第71話 飴玉
定期メンテナンス明けでの翌朝。
ガイ部長とハーシャ奥様が揃って朝食を持ってきたので、倉庫から職場へ戻っての朝食タイム。
「ハーシャ奥様。ミイネの店に行って説明してもらい、ありがとうございます。
お陰様で混乱させることなく楽しいひと時が過ごせました。
それに、お店の商品も買っていただいたみたいで、ミイネも感謝していました。」
「気にすることはないわ。純粋に良い品だったから買わせてもらっただけよ。
良い店を教えてもらったことだし、今後も利用させてもらうわね。」
「はい。ミイネも喜ぶと思います。本当にありがとうございます。」
ハーシャ奥様へ丁寧に頭を下げて感謝を伝える。
後、やり残したことはお土産だな。
倉庫は水が無かったので、例の飴玉を食べさせることは出来ない。日吉なら大丈夫かもしれないが、大丈夫じゃなかったら死ぬだけだ。
「あと、ヨージ君へ。お土産だ。
喜べ!シアラちゃんのお菓子だぞ。」
「マジですか?ってことは先輩が死にかけたヤツですか?」
「ああ。昨日の内に渡しても良かったんだが、俺は水が無いと死んでいたからな。倉庫じゃ渡せなかったんだ。」
そう言って、シアラちゃん特性飴玉を俺が口にした以外の物全て渡した。
「うっす。先輩。ありがとうございます。」
「カゲイ……。お前が死にかけたとはどういう事だ?」
「ガイ部長。ハーシャ奥様も。絶対に触らないでくださいよ?慣れている俺さえ無理でした。日吉もどうなるか分かりません。」
嬉しそうに飴玉を受け取る日吉と、その飴玉と俺の説明で、恐怖を抱くガイ部長とハーシャ奥様。ただのお菓子なのだが、まるで危険物のように……いや、危険物か。
さっそくとばかりに日吉は1つ飴玉を頬張った。
「おお!先輩、コレ面白いですね!?
ちょっとでも気を抜くと確かにヤバそうですね。」
特に何も変化はない……嘘だろ?日吉、化け物過ぎるだろ?
ドン引きしていたら、日吉は口に含んだ飴玉を手で取りだそうとした。日吉の手が、昨日の俺のように干からびていった。
なるほど。直接触れるのは日吉でもダメか。
「あ。手で触れると、こうなるのですね。先輩も経験済みですか?」
「ああ。包み紙に戻しておけば大丈夫だ。あとは、ほら水でも飲んで腕を戻しておけよ?」
「うっす。ありがとうございます。」
事前に用意しておいた桶に入った水を渡して、日吉もガブ飲みしだし、数分もしない内に腕も元通りになっていた。
「おいおい!どうなってるんだ?
ヒヨシ……大丈夫なのか?それにカゲイ……お前も経験済みとは?
俺は夢でも見ているのか?ハーシャ。俺は狂っていないよな?」
「ガイ様。大丈夫です。おかしくなる時は私と一緒ですわ!」
「……ハーシャ。それはそれでどうかと思うぞ?」




