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【完結】最弱から始まる廃課金ゲーマーのダンジョン攻略~最弱キャラに転生したけど、知識と経験があるので最強です~  作者: 吉良千尋
第3章

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65話 白騎士


「――はぁ、はぁ……なんとかお城に入れましたね」


リリアは膝に手を付き呼吸を整えている。

あれだけ疾走すればそれも無理はない。


城の内部は外観と同様に豪奢な作りで、巨大なシャンデリアが広間を照らし、絵画や騎士を見立てた鎧が飾られ如何にもといった具合だった。


「思ったよりHPが減ったな。全員ポーションを飲んでおいてくれ。ここから先は楽じゃないぞ」


49階層はここからだ。

王の間に直行すればフロアボスにはすぐに会えるが、この城には隠し要素とも言える物が多く存在する。


内部はかなり複雑な作りをしていて、俺も全てを覚えている訳では無いが、重要なポイントはしっかりと頭に入っている。

ここでは通常の攻略よりも、城に隠されたアイテムを回収する方がかなり重要で、それ次第で今後の攻略がかなり変わってくと言っても過言ではない。


特に俺達のような低レアリティが成り上がる為には必須なアイテムだ。


正面の入口は扉を開くと広間のようになっていて、左右に続く道と2階へと続く階段がある。

この複雑な城を猿でもフロアボスに辿り着けるように、正規ルートのレッドカーペットには金色の刺繍が施されており、左右のカーペットにはそれがない。そしてその刺繍のカーペット2階へと続いている。


「ウル、ここから先はお前も魔法で応戦してくれ。ただし、MPとポーションを使い切るんじゃないぞ。MPポーションは数が多くない、判断は任せるがリリアの分も取っておいてくれ」


「うむ、任せるのじゃ!」


目を輝かせて自信たっぷりに頷く赤髪ロリ。任せたのは俺だが、コイツのこの顔を見ると少し心配になってきた。


俺達はまず右側の通路を進む事にした。

少し進むと、壁側には等間隔でドアがあり多くの部屋に繋がっていて、同じく等間隔に鎧が置かれている。あまり趣味がいいとは言えない。


そのまま暫く歩くと、今までの銀色の鎧とは別に黒色の鎧が置かれているのを発見した。


「――まて」


俺の指示で全員ピタリと足を止めた。


「兄貴、なんかあったのか?」


「よく見ろ。あの黒いのはモンスターだ。俺たちが通り過ぎると背後から斬りかかってくる」


だが、アイツは通り過ぎるか手を出されるかしないと動く事はない。

つまり――。


「先に仕掛ければ問題ないって事だ」


「分かりやすくていいっすねぇ」


クラッドが楽しそうに槍を構え、それを皮切りに全員が武器を取る。


「俺が一番乗りっすよ!」


クラッドが先に出て、それとほぼ同時にアルベルトも駆け出した。

鎧の顔面の隙間目掛けて切っ先を突き刺し、アルベルトが跳躍し脳天に強烈なカカト落とし。


甲高い音が鳴り響き、頭部の兜がひしゃげる。

そして2人はバックステップで距離を取り、既に魔法陣を展開していたウルの漆黒の槍が、鎧の腹部を貫いた。


鎧騎士はピクリとも動くことなく、そのままがしゃがしゃと音を立てて崩れた。


「俺のカカト落としが決め手だぜ!」

「何を言うておるおたんこなすめ! ワシの魔法に決まっておるじゃろ――」


「はいはい、倒せたんすからどっちでもいいっすよ」


アルベルトとウルは、お互いに自分が倒したと言い合っていて、クラッドが面倒くさそうにそれをなだめる。


「おい、遊んでる暇はねぇんだ。俺達は先に行くぞ」

「そうですね、先進みましょうか……」


俺とリリアは、クラッドすら置き去りにして先へ進むと、後ろから何かを叫びながらバタバタと着いてくる足音が聞こえた。


それから何体かの鎧騎士を倒し、目的の部屋の前まで到達した。


見た目はどのドアも全く同じくだが、ここの見分け方は窓にある。

一見普通の窓のようにも見えるが、この部屋の前だけ半開きになっている。


ドアを開き、部屋に入ると作りは一般的な客室と変わらず、20畳程の広さにテーブルや椅子にベッドが置かれており、他とは違うのは装飾の施された赤色の宝箱がある事だった。


