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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第86話 単独

改修工事が始まって1週間程が経過した日だった。


その日は仕事を始めても職人さんが誰一人も来なかった。

休みかな?まぁ俺達奴隷ですら月1回の休みがあるんだ。普通の職人である彼らにも休みはあって当然かもしれない。


そんな事を日吉と話していたら、お昼頃久しぶりにヒューメル大隊長が職場まで来た。

退職金についての話かな?と思っていたらどうやら違った。

ヒューメル大隊長に遅れてミラ様とロン様も一緒に来たからだ。


珍しい組み合わせだな。でもあの2人も相当な権力者みたいだし、あり得なくはないか。


「先輩。何か大事な話でもしてるんですかね?」


ヒューメル大隊長とミラ様、ロン様がガイ部長とハーシャ奥様と何やら話していた。

俺達が押す装置から離れた所で話していたので、聞き取れなかった。


ガイ部長が何かを念押ししていたが、そもそも内容が分からないので意味不明ではあった。


代わりに近づいてきたハーシャ奥様が事情を説明してくれた。


「カゲイ。ヒヨシ。一瞬だけこの装置を止めますわ。」


「「え?そんな事して問題になりませんか?」」


「一瞬だけだから、さほど影響は出ないはずだわ。

今日彼らが来たのは、最初の始動が見たいそうなのよ。お願い出来るかしら?」


なるほど。一瞬止めて、再度動かすという事か。

最初の始動は面倒臭いんだよなぁ。

俺も日吉もガッツリ顔に出ていたが、ハーシャ奥様が鞭を取り出すとキリッとした表情をすぐに作った。

やべぇ。俺達、めちゃくちゃ調教されてるんじゃないだろうか?


「まぁ2人でだから、そこまでキツくは無いか。日吉サクっとやっちまおうぜ?」


「うっす。先輩。やりま……」


「いいえ。カゲイ。申し訳ないのだけれど、始動は1人でやってもらいのよ。

どちらでも良いのだけれど、今の貴方達ならどちらも1人で出来るわよね?」



やる気になった俺達にハーシャ奥様は、更に追加で条件を出してきた。

面倒臭い事この上ないが、上司からの命令であり、恐らく大隊長達の更に上からの命令だ。

ヒラで奴隷な俺達に拒否権は無い。


そんな事を考えていたら、日吉が真っ先に提案してきた。


「先輩!じゃんけんしましょう!」


「えー!?日吉。お前、昔からじゃんけん強いじゃないか。

俺の勝率、お前のせいで悪いんだぞ?」


「でも押しながら決めるとなると、片手でも出来るじゃんけんしかありませんよ?」


ニヤリとした顔をしながら言う日吉。

確かにその通りなのだから、何も言い返すことは出来ない。

しかし、日吉の顔がとにかくムカつく。

コイツ……もう勝った気でいやがるな?

クソ後輩が!?目に物みせてくれようぞ!!



……。



という事で、俺が1人で始動することになった。

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