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【完結】最弱から始まる廃課金ゲーマーのダンジョン攻略~最弱キャラに転生したけど、知識と経験があるので最強です~  作者: 吉良千尋
第4章

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99話 裏ルート


「あの、クロードさん。なんか神宮への資格っての貰ったんすけど……なんすかねコレ」


「なんだと?」


クラッドはウィンドウを見て不思議そうに言った。


──神宮への資格? そんなもの俺は貰ってないが……もしかするとそれが正規ルートなのか? だとしたらまずいな。生き残る事だけを考えていたが、まさかそんなものが必要だなんて。


資格、と言うからにはその神宮とやらに行くのに必須なものだ。

恐らくアルベルトも同じ資格を得ているはず。

ウルの事が気になるが、正直今の俺にそれを知る術はない。


シード枠という事で、次へ行けるならいいが実際どうなっているのやら。


そしてリリア。高確率、というかほぼ確実に俺と同じ特異点。


ここで考えられるのは大きく3通り。

1つ目は最悪のパターンで、俺とリリアだけが永遠にダンジョン取り残される。

ルールに穴がないのなら、恐らくはこうなるはずだ。死因は、餓死が妥当か。


そして2つ目、望みはかなり薄いが無理矢理にでもクラッドについていき、神宮とやらで他のメンバーとの合流。

だがそれが可能なら資格何てものは作らない。出来たらいいな程度だな。


最後の3つ目。裏ルートによる攻略。

勿論これが可能かどうかは分からない。が、蘇生アイテムがある以上、この攻略法がある可能性は捨てきれない。


「クロードさんは貰ってないっすか? 資格」


「ああ、俺は1度死んでるからな。リリアはどうだ?」


「すみません、私も同じです」


やはりそうか。


「それは困ったっすね……一か八か一緒に」

「あの、いいですか?」


クラッドの言葉が終わる前に、リリアがそれを遮った。

何か考えでもあるのだろうか。


「なんだ」


「資格、というのはないんですけど……ここに来る途中の森で、道……とまではいきませんがけもの道って言うんですか? そんなようなのがあったんです」

「本当か!?」


俺は思わず両手でリリアの肩を勢いよく掴んだ。


「ちょっ、ちょっとクロードさん! そ、その……近い……です……」


ハッとしてリリアの顔を見てみると、こんな時だと言うのに真っ赤にさせ視線を逸らしている。

どうやら呆れているのは俺だけじゃなく、クラッドも同じなようだ。


「なんていうか……呑気っすねぇリリアちゃんは」

「全くだ」


「ち、違っ……もう! なんですかクラッドさんまで!」


クラッドは呆れながらも暖かい目でリリアを見ている。

リリアはそれが気に食わなかったのか、ポカポカと叩き始めた。


「おい、今はそんなことしてる場合じゃねぇ。話を戻すが、そのけもの道は本当にあったのか?」


放っておくと延々と続けそうなので、ここらで1回釘を刺した。というのり本当にそんな事をしている場合ではない。


「すみません……はい。あっちの階段の真ん中辺りに……でも、先へつながっているかは、わかりませんよ?」


「私行ってないので」と付け足し、リリアが通ってきたであろう道を指さした。


「上等だ。どの道正規ルートでの攻略から俺達は外れてるんだ。万に1つの可能性も見過ごせない」


とは言ったものの、正直な所俺は確信にも似た何かを感じていた。

今までのダンジョンと毛色が違うのは間違いないが、根本的な所には変わりは無い。

ニフェルタリアに意味の無いものは一つもない。

幽世の仕組みは俺の住んでいた現世でいう、ゲームの世界に近しい。


ウィンドウの仕組みや、アイテム、ダンジョン特有のルールなど解明できないことは多い。

だが一つだけ言えるのは、この世界でのダンジョン攻略に正解は複数ある。


一見正規ルートのようで、ミスルート。

一見ミスルートのようで、正規ルート。


そしてここに来るまで、恐らく裏ルートであろう攻略も何回かは経験した。

それこそ71階層は確実に正規ルートの攻略ではない。


それにモンスターもいないこのダンジョンで、けもの道があるなんて普通に考えればおかしいんだ。


──つまり、蘇生アイテムの仕様に対してのの救済措置も必ずあるって事だ。


「クラッド、お前は正規ルートでアルベルトとウルを頼む。特にアルベルトに関してだが、恐らく俺が生きているのは知らない。精神的にも肉体的にもまいってるはずだ。……頼むぞ」


「大丈夫っすよ! 2人のことは俺に任せてくださいっす! 後で必ず、合流するっすよ」


クラッドはあえて明るい口調で言ったんだろう。それ程簡単な内容じゃないのは俺もクラッドもわかってる。


「ああ。お前も俺達みたいに死ぬんじゃねぇぞ」


「クラッドさん、必ず……また会いましょうね!」


クラッドは親指を立てて、ニコリと笑い先へと進んだ。


「行っちゃいましたね」


「アイツなら大丈夫だ。抜けてる所はあるが、頼りになる。アルベルトとウルの事もしっかりやってくれるだろうよ。それより、そのけもの道ってのはどっちだ?」


「あっちの方です」と言って、リリアはスタスタと石段を下り始めた。

下ること数分、立ち止まったリリアが少しだけ気まずそうに、ある方向を指さした。


「一応、あれ……なんですよ」


見ると、確かにけもの道と言えなくはないが、


「思ったよりも酷いな……けもの道と言えるのか微妙だな」


そこは微かに道がひらけているだけで、それが自然にできたものと言えばそうも見える程、ほかとの違いはない。


逆に言えばよくこれを見つけられたものだ。


「す、すみません……」


「いや、むしろお手柄だ。これを道と捉えるかは感性による。因みにだが、俺なら捉えない」


「それ、褒めてるんですか?」


「さあな。さて、ここから先は恐らく裏ルートだ。気を引き締めろよ。油断はイコール死だと思え」


ただの木々のはずが、先も見えない裏ルートだと思うと、どうも禍々しく見える。

リリアと視線を交え、意志を確認する。


心配なんて最初からしていないが、真っ直ぐ迷いのない目をしている。

あとは、進むだけだ。


「行くぞ」





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