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【完結】最弱から始まる廃課金ゲーマーのダンジョン攻略~最弱キャラに転生したけど、知識と経験があるので最強です~  作者: 吉良千尋
第4章

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119話 異界へのゲート②


オシリスがゲートに消え、取り残された俺達に残された選択肢は2つ。

狂信者を追いかけゲートをくぐるか、それともここでダンジョンの崩壊を待つか。


──後者は話にならねぇ。どの道ゲートをくぐるしかねぇじゃねぇか。あの野郎、どこまでいっても憎たらしい奴だ。


だが俺以上に悔しい思いをしているのは、他でもないアルベルトだ。妹との仇の目の前で逃がしてしまったんだ、やり切れないだろう。


「ああクソッ! クソクソクソクソォッ!」


「落ち着けアルベルト。アイツの言ってた事が本当なら、今は──なんだ、この音は……?」


微かに地響きのような音が聞こえる。聞き間違いなんかではない。


「な、なんか……揺れて、ませんか?」


「まさか、本当にダンジョンが崩壊するっすか!?」


「どんどんおっきくなってるのじゃ! クロード、ど、どうするのじゃ!?」


リリア達の言う通り、最初は感じるかどうか程度の微かな揺れは、時間とともに段々と大きくなりダンジョンの異変を物語っている。


【神域ダンジョン及び、通常ダンジョン支援施設のデリートを開始 残り79%】


「おいおい冗談じゃねぇぞ! クソが、一か八かだ。ゲートに入るぞ!」


思ったよりも進行が早い。ついさっき始まったというのに、もう5分の1程度が消滅している。チンタラしている暇はない。

俺達はゲートに向け走りだした。幸い、オシリスはモンスターを召喚しなかったので障害物はない。問題なくゲートには辿り着けるだろう。


「アルベルト! 何をしておるのじゃ!」


ふとウルの声が響いた。後方を見ると、アルベルトはその場で立ち尽くしている。


──あの馬鹿野郎がッ!


「俺は……残るよ。ルルを独りになんてさせられねぇ……」


「てめぇ……この期に及んで何を馬鹿な事を」


「兄貴にはわからねぇよ。たった1人の家族だったんだ。最後くらい一緒に居てやらねぇと可哀想だろ? アイツ、昔から寂しがりだったんだ」


俯き、ブツクサと言っているが、そんなものはただの自己満足だ。


「お前が死ねば妹は喜ぶのか? お前はコイツらに借りがあんじゃねぇのか。妹妹ってよ、シスコンかてめぇは」


「クロードさん……い、言い過ぎじゃないっすか……?」


「うるせぇ! もう我慢ならねぇ。てめぇはここに来て何をしたんだ? 俺達に敵対したり、戻ってきたり……今度は自殺か? 情緒不安定なのか? てめぇがダンジョンに来る前から妹は死んでんだろうがよッ! 現実を見ろよアルベルト。今更何をした所で、妹は戻らないんだよ。お前には本当に妹しか居ねぇのか?──答えろよアルベルトッ!」


【デリート中 残り53%】


神宮が崩壊しつつある。崩れた壁から見える景色は、黒1色。あれだけあった木々など跡形もない。直にここも消滅する。時間がない。


「俺にはルルしか──」

「ばかもの! ワシらは……ワシらおぬしにとってそこら辺の石コロと変わらないというのか!」


アルベルトが言い切る前にウルが割って入る。


「アルベルト、俺は兄妹とかいないっすけど……もし弟がいたらこんな感じかなって思ってたっすよ? だからそんな事言っちゃだめなんすよ」


「ほら、皆待ってますよ?」


崩壊が進む中、リリアはアルベルトの元へと行き手を差し伸べる。


【デリート中 残り39%】


もう神宮の1部も消えている。そして恐らく、妹の身体も。


「俺は──ぇ」


「そう言うのは後で聞きます!」


リリアは強引にアルベルトの手を引き、ゲートへと走る。それに釣られアルベルトも着いては来るが、すぐ後ろには消滅が迫っている。


「リリアッ捕まれ!」


「はい!」


このままでは間に合わないと判断した俺は、リリアの手を掴みゲートへとぶん投げた。

上手くクラッドが受けてくれたが、時間的余裕は全くない。


【デリート中 残り21%】


気付けば辺りは消滅済みで、このフロアももうほとんど残っていない。


「クラッドッ! そいつらを頼むぞ! 俺もすぐ行く!」


冗談じゃねぇ。こんな所で死んでたまるか。俺1人なら問題ないはずだ。


「わかったすよ!」


「兄──」

「うるさい! いいから行くのじゃ!」


クラッドはゲートへと飛び込み、アルベルトが何か言いかけていたが、ウルがゲートへと突き飛ばした。ナイス判断だ。この期に及んで面倒はごめんだ。


「ゲートの先で会いましょう」


「当たり前だ」


リリアはそれだけを言い残し、ゲートに入っていった。多くを語らないのは、俺が間に合う事を信じているからだろう。そして俺は、それに応えなければならない。


【デリート中 残り1%】


「時間がねぇ。間に合ってくれよッ」


もうゲート以外のほとんどが黒に染まる中、俺は飛び出しゲートに突っ込んだ。


【デリート完了 残り0%】


そして同時に、ダンジョンの消滅が完了した。


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