第69話 ご休憩Ⅱ
はた織り機のある作業部屋にあがり、外から見えない床に座る。
その様子を見てミイネは椅子でも取りに行こうとしたが、止める。
「体が弱いのだろ?あまり無理しなくていい。
俺は床ですら高待遇なんだから……なんたって奴隷だからな。」
「そうだったわね。気を使わせてごめんね。」
「気にしないでくれ。ぶっちゃけ上がり込んでいるのはこっちだ。」
「そうね。ホントにおかしな人ね。
それにしても、色々とビックリしたわ。」
はた織り機に腰かけながら、ミイネは俺を責めるように話してきた。
何についてなのか?
首をかしげていたら、ミイネは何故分からないのかと、ちょっと不機嫌になっていた。
「あの貴族の御令嬢様よ。急に来るんですもの。」
「うん?ああ。
ハーシャ奥様のことか。御令嬢って言うとピンと来ないな。一応、あの人も元騎士様だからな。」
「そうなの?でも、とても綺麗なお方だったわ。
あんなお方が一緒の職場にいて、ホントになんで私なのよ?」
「ああ。ハーシャ奥様はその敬称通り、先程話したガイ部長にメロメロなんだ。
寧ろ、俺達はそのイチャイチャを毎日見せつけられているんだ。
これが結構キツいんだな。」
「フフッ。そうなのね。それはご愁傷様。」
「まぁそのお陰で、ココまで辿り着いたと言ってもいいかもな。お互いにご愁傷様だ。」
「ホントよ。さっきまで居たディアナやキエナさんには見向きもしなかったし、シュンの感性はおかしいんじゃないかしら?」
「普通だろ?先程の2人は指輪していたじゃないか。ああ、あの2人がこの前言ってた人か。俺は人妻に興味は無いぞ?面倒くさいからな。」
「そうね。シュンが来るまで聞いてみたのよ。あの指輪はアキヒコ君の案だったそうよ。」
「なるほどな。明彦君から俺達の文化を知ったのか。だから2人は指輪をしていたのか。
そういえば、結局さっきのでウヤムヤになってしまったけど、昨日は押しかけたみたいで、すまんな。ウチの後輩が迷惑かけなかったか?
あ、あと、顔を見せてなかったな。それも悪かった。」
謝りながら、ボサボサの髪をかき上げ、ミイネに素顔を見せる。
といっても髭面なのは変わらないので、素顔と言っていいのか微妙なところだ。
「あら。想像と違って随分若いのね。」
「髭を剃ったらもっと男前になるぞ?」
「どうかしらね。
昨日のことは気にしていないわ。アキヒコ君達もたまに来るし、ヨージ君だったかしら?彼もシュンとは声も雰囲気も違うから、すぐに分かったわよ。その隣にいた女の子は、ヨージ君の彼女なのかしら?」
良かった。
俺と分からずに日吉が顔を見せていたら、どうなるかと思っていた。
ミイネは俺をしっかり認識してくれていた。嬉しいな。
「ああ。シアラちゃんか。そうなるといいがな。」
「そう。今後ちゃんと話してみたいわね。良いお友達になれそうだわ。」
「でもシアラちゃんはヨージの顔を知らなかったんだ。ビックリだろ?」
「フフッ。シュンだって私に見せたのは、ついさっきじゃない。一緒よ。」
「そうか?いや、あいつらはヤバいんだ!何故なら……」
こうして俺はミイネと楽しいひと時を過ごした。




