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【1話完結型】私と小娘の日常  作者: 片吹尋乃
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『茶室』

 煎じた緑茶を飲んだ。苦い、美味しくない。

 畳が敷き詰められたその場所は、茶室と呼ばれていた。座布団に正座し、静かでかしこまった雰囲気の中で、ただ、お茶をすすった。

 なぜ私は、こんなところにいるのだろうか。それは、隣の小娘に連れ回されているからだ。


「苦っ!」

 淹れてくださっているのになんと失礼なやつだ。


 私と小娘は、街コンと呼ばれる会合に参加していた。千利休コンという名前だそうだ。こんな馬鹿げた企画を考えた者は誰だ、うちの小娘は、こういうのに引っ掛かる女なのだ。危なっかしくて、側を離れられない。

 当然だが、相手の男性なんていない。お茶を淹れてくださった方と私たちの3人だけだ。

 なんとも奇妙な時間が過ぎていく。


「帰ろうよ」

 痺れを切らした私は、そう小娘に言った。


「苦〰️い」

 はあ、全く聞く耳を持っていない。

 私は、鞄を手に持ち茶室を出た。それに気が付いた小娘もまた後に続く。


 街コンへ参加したのは、もう何回目だろうか。私は、面白半分で参加しているだけだが、小娘は本気だ。


「ねぇ、お茶してから帰ろうよ」

 なんて能天気なのか。木造建築の門をくぐり、私の後を追う小娘は小走りでその甲高い声を発した。

「お茶って、さっき飲んだじゃん」

 私の正論には返事をせず、さっと手を取り引っ張った。

 しぶしぶ歩いて喫茶店へ入った。私と小娘は共に、先程の苦味を消したいかのように、甘ったるいミルクティーを選んだ。

「甘っ!」

 どれだけ単純なんだか…。



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