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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第58話 お姫様だっこ

休日から数日が経ち、死人OFFモードじゃなくてもやっと安定するようになったある日。


個人的に俺はある作戦を実行しようと思っていた。


俺と日吉の2人で棒を押す時はもう余裕が出来ていたので、そろそろ次のステップに進んでみるのもいいかと思っていた。余裕がありすぎてモチベーションの維持が難しくなったと言っていい。


そして、ある一言からこの作戦は始まっていた。


石集めの際に、石というか岩もあって、それが枕ぐらいの丁度良い大きさの岩を発見していたのもタイミング的に良かった。


その岩を片手で腰のあたりまで持ち上げたまま、もう片方の手だけで棒を押す。

それを仕事中ずっとこなす予定だ。


岩自体はそこまで重くなかったが、長時間こなすとどうしても厳しかった。

まだまだ持久力が足りない。力も微妙かもしれない。日吉に少し迷惑がかかってしまったかもしれない。


ガイ部長とハーシャ奥様はその様子を呆れた表情で見守っていた。

基本的に2人はちゃんと仕事さえこなしていれば、特に注意しない方針だからやりやすかった。


何度か岩の持ち手を変えたり、持てなくなったら岩を置いて片手だけで棒を押す練習もした。


そうしてその日の仕事が終わると当然のように3人から意図を聞かれた。


「カゲイ。また変なことを始めたな?

お前は一体何がしたいんだ?」


「本当にココは変な事ばかりが日常なのですね。」


「先輩。ついに頭が……。」


酷い言われようだ。

しかし、しっかりした理由もあるんだ。


「俺もこの仕事で多少は力持ちになれたと思っていますからね。それを活かして、ちょっと考えがあるのですよ。

そうですね。多分ガイ部長も力はあるから少しなら出来ると思います。

ちょっと、片腕を肘だけ曲げて、力を入れて固定してくれませんか?」


仕事が終わったばかりの立っているガイ部長に言う通りにお願いした。

ガイ部長は意図が知りたかったのか素直に従ってくれた。


「では、ハーシャ奥様。そのガイ部長の曲がった腕を椅子にして抱き着いて座れませんか?」


ハーシャ奥様は即座に思惑を察して嬉しそうにガイ部長の腕に飛び乗って抱き着いていた。くぐもった声をあげるガイ部長。それでもなんとか気力を振り絞り形になっていた。


要は変則のお姫様だっこである。


ただし、片腕に女性の全体重が乗るので、相当な力が必要になるだろう。現にガイ部長はもう苦しそうだった。その後、数分もしない内にガイ部長はギブアップしていた。


そう。これはミイネの為。


彼女は言っていた。

『生まれつき体が弱く。外へあまり出歩けない。』と。


ならば、俺が彼女の足になればいい。


完全なお姫様だっこだと、周りの視線で恥ずかしい思いをすると思った。

しかし、これなら俺の方が目立つから、まだマシなはず。


片腕だけでだっこするから、もう片方の腕は空く。買い物とかした時の荷物も持てるし、一石二鳥じゃね?と考えたのだ。

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