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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第54話 ミイネⅡ

「おお。魔法で変身していたとは。凄いな。こっちに来て初めて魔法を見たよ。」


感心していると、それを鼻で笑われた。


「魔法なんて、何処でも見れるでしょうに。貴方、一体どんな環境で生活しているのよ?

それにコレは魔法というより魔道具の効果ね。

少し前、お友達に変な奴隷が来たと言ったら、防犯用に貸してくれたのよ。

本来は相手を変身させる物らしいけど、いつ来るか分からないから私が変身出来るように変えてもらったのよ。」


「マジか!変な奴隷だって?それは一大事じゃないか!ミイネさん大丈夫なのか?」


「もう……貴方のことよ。分かってて言ってるでしょ?」


「いや、俺以外にも居るかもしれないだろ?こんなに綺麗なんだから。

そのお友達には感謝しなきゃだな。これで他の野郎は寄ってこない。」


「馬鹿な事言わないでよ。奴隷の貴方に寄って来られても私は迷惑よ。

それにココは布屋よ。客もほとんど女性しか来ないわ。」


それなら安心だ。

うんうん頷いていると、ミイネは呆れたのかため息をついて、先ほど俺がカウンターに置いた銀貨を拾った。


「それに貴方!前回といい今回といい、どういうつもりよ!

お金だけ置いて、何も買わないなんて……ご主人様に怒られなかったの?」


「うん?ご主人様?ああ。奴隷だからか。俺にご主人様は居ないぞ?

というかそのお金もお小遣いだから俺の金だしな。自由に使えるんだ。誰かに頼まれた訳じゃない。」


「そう。なら良かっ…いえ、良くないわよ!

貴方、よくそんなので生きてこれたわね。娼館に行ったら騙されるわよ?」


「俺の心配をしてくれるのか?ありがとう。

でも大丈夫だ。娼館は行けないんだ。出禁にされたばかりだからな。」


「ああ。そういうので奴隷になったのね。本当に男って馬鹿よね。」


「いや、一度も行った事は無いんだ。

でも、ついこの前、上司からダメと言われ、恐らく全店出禁にされた。」


「??一体どういう事よ?

もう……貴方と話していると調子が狂って仕方がないわ。」


「なるほど。恋の予感だな?」


「そんな訳無いでしょ。ありえないわ。

それで?丈夫な布で良いのよね?また『君が欲しい』とか言ったら銀貨2枚、叩き返して出禁にするわよ?」


「それは困るな。うん?銀貨2枚?

ああ。前回の分も含めてか。別に良かったのに。

前回は知り合えたとこ、今回は名前を聞けたことで俺は満足しているぞ?」


「ココはそういうお店じゃないの。ちゃんとした布屋よ。

そんな事でお金を貰ってたら気持ち悪くて眠れないわよ。」


「そんなもんなのか?律儀だなぁ。

そうだな。丈夫よりもタオルにしやすい布が欲しいな。」


この店の雰囲気や布のラインナップを見るに、綺麗な布や模様の凝った布が多かった。

丈夫な布だと雑巾になるので、さすがに気が引けた。だからタオル的な物を注文する。


「分かったわ。ちょっと待ってなさい。」


呆れながら、嫌々ながら、そして怒りながらも、なんだかんだ言ってミイネは注文した布を用意しだした。

彼女は俺を奴隷だと言って避けている割には、人として、客として扱ってくれている。

見た目はキツそうに見えるけれど、性根は優しいのだと確信した。


俺の見る目は間違っていなかったと思った。

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