第59話 お姫様だっこⅡ
変則お姫様だっこ作戦はハーシャ奥様には大好評だった。
これを日々練習して実現させる為にも、理由を説明する必要が出てしまったので、3人へ外出中に出会った布屋の女性、ミイネのことを話した。
日吉は特に興味津々だった。
こいつ、来月の休日に偵察に行きそうだな。
「ほぅ。ミイネの布屋か。後日、場所を調べて、俺が事情を説明しに行かないといけないな。」
と、ガイ部長も野次馬根性丸出しだった。
「いいえ。ガイ様。そこへは私が行きますわ。
あまり男性が行くようなお店ではないようですし。」
更にハーシャ奥様までも乗っかってきた。
「ええ。お2人共、そんなにミイネが見てみたいのですか?」
「うん?カゲイ。お前はヒヨシのようにするんじゃなかったのか?
この世界について、彼女から教えてもらうには事情を説明しないと話が通じないだろ?お前は自分で話して信じてもらえたのか?」
ああ。なるほど。
それがあったな。
ガイ部長もハーシャ奥様も律儀で優しすぎるな。そこまで考えていてくれたとは、思いもよらなかった。
「いえ。確かに、冗談としか思われませんでした。
そういう事でしたら、ハーシャ奥様にお願いします。
あの店は女性が好みそうな綺麗な布や凝った柄の布が多いので、ハーシャ奥様に似合う物があれば、購入してみてはどうでしょうか?」
「ええ。そうね。なら私が行きますわ。」
「ハーシャ。すまんな。頼む。
それで、カゲイは彼女の為に移動できる方法を考えたのか。」
「はい。ガイ部長が俺達の為に外出許可を出してくれたように、俺も彼女に外へ連れて行ってあげたいと思いました。勿論、彼女の方が知っていることも多いでしょうが、一緒に知っていきたいと思ったのです。」
「なるほどな。カゲイ。頑張れよ。」
「先輩。何気にロマンチストだったのですね。
ヤバいです。なんか先輩がかっこよく見えます。」
「うっせぇ!ただ、ガイ部長がそうだったように、俺が今日想定してやってみた限り、変則お姫様だっこ作戦は、まだまだ課題が山積みだ。」
岩でやってみた限り、数時間で俺も限界になった。持ち上げたまま位置を固定するのが結構大変だったのだ。
半日ぐらいは出来ないと外出もままならないかもしれない。
しかも、それが出来たとしても、まだ道半ば。次の段階もあった。
「いいですね!先輩。自分もやってみていいですかね?」
「ガイ様!是非、ガイ様も挑戦しませんか?」
「ハーシャ。君は別に足が悪いことはないだろ?それに変則じゃなくて普通のお姫様だっこで十分じゃないか?」
「殿方が女性の為に!いえ、ガイ様が私の為に努力してくれる。それが見てみたいですわ!」
日吉とハーシャ奥様はノリノリだった。ガイ部長は苦笑していたが、ハーシャ奥様の期待する目の輝きに負けて、渋々了承していた。
こうして変則お姫様だっこ作戦は、何故か男性陣全員がやることになった。




