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【1話完結型】私と小娘の日常  作者: 片吹尋乃
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『会議室』

 男尊女卑や女性差別なんて言葉は、どうして生まれたのだろうか。いつも先導してきたのが男だったからか、たまたま男だっただけではないだろうか。いや違う、ゴツゴツとしたがたいの良い体つきは、障害をはね除けて進めた。しかし、この現代においては、もはや意味をなさなくなっている。

 さて今日は、何やら重要な会議が開かれる予定だそうだ。会議室の準備も私たちの仕事だ。机を並べ椅子を配置し、陶器の湯呑に緑茶を注ぐ。合計8つ。あと湯呑に合ったコースターも用意しなくては。忙しい忙しい。あの小娘はいつまでサボっているのか。


「ごめんね~、遅れちゃって」

 てへっ、っじゃないんだよ!

「もう終わるよ」

 机を台拭きで清めながら、ため息混じりに返答した。どうせこの後、私のご機嫌取りにカフェで奢ってあげるとか言い出すんだから。


「今度、カフェで奢るから~、機嫌直してよぉ」

 ほら、思った通りだ。でも結局は自分が行きたいだけだろうけどね。


「機嫌とかじゃなくて、仕事だから、ね!」

 不貞腐れたような膨れっ面で、渋々準備に取り掛かる。

 何で、そっちが怒って膨れてるのさ、意味が分からない。


「これさぁ、おかしくない?なんで私たちにやらせるの?」

 いや、役割分担だからね。という私の言葉には耳を傾けることなく、単細胞ツインテールは、部屋を出ていった。

 数分後、何やら騒々しく人を引き連れて戻ってきた。会議の出席者全員だった。


「ねぇ、自分でやった方が良くない?」

 いやでも、他に仕事があるんだ。そんな言葉も彼女の耳には届かない。その気迫に圧倒される者たちは、否応なしに会議室をセッティングし始めた。ものの数分で終わった。

 私も呆気に取られていた。昔からよく知っているつもりでいたけれど、小娘って何者なんだ!?


「終わったね、じゃあもうこのまま会議、始めちゃって」

 小娘に指示されるがまま、着席した社員の皆様、なんか申し訳ない。会議が始まるので、小娘に手を引かれながら、部屋を後にした。

「すぐに片付いたね、カフェ行こ」

 あんたは、どうしてそんな華奢な体つきで、障害をはね除けられるの。そんなことより、解雇されたりしないか心配だよ。




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