第5話 休日
「先輩。この仕事、休日あるんですかね?」
「あると思うか?」
「いえ。ないですよね。
むしろ、元々無いと思っていた方が楽ですね!
休みだと思っていたら、いつの間にか休日出勤になるよりは、気持ちが全然違いますね!」
「ああ。確かにそうだな。
結局、休み全然無かったもんな。」
「よく分からない研修も沢山ありましたからね。」
「あー。アレな。まるで意味が無いやつだろ?
日吉。アレ受けて、使えた時あったか?」
「これっぽっちも無いですね。
家電の取扱説明書を最後まで読んでた方が余っ程、為になりますね。」
「それな!
地域のゴミ拾いとか強制参加もあったなぁ。」
「え?そんな行事もあったのですか?」
「ああ。日吉は知らないのか。
そういえば、俺と同期の佐藤さんが、集めたゴミと一緒に倒れてから開催しなくなったな。
その時、部長が佐藤さんに言った言葉は有名だな。
『佐藤!普段もゴミだが、真のゴミになるのか?』
って、笑いながら言い放ってたんだ。ヤバくね?」
「ゴリゴリのパワハラじゃないですか。
なんであの部長、クビにならないんですかね?」
「まぁそれなりに仕事だけは出来るからなぁ。それに俺達も慣れていたし、佐藤さんも笑っていたからな。」
「あー。確かに、半年もすれば慣れますね。人間、慣れる生き物だとつくづく思いましたよ。」
「ただ他会社の人達にもガッツリ見られて、問題になったみたいだな。それ以降は他会社と協力して何かをすることは無くなったな。」
「なるほど。部長のお陰ですね!」
「ああ。部長もそう言って自慢してたな。」
「先輩。本当に、あの会社……ここよりもファンタジーだったんですね。」
「だろ?俺達がここに来て、まだ魔物1匹見てないよな。あの会社、魔物しか居なかっただろ。」
「ええ。鬼かゾンビ。どっちかしか居ませんでした。」
「スケルトンも居たかもな。
ちなみに俺達もゾンビ枠だぞ。」
「マジですか?
確かに大学の友人に会う度に病院勧められますね。」
「うんうん。あるあるだな。
さて、朝食も食べたし仕事するか!」
「うっす。先輩。」
俺と日吉は、他の奴隷達と今日もせっせと棒を押す。まるでゾンビのように。