「うわぁ、凄く綺麗な部屋ですね。こんな所に住んでみたいです!」


リリアはベッドに飛び込んで、足をバタバタさせながら嬉しそうにはしゃいでいる。


「この宝箱にはなにがあるんだ?」


アルベルトが宝箱を開けたそうに、人差し指でつついている。


「それは見てのお楽しみだ」


俺は宝箱に手をかけると、


【R7王家の首飾り MP+100 魔攻+50 防御力+20 低確率で与ダメージ50%アップ】


中には金色に輝く豪奢な首飾りがあり、これが俺の目的のアイテムだった。

俺自身に装備した所であまり意味はないが、ウルが装備する事により火力がかなりあがる。


魔法使いがこれを付けているのといないのとでは、火力に雲泥の差がある。武器ではないが、このレアリティで魔攻が50上がるのは破格の性能だ。


そして低確率ではあるが、特殊効果が発揮されると魔法によっては凄まじい威力になり、今後のボス戦などでかなり役に立つ。


「ウル、これはお前がつけておけ」


首飾りをそのままウルに渡すと、


「き、きんぴかじゃぁ! きんぴかの首飾りなのじゃ! ワシが着けてもいいのか? 本当にいいんじゃな!?」


と言いつつも直ぐさま装備し、それを見て満足気にニヤけてる。


「それはお前用の装備だ。これでボス戦もかなり楽になる。さて、もう1つの装備を回収しにいくぞ」



◇◇◇


◇◇




それから俺達は元来た道を戻り、逆側の通路へと足を運んだ。

その道中、鎧騎士が数体現れたが首飾りを着けたウルの魔法を試すために、魔法を撃たせてみた。

たまたま、最初の1発に特殊効果が発生したようで、その威力は今までの比ではなく、通路を半壊させるレベルのものだった。


ウルは強力な装備でテンションが上がったのか、意味もなく高威力の魔法を撃ったのも原因の1つではあるが、それにしてもR5とは思えない火力だった。



そして無事、もう1つの宝箱まで辿り着きそこで手に入れたのがリリアの装備だった。


R7の霧雨という弓で、能力値は攻撃+30 速度+20と地味だが、連射という特殊効果が優秀で矢が常時3連続で放たれる。

殲滅戦や雑魚モンスターにはかなりの効力を発揮するだろう。


2つ目の宝箱に関しては、中身の武器が何種類かの中からランダムで排出される。

正直なことを言えば、前衛の装備が欲しかったが出てしまったものは仕方がない。


それでもまだパーティ内に適正のある奴がいる武器なだけ、運が良かった方だろう。

最悪サブパーティ行きの可能性もあった。


そしてその運の良さの裏返しなのか、正規ルートを進もうと広間に戻ると、目の前には武装した馬に乗っている騎士が槍を構えている。



馬と共に全身を白銀のプレートで身を包み、馬の額当てと騎士の胸には赤い十字の装飾。

黄金に輝く槍は異様に長く、先端は3つの切っ先が伸びている。三叉槍(さんさそう)というやつか。


ただ槍を構えているだけだが、存在感は半端じゃない。


――フロアボスの前にこんな奴と戦う羽目になるとは予想外だ。


「なんかあいつ、さっきまでのより明らかに強そうっすね……?」


「当たり前だ。あれは49階層のフィールドボス、白騎士ジャック・ド・モレー。相当に手強いぞ」





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