼女を見つめていたかったのだ



一日の授業を全て終えた僕たちは

部活に向かうべく部室まで歩いていた

皆話したい内容は同じだったはずなのに

誰も口を開かない

それどころかわざとらしく別の話題を出そうとしたが

「あぁ」や「そーね」という言葉で流され

そこにいた全員が気まずいままだった

その日は練習に全く身が入らずコーチや先輩に怒られたが

全員がなんとも言えない返事をするので

最後は教える側も諦めた



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