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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第92話 ガルフ

デカい猫は『ガルフ』と日吉が名付けた。


デカいと言っても大型犬ぐらいしかないから、俺達が乗るとかは無理で、寧ろ俺達に器用に乗ってくる。


日吉の方が構っているので、飯の催促とか撫でて欲しい時など、そっちにガルフは行く。

しかし、寝る時と仕事中は俺の方に寄ってくる。時間的に言えば俺の方に懐いていた。


日吉、寝相悪いからなぁ。俺のベッドに潜り込んでくるのも仕方が無いのかもしれない。


仕事中は、相変わらず特訓中だ。俺は誰よりも先を突き進んでいる。だから、ガルフは丁度いい練習になった。ガルフも安定感のある俺の方が寝やすいらしく、抱っこされながらも寝たり毛繕いをしたりと自由に過ごしていた。


日吉はそれを見て羨ましそうにしてから、特訓を真剣にするようになっていた。


「先輩。ズルくないですか?」


「日吉。俺は頑張ったんだ。お前も頑張れば良いだけだ。」


「うっす。ガルフ!こっちの特訓に付き合って!」


「ニャ!」


俺の胸で寝るお姫様は一声鳴いて顔を背けた。


「まだまだだってさ。確かに日吉には早いかもな。桶の水、波打ちまくってるぞ?」


「いや、もう零さなくなってるじゃないですか!

先輩がおかしいんですよ。ほとんど揺れなくなってるじゃないですか。」


「フフフッ。俺は意識高い系だからな。

目指す場所が違うのだよ!」


「ぐむむ。」


悔しがる日吉を尻目にガルフを抱きながら仕事をする。


いつも通りの仕事にガルフが加わり、職場に癒しまでついた。


ガルフは俺達の言う事もほぼ理解出来て、トイレは1回で覚えていた。飯も俺達と同じのを食べて、それで満足していた。安定した飯と安全な寝床が提供されると分かると、ほぼ緩みきってウチのマスコットになった。

どこにも行かず、食っちゃ寝の毎日を過ごしていた。


ガルフは猫というより、やはり魔物に分類されるようだった。その理由が風呂を好んだ。特に俺達で沸かした風呂が大好きだった。


ハーシャ奥様はガルフまで馬鹿になのでは?と、大層心配していたが、おかしくなるどころか体型がガリガリだったのがしっかりしてきて健康的になっていた。毛艶も会った時より良くなっている気がする。毎日風呂に入っているからかもな。


更には俺達にマッサージまでしてくれるんだ。まさに痒いところに手が届く。万能ガルフ様様だった。


「お前ら……それは多分爪研ぎだぞ?」


「何言ってるんですか?ガイ部長。めちゃくちゃ気持ち良いんですよ?」


「はぁ……。まぁお前らがそれで良いならもう何も言わん。」


ガイ部長もガルフの有用性を認識してから、特に何も言わなくなった。



実は日吉の社会見学の際、やはりガイ部長は誰なら勝てるのか?を聞いていた。


そこで日吉が言った、唯一勝てる相手は……俺だそうだ。その事を夕食時に聞かされた。


「てめぇ!先輩に向かってなんて事いうんだ!」


「先輩こそ!自分に勝てるつもりだったみたいですねぇ!?」


「なんだと!?今ココでやってもいいんだぜ?」


「構いませんよ?どうせ最後に立っているのは自分ですから!!」


そんな俺と日吉の険悪な雰囲気で、ガイ部長とハーシャ奥様が慌てて止めようとする中、ガルフが颯爽と間に入り、愛嬌を振り撒き、その空気を一瞬にして変えたのだ。

それはガイ部長もハーシャ奥様にも出来ない事だったらしく、2人がガルフをココで飼う事を許可した出来事でもあった。

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