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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第94話 化け物Ⅱ

翌朝になっても日吉は帰って来ず、ガイ部長も捜索に出たまま、ハーシャ奥様だけが職場に朝食を持ってきた。


律儀に3人分だ。俺と日吉とガルフの分だな。

ガルフは食べる人の居ない飯を寂しそうに見つめていた。


なんだかんだ、日吉になついていたから、何故か居ない事を感づいているのだろう。賢い魔物だ。


ハーシャ奥様も心配そうに落ち着かず、さりとて仕事はしなければならないので、休日の予定だった俺が今日も1人で棒を押す。


「ハーシャ奥様。日吉は簡単に投げ出すようなヤツじゃありません。

大丈夫です。きっとガイ部長が見つけて帰ってきますから。ガイ部長と日吉を信じて、焦らず仕事をして待ちましょう!」


「……カゲイ。貴方はよくそんなに落ち着い……フフフッ。そうね。ガイ様を信じましょうか。

でもね。カゲイ。速度が速いわ。もっと落としなさい。」


おおぅ。心配して焦っているのが速度でバレてしまった。

時間が経てば経つほど、速度が速くなり、その度にハーシャ奥様から微笑ましい笑みとともに注意された。



ガイ部長は夕方頃に戻ってきた。

服がボロボロになって、死んだような顔付きの日吉を連れて。


確実に何かあったのだろう。

心配はハーシャ奥様がするはずだ。

説教はガイ部長がするはずだ。

なら、俺はあいつを励ますのが先輩の勤めだろうな。


暗い表情で、死んだ目をした日吉が棒を押す俺に視線を向けた。


「おう!日吉。重役出勤だな?お前はいつからそんなに偉くなったんだ?

それとも遅延証明書はちゃんと貰ったか?」


だから、元気付けようと冗談まじりに言葉を投げかけた。


日吉の目が段々色づき、生気が戻ってきたと思ったら、今度は雫がこぼれ、


「……先輩。う、うわぁぁぁーん!」


急に泣き出して、俺の腰に抱き着いてきた。


男に抱き着かれて喜ぶ趣味は無い。

しかし、よっぽどの事があったのだろう。

棒を押しながら、されるがまま、腰に抱き着く日吉を引きずって仕事をした。


ガイ部長とハーシャ奥様は呆れつつもその光景を見て笑い、ガルフも日吉が戻って嬉しそうに引きずられる日吉にすり寄っていた。

そんな俺達のいつものおかしな日常が日吉にとって良かったのか、日吉も泣きながら笑っていた。

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