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71話 終止符を打つ時


魔法陣からは2頭の炎龍が姿を現し、咆哮し大気を揺らす。

その圧倒的な質量からくる熱は凄まじく、神々しささえも感じる程だった。


「――これで終わりじゃぁぁぁッ!」


ウルの叫びと共に双龍はその巨体をうねらせ、吹き飛ぶグラシャラボラスを呑み込むようにその口をあける。


グラシャラボラスは炎龍に呑み込まれると同時に、雄叫びにも似た叫び声をあげ、その身は業火に包まれた。

爆音を轟かせ炎龍は爆ぜる。

炎龍の質量から考えると比較的小規模な爆発は、限界までエネルギーが圧縮されていて、それ故に中の温度は通常よりも遥かに高音になっているだろう。


数秒経つ頃には雄叫びはやがて断末魔とかわり、最後には炎が燃える音だけが空間に響き渡る。

そして勝利を知らせるかのようにウィンドウが表示された。


【クリア条件を満たしました。30秒後に帰還します】


【経験値11500獲得】


【レベルアップしました。スキルポイント5獲得】


【ステータスがアップしました】


【銀貨10000 トロールの秘薬×1 R5鎧騎士の剣×2 資質の葉×10】


【おめでとうございます。レアドロップ R7白騎士の三叉槍×1 R7怨念の勾玉×1を獲得しました】


ウィンドウが様々な告知を表示するが、それよりもフィールドボスの白騎士ジャック・ド・モレーに続き、ランダムとはいえかなり強めに設定されている召喚獣であるグラシャラボラスとの連戦を誰一人欠けることなく終えた安堵感で胸がいっぱいだった。


正直な所、誰か死んでだとしてもおかしくはない条件だったはずだ。


フィールドボスの時点でそれなりに体力も使わされた。ポーションで回復したとはいえ、全快とは程遠い。


1人でも欠けていたら恐らく結果は変わっていただろう。

本当に、今回は全員がよく戦った。


「やったっすね! ウルちゃんすげーっすよ!」


「ワシの魔法は世界一なのじゃぁ!」


トドメを指したウルの元にクラッドとアルベルトは駆け寄りはしゃいでいる。


今回ばかりはアルベルトも文句をつけることなく、ウルに賞賛の声を送っている。


「クロードさん、お疲れ様でした」


座り込んだ俺の隣にリリアも同じように座り、微笑みながら労いの言葉をくれた。


「ああ、お前もよくやってくれた。回復してなかったらこうはなっていない」


「それは皆そうですよ。皆でクリアしましたから」


「そうだな――いてっ、おいなんだ」


突如背中に衝撃を感じ、振り向くとウルが俺の背中に飛びかかり抱きついていた。


「クロード! 最後ちゃんと見てたか! 頑張ったのじゃ!」


「あれを見逃す方が難しいだろ。よくやったな、それより離れろ。疲れてんだよ俺は」


ウルの顔面を押し返すも、ウルも負けじと抱きついてくる。それを見たリリアが、


「あ! ウルちゃんずるいですよ!」


などと訳の分からないことをいう始末。


「なんか、兄貴が親父に見えてきたぜ」

「わかるっす。ウルちゃんは子供でリリアちゃんが嫁っすよね。羨ましい」


ウルをひっぺがして欲しかったのだが、どうやらこの2人にも期待できそうにない。


◇◇◇



◇◇




あれから支援施設へと転移した俺は、クラッドを呼び出し白騎士の三叉槍を装備させた。

能力値も申し分なく、今まで使っていたR5の武器と比べればかなり強化になるはずだ。


本人は飛び跳ねて喜び「ちょっと試してくるっす!」と言ってすぐに低階層に潜って行ってしまった。

あの連戦の後でまだダンジョンへ潜る気力があるとは大したものだ。


紅茶の飲みながら一息つく。疲労が溜まっているからか、マグカップすら重く感じる。


「やっと全体の半分を攻略したか」


今俺達がクリアしたのは49階層。99からなる階層の丁度中間地点。


ここに来るまでの間、色々な事がありすぎたがそれでもまだまだ道半ばもいい所だ。


次はいよいよ50階層。ここからは折り返し地点となる。

最近は難易度もどんどん上がって来ていて、窮地に陥る頻度が目に見えて増えているのがわかる。


まだ少しの間は問題なさそうだが、どこかでレベル上げをしなければ死者が出てしまうだろう。

それに俺以外のメンバーもレアリティを6にしておかないと、60階層に到達するのはかなり苦労しそうだ。


低階層でも中間階層でも結局難易度が変わるだけで、俺たちのやること自体はあまり変わっていない。


レベルを上げ、レアリティを上げ、強力な装備を身につけ攻略を進める。


「それも全てこの世界を抜け出すため、か」


あと半分。それさえ終われば希望はある。こんな所で足踏みしている場合じゃない。


だがその無駄な足踏みも1度だけする必要がある。


――50階層に到達する前に、アイツとの決着をつける。そうしないと俺は前に進めない。


前半の階層での唯一の逃走。

片時も忘れたことはない。


そろそろ、因縁に終止符を打つ時だ。




【ステータス】

名前:R6クロード・ラングマン レベル:35

職業:暗殺者 疲労:76

称号:暴虐の王


装備:R7影縫+(耐久値200/250 )

HP+50 攻撃力+45 速度+30 氷属性50

R6サマエルの毒牙+(耐久値129/200)

攻撃力+35 速度+25 毒属性15 火属性40

HP: 2062/1460(+602)

MP: 372/290(+82)

攻撃力150(+182) 防御力116(+42)

魔攻100(+2) 魔防95(+2)

速度136(+112) 回避103(+22)


称号:暴虐の王

HP+150 攻撃力+30 防御力+20 速度+15

王の威厳 低確率で相手の攻撃を無効化


R7ルドルフの心臓

MP+80 攻撃力+30 速度+20 回避+20

R7ニコラスの怒り(腕輪)

HP+300 攻撃力+40 防御力+20 速度+20


R5異界の兜

物理ダメージ10%増加 物理被ダメージ10%減少

全ステータス+2

R5相愛の指輪 HP+100


スキル 双剣の極意Lv2 王の資質Lv6 疾風Lv2 影化Lv8 大罪へ至る者Lv8


スキルポイント25

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