第75話 面接
職場に戻って、日吉に小言を言われながらも合流する。先程のゴタゴタを日吉に話すと喜んで押す速度が速くなりそうだったので、仕事終わりに話す事で納得させた。
メンテナンス明けで楽なので、俺はいつもの水桶特訓しながら片腕で押す。
暫く時間が経ったぐらいに、ガイ部長とハーシャ奥様がディアナさん達を連れて職場にやってきた。
「先輩!あの方達は誰ですか?」
「ああ。美人な女性が、ミイネの友人のディアナさんだ。他の人達は……なんだろう?そういえば詳しく聞いてないや。ディアナさんの知り合いなんじゃないかな?」
「へぇ~。類は友を呼ぶってヤツですかね。」
「日吉も行っただろ?ミイネの店は女性に人気っぽいし、そういう常連も居るんじゃないかな。ちなみに人妻だから、手は出すなよ?」
「ブフッ。そんな余裕無いですよ。自分達、月1回しか休み無いのですよ?あっちこっち、よそ見をしていたら、何も進展しないじゃないですか。」
「だな。俺もそう思う。」
2人で他愛もない話をしながら仕事をこなす。
そんな適当に会話しながら俺達が仕事しているのを、ガイ部長とハーシャ奥様は呆れ、ディアナさん達は視察の人達同様に驚いていた。
数分、俺達を眺めていたら、何やらガイ部長に話しかけ、またもや全員何処かに消えて行った。
な?こんな仕事見ていたって、言った通りにすぐ飽きるんだ。
そんな感想を抱いていたら、ハーシャ奥様が戻ってきて、日吉が呼ばれた。
「先輩。何か呼ばれたみたいですから、行ってきますね。」
「おうよ。戻ったら聞かせてくれよ?」
「うっす。任せてください。」
1人になったので水桶特訓を中止して、孤独に棒を押す。
あ、コレ、意外に寂しいな。3人の頃は出来てたのに、ハーシャ奥様が来てからはこの状態はすっかり無くなっていた。それに慣れたのかもしれない。日吉はよくこなせたな。
ぶっちゃけ、俺がこの仕事を続けていられたのは日吉が居たからだろう。
もし、この世界に1人で来ていたらと思うと、そう日が経たない内にこの世から消えていたと確信している。
最近、良くからかってくるが、それでも可愛い後輩が居てくれて、本当に救われたな。
しみじみと日吉に感謝していたら、あまり時間がかからずに日吉だけ戻ってきた。
「意外に早かったな。何だった?」
「うーん。それが、良く分かりませんでした。あの倉庫に連れてかれて先程の全員が居ました。なんていうか、就活の面接っぽいのですが、聞かれる事は意味が分からず、言われた事は当たり前というか……普通の会話でしたね。」
「面接か……久しくやってないな。」
「あ。次は先輩の番らしいので、交代しますよ。多分、同じ事を聞くって言ってたから、あっちで内容は聞いてください。」
「了解した。じゃ、日吉。なるべく早く戻ってくるよ。この仕事、1人で作業すると随分寂しく感じるようになったもんだな。さっき知ったよ。」
「ですね。ハーシャ奥様が来てから慣れちゃいましたね。見張りでもいいから誰か居て欲しいですよね。お願いしますね。」
日吉と別れて、職場を出て倉庫の扉をノックする。
就活か……本当に久しぶりだな。




