第56話 お土産
前回と同じような時間に職場まで帰りついた。
早い帰還に一瞬だけ驚きの顔で3人は俺を見る。しかし、今回はしっかりと成果物がある。俺の持つ布を見て、安心したのか普段通りの仕事をしていた。
「先輩!おかえりなさい。
その雰囲気だと、先輩も上手く行ったようですね。」
どうやら嬉しさが顔にがっつり出ていたようだ。
それも仕方がない。
ミイネとの仲はかなり進展したと思う。彼女の優しさにつけ込んだ感はあるものの、そうでもしなければ先へは進めない。俺は奴隷なのだから。
「おう。日吉。ありがとう。
そんな可愛い後輩へプレゼントだ。ありがたく使ってくれ。」
ミイネの店で買ったタオルを2枚渡してあげる。
買った4枚を独り占めするのも考えたが、これから毎月買いに行くのだ。2人で共有した方が皆幸せになると思った。
「良いのですか?」
「ああ。気にせず使ってくれ。また来月買いに行けるからな。」
「そういう事ですか。ありがとうごさいます。
でもガイ部長にはあげなくていいのでしょうか?」
「あー。ガイ部長にか。忘れてたな。
でも要らなくないか?
俺達と一緒に仕事する時も、ハーシャ奥様のタオルがあるだろ?」
「ああ。そういえばそうでしたね。
じぁあ要らないですね。」
「……お前ら。俺に感謝の気持ちはまるで無いのか?」
「いえいえ。いつも感謝してますよ?
でも、女性が作ったタオルをプレゼントしたら……ハーシャ奥様に悪いじゃないですか。」
「カゲイ!素晴らしい判断力ですわ。
ガイ様の周りは私の物です。そう!私だけの物で十分なのですわ!」
「ですよね!
という事でガイ部長。俺からのお土産は無理です。」
「あ、じゃあ、自分が休みの日にシアラちゃんからお弁当作って持ってきましょうか?」
「止めろ!俺を殺す気か?
それに俺はハーシャが居るんだ。無理だな。」
「ウフフ。ガイ様、当然ですわ!
弱ったガイ様の看病も魅力的ですが、お弁当なら私が作ります!」
「という訳だ。カゲイ。お前が食べろよ?」
「えー!ガイ部長。どうして俺になるのですか?」
「え?先輩には、こうしてタオル貰ったし、お返しにと思ったのですが。」
「日吉。大丈夫だ。お前には十分助かってるから。
というか、シアラちゃんの汚料理がどのくらいか分からんし、少し怖いんだ。」
「そうですね。
先輩でも無理かもしれませんね。
課長の奥様よりも手強いですから。」
「そんなにか!?」
「うーん。多分、世界の違いだからじゃないですかね。ココ、魔物の素材も一般的に食べられるみたいですよ。」
「マジかよ!?
ガイ部長、ハーシャ奥様。本当ですか?」
「ああ。食用に使われてる魔物もあるな。」
「あくまで、限られた魔物だけですわ。」
うへぇ。十分ゲテモノ食いだな。
それで汚料理は無理とか、よく言えるな。
そんな事をドン引きしながら思っていたら、日吉が更に続けた。
「そうみたいですね。
でもシアラちゃんには食用とかあまり関係ないようで、アレンジの幅が凄いです!」
なるほどな。
食べられない魔物の素材も料理になるのか。
確かに無理そうだ。
世界の違いとは、そういう事か。
ココはヤバい素材が多すぎるのだな。
それをアレンジの幅が凄いの一言で済ます日吉も相当頭と味覚がおかしい気がする。
本当に日吉はよく死なないでいるな。
【食のモンスター】に震撼させられた。




