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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第55話 ミイネⅢ

「こんな感じでどうかしら?」


ミイネはそう言いながらカウンターに布を置いた。

ちょっとゴワついたまさにバスタオルといった感じで、サイズもそれくらいのが計4枚。


「こんなにいいのか?」


「銀貨2枚なら、この程度よ。何よ?もしかして相場を知らないの?」


「ああ。だから別に騙してくれても良かったんだぞ?」


「客が言うセリフじゃないわよ。フフッ。ホントおかしな人ね。」


「恋の予感だろ?」


「……馬鹿ね。……こんな私の一体どこを気に入ったのか不思議だわ。」


「冗談だろ?世の中の女性を敵に回す気か?

表を歩けば、普通に皆が振り向くだろ。」


「生まれつき体が弱いのよ。

だから走ったりは出来ないし、表を出歩くこともあまり無いわ。」


「そうなのか。男が寄り付かなくて最高だな!」


「それで寄ってきたのが奴隷だなんて……この世の終わりね。」


「恋の始まりだろ?」


「貴方、それを繰り返しても意味無いからね?」


「そうか?最初に比べたら、嫌悪感が少なくなってるように思ってるぞ?」


「ただの慣れよ。」


「まぁ俺は何処からどう見ても、実際にも奴隷だからな。

あまり経験は無いが、周囲の反応を見れば奴隷の扱いはなんとなく想像はつく。

それでもミイネさんは俺を人として、客として見てくれている。こうして話も出来るしな。

誠実で優しい素敵な人だ。

独身っぽいし、俺が奴隷だからと遠慮なんてしていたら、誰かに取られてしまうだろ?」


「……そう。失敗したわ。

でも、どうして私が独身だと思ったのよ。」


「違うのか?左手の薬指に指輪が無かったから、そう思ったんだが?」


「何よそれ。初めて聞い……あっ!アレってそういう意味なのね。

そういえばこの前来たお友達がしていたわ。だからあんなに嬉しそうだったのね。」


「ココにはそういった文化は無いのか。なるほどな。

でも、こうやって話している感じ、男が居ないのは間違ってなかったから問題ないな。」


「……はぁ。そうね。やっぱりダメだわ。こういうのは慣れてなかったからホントに苦手よ。

今度、ちゃんとお友達に教えてもらおうかしら?」


「そうだな。他の男のあしらい方は覚えておいて損はないはずだ。」


「貴方をあしらいたいのよ。」


「なるほど。ならば、毎月ここへ来て練習しないとダメだな。」


「もう何を言っても無駄ね。

……分かったわ。好きにすればいいわ。

そういえば、私の名前を聞いておいて貴方の名前を知らないわ。教えてくれるのよね?」


「いいのか?」


「不本意ながらね。恋の予感じゃないから安心しなさい。」


うーん。

ガイ部長やハーシャ奥様には影井と苗字で呼ばれているが、ミイネには名前で呼んで欲しいな。しかし、シュンスケじゃちょっと変かな?よし!


「俺の名はシュン。シュンと呼んでくれ。」


「そう。分かったわ。覚えたくはないけれど、忘れそうもないわね。」


「ありがとう。じゃあ来月、また布を買いに来るよ。ミイネさん。」


買った布を持って、ミイネに別れを告げる。

結構な時間話していたような気もするし、このぐらいが丁度良いと思った。

あまり長時間拘束させても良い事は無さそうだ。まだ2回目なのだから。


「ええ。期待もしないし、待ってもいないから、またね。シュン。」


相変わらず話す内容は辛辣だが、最後にちゃんと名前を呼んでくれた。

こういう所が本人は気づいていないっぽいが、優しくて可愛らしい部分だ。


やべぇ。超嬉しい。

王城までの帰り道を歩きながら、早く来月にならないかなぁとウキウキしながら帰った。

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