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【完結】最弱から始まる廃課金ゲーマーのダンジョン攻略~最弱キャラに転生したけど、知識と経験があるので最強です~  作者: 吉良千尋
第2章

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37話 シンの仇


炎の球をくらった角兎は、爆炎に包まれ周りを巻き込み爆ぜる。

それを皮切りに次々と増殖した角兎は、あの時と同じように深紅の目を卑しく光らせ、俺達を喰い殺そうと襲いかかる。


アルベルトは、襲い来る角兎を瞬時に殴り殺す。

果実が潰れた様な音を響かせ、一撃の下にぐちゃぐちゃになった角兎をぶら下げてつまらなそうに、


「なんだ……こいつら、弱いじゃん」


「おい、そんな事言ってる暇があったら1匹でも多く殺せ」


俺は迫り来る角兎にあの時の借りを返すように、双剣で数体を八つ裂きにした。

やはり、今の俺達にとって角兎は脅威にはならない。

わざわざくらってやるつもりは無いが、コイツらの攻撃を受けたとしてもHPはほぼ減らないだろう。


リリアも余裕の表情でメイスを使い、角兎を撲殺し続けている。内臓や眼球が零れ落ち、血液をぶち撒けるが、リリアは気にする様子もない。

あの時とは違い、コイツらから逃げる必要はない。


「雑魚は雑魚っすけど、数が多いっすね」


クラッドは1度に数匹を槍で貫き、近接戦闘が不得意なウルをフォローしながら戦っていた。

言われなくてもしっかりウルのフォローに回れるようになったのは、パーティとしてはかなり有難い。


今後はウルを守りながら、高威力の魔法で敵を殲滅するような形にしていきたい所だ。


「ウル、全力でやっていいぞ。ただMPの配分はしっかり考えろよ」


それを聞くと嬉しそうに飛び跳ね、ついでに杖で角兎を殴り飛ばし、


「ふっふっふ。コイツら全員一撃で葬り去ってくれるのじゃ!」


杖を天に掲げ、巨大な黒い魔法陣が展開される。

それを見た他のメンバーは、周囲の角兎を狩ると魔法に被弾しないように、距離をとった。


ウルの魔法は基本的に燃費が悪いが、その分殲滅戦等では抜群の効果を発揮する。


空に展開された魔法陣からは、漆黒の槍が轟音と共に降り注ぎ槍は角兎を貫き、大地を抉る。


現状出現した角兎は、ほぼほぼ全滅。凄まじい殲滅力だった。

ウルは支援魔法や防御系の魔法が使えない。

使う魔法は全て攻撃魔法でバランスは悪いが、その分をその威力で補っている。


何でもそうだが、こういうバランスの悪い奴というのは、ちゃんと扱えばかなりの戦力になる。

それが攻撃に特化した奴なら尚更だ。


「やっぱりワシが最強なのじゃ」


ウルは腕組みをして、魔法の結果に満足気にしている。

今回ばかりは調子に乗らせておいてやろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇




【残り時間 0秒】


【経験値特化ダンジョンクリアおめでとうございます】


【経験値を6520獲得】


【レベルアップしました。スキルポイント5獲得】


【30秒後に帰還します】


殺した角兎はパーティ全体で言えば1000は超えたのではないだろうか。

経験値特化と言うだけあって、かなりの量の経験値を稼ぐことが出来た。


「終わり、ましたね」


「ああ、今となってはあっけなかったな」


あの時、死に物狂いでクリアしたのが嘘のようだ。

多少傷はあるが、全員ほぼ無傷に近い。レベルと装備もあるが、俺達は確実に成長している。それを実感できる結果だった。


俺とリリアは特に、それを痛感している。


「シンさんの仇は取れましたよね」


「だといいな」


今の俺達をあの頃のシンが見たら驚きそうだ。

そんな妄想をしているうちに、俺達は支援施設へと転移した。


『おかえり! どうだった?』


ダンジョンに潜っている間、ずっと待っていたのかアルタートは退屈そうなに宙を飛び回っている。


「どうもこうも、見ればわかるだろう」


「楽勝だったぜ! ぜってぇ俺が1番殺した!」


アルベルトは自信満々に言っているが、その件に関しては確実にウルに軍杯が上がる。

ウルは俺やクラッドよりも遥かに多くを殺したはずだ。

殲滅戦では、物理攻撃しかできない俺達がウルに勝てる道理は一つもない。


「クロード、あやつなんか言っておるぞ」


それをわかってるからか、ウルは余裕の表情で憎たらしい笑顔を浮かべ、胸を張る。


「くだらねぇ事言ってんじゃねぇ。明日は8階層だ。お前ら全員よく休んどけ」


「お、明日遂に行くっすね」


「ああ、元々いつ行っても良かったんだが、色々調整があったからな」


新層攻略と聞いたクラッドは、なんだか嬉しそうに見えた。俺達はこの世界に慣れてしまったのだろうか。少しづつ緊張感が薄れていっている気がする。

それはクラッドだけじゃない。俺にも当てはまる事だ。

新層を攻略すれば嬉。素直に喜べる。挑むだけでも心のどこかで高揚している自分がいる。


俺は自分に嫌気が差した。


「少しトレーニングしててもいいっすかね。今日のダンジョンだと、どうも物足りないもたいっす」


「好きにしろ」


クラッドはかなり動き回っていたように思えたが、本人はまだまだ体力が有り余っているらしく、そのままトレーニングルームへと向かっていった。


その後俺は鍛冶場で少なくなった墨月の耐久値を上げ、カミルのいる学術院へと足を運んだ。


そこは学術院というよりは、図書館のようなつくりで、難解そうなタイトルの本で棚が埋め尽くされていた。


「カミル、調子はどうだ」


その部屋の端っこで、カミルはなにやら紫色の液体の入ったフラスコを、眉間に皺を寄せて眺めていた


「ああ、悪くはないんだが……どうも中級のポーション作成が上手くいかなくてね。レシピは間違っていないんだが……」


学術院では施設のレベルによって生産できるアイテムの幅が変化する。今の学術院はレベル1。ポーションは低級以外作れない。

これに関してはカミルが何をどう頑張っても、そういう仕様だから無理だ。


「それは気にすんな、お前のせいじゃない。少しはここに慣れたか?」


俺が言うと、カミルは驚いたように目を見開いた。


「私を気遣いに来たのか? 君が?」


「まさか、そんな訳ないだろう。ポーションを貰うついでだ」


カミルの中で俺は、かなり冷たい人間にカテゴライズされているらしい。

元々人付き合いは得意な方じゃないが、そう思われていたとは……。


「冗談だ。そこの3つが今ある在庫だ。低級だが役に立ててくれ」


カミルは意地の悪い笑みを浮かべて、丁寧に保管されているフラスコを指さした。


「ああ、助かる。その内ここの人員も増えるだろうから、それまで悪いが1人で我慢してくれ」


「私は今の環境に満足している。そう気を遣わなくてもいい」


「いやなに、退屈だと思ってな。じゃあ俺は行く、たまにはウルの相手もしてやってくれ」


ポーションをボックスにしまい、それだけ言い残すと学術院をあとにした。



――明日は8階層だ。連結階層程の危険はないが、色々と面倒な階層なのは間違いない。その前に明日転職でもしておくか。




【ステータス】

名前:クロード・ラングマン レベル:13

職業:無職 疲労:21

称号:暴虐の化身


装備:R4墨月(耐久値21/40 )

攻撃力+5 速度+10

R5ゴブリンの秘剣(耐久値80/100)

攻撃力+5 速度+5 出血1%

HP: 300/320(+10)

MP: 62/62

攻撃力52(+45) 防御力40(+10)

魔攻36(+10) 魔防33

速度40(+30) 回避29


称号:暴虐の化身

攻撃力+20 魔攻+10 速度+5


R3ゴブリンジェネラルの腕輪

HP+10 攻撃力+5

R5ゴブリンキングの王冠

攻撃力+10 防御力+10 速度+10


スキル 剣術Lv3 王の資質Lv2 速度上昇Lv2(5%アップ)


スキルポイント20

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