表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
65/345

第64話 シアラⅢ

綺麗な紙で包まれたソレを、中身の色を見ずに口へ運ぶ。ヤバそうな色でもしていたら、食べれなくなってしまう。こういうのは見ない方が良い。


シアラちゃんや他の人達も不安そうに見つめる中、その飴玉を口に含んだ。


口に入れた瞬間に、顔の全ての水分がソレに吸収されていく感じがした。実際にそうだったかもしれない。


「お……おぉ……。」


これ以上、口に含んでいたら死ぬ!

飲み込もうにも唾液すら吸収される。寧ろ飲み込んでも死ぬ!

震える手を口に突っ込んで飴玉を取り出す。

なんて恐ろしい食べ物だ!

飴玉を掴んだ手ですら、水分を吸われてドンドンと腕あたりまでもが干からびていくのだ。ミイラ状態の手で持つ飴玉は、包み紙に急いで戻した。


「お……み、水……を……!」


枯れた声でなんとか水を頼み、両親が急いで桶に入れた水を持ってきてくれた。

その水をがぶ飲みする。3度、お水のおかわりをしたところでようやく落ち着いてきた。


うん。これ……日吉でも無理じゃね?


「シアラちゃん。この飴玉は……一体?」


「ごめんなさい!センパイさん。

ヨージ君のお仕事は汗がいっぱい出るって聞いてたから、その為にと思って作ってみたんです。」


なるほど。

確かに俺達の仕事は肉体労働だ。

重さに慣れた今ですら汗が尋常じゃなく出る。

そして、汗が出るなら、出なくなれば良い。

なんともストレートな発想で大変素晴らしい。


普通の人なら、すぐに死ぬけどな。


とりあえず、日吉は普通に食べれるかもしれないし、お土産として貰っておこう。

ウチの職場、水だけは大量にあるからな。もしもの場合も安心だ。


俺が口に含んだ飴玉以外にも5、6個用意されていた飴玉をお土産として包んでもらった。

皆、何故か驚いていたが、仕方ないだろ?

シアラちゃんを目の前にして、捨てさせる選択肢は選べないんだ。


うーん。それにしても……。

確かに課長の奥様より手強いぞ?

課長の奥様だって一般的に食べれる料理はあった。その分、見た目はアレだったのだが。

そうか!テーマだ!


本来、美味しさが第1目標の料理なのだが、彼女達は副次的な効果を出そうとし、第1目標が抜け落ちる。そして副次的な効果を突出させ過ぎるから凶悪になる。

それらを意識させない為にもテーマを決めて制限する方法はアリだと思った。というか、もうそれしか無い。


シアラちゃんも課長の奥様同様、作る腕前だけは良かったから創作に向いている。

そうして、シアラちゃんにテーマ料理を教えこんだ。課長の奥様という良い手本や経験があるから、アドバイスしやすかったし、シアラちゃんも理解してくれた。


これで今後少しはまともな料理が食べれるようになるだろう。


シアラちゃんと両親も揃って、別れを告げ、暖かく見送られ、俺はミイネの店に向かうことにした。




食堂の常連達が、


「おい。見たか?」


「ああ。一瞬でミイラみたいになってたな。」


「それなのに、水を飲んだだけで元に戻ったぞ?」


「ああ。数々の料理を食べ、何の変化も無いヨージは化け物だと確信していたが、センパイもある意味化け物だな。」


「まだまだ俺達が食べるのは自殺行為だな。」


「ああ。せいぜい彼らには頑張ってもらおう。」


と、何かコソコソ言っていたが良く聞こえなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