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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第51話 石ソムリエ

その後、抜き打ち検査をされた。


俺達の寝床や水浴び場など、オサイ達の寝床の布で隠していた場所は特にボロボロで、石を使いまくっていたのがバレてめちゃくちゃ怒られた。


だってココ、石ぐらいしか無いのだから。

それを使って何が悪いのだろう?

日常的に使う物はほぼ石製なのだ。

せっけん、歯ブラシ、爪ヤスリ、耳かき……。

色んな物を石を使って賄っていた。

そのどれもが消耗品だ。この世界の石は脆すぎる。


「おいおい。どうすんだよ?コレ……。

設備補強はしたばかりなんだぞ?そんな予算を出してくれるとは思えんな。」


「仕方がありませんわ。ガイ様。

他所から不要な石や岩を集めて、カゲイ達に直させるしか方法は無いかもしれませんわ。」


「クソ。それしか無いか。

ハーシャ。すまん。頼めるか?」


「ええ。お任せ下さい!」


「「ハーシャ奥様!宜しくお願い致します!」」


ガイ部長は色々あって他の人達には頼みにくいらしく、ハーシャ奥様が担当することになった。その為、ハーシャ奥様に念入りに頭を下げる。



翌日から、俺か日吉のどちらか1人が棒を押し、ガイ部長が見張り。残った1人がハーシャ奥様と石集めの営業に出ることに決まった。



1週間もすれば、結構な量も集まったし、流れが出来て、たまに職場まで持ってきてくれる人達も出始めた。


「おお。壮観だな。こんなにも石が集まってくるとはな。」


職場の一角に集められた石が積み上がっており、仕事終わりに眺めていた。


「影井様。今日は掘り出し物が入荷されております。」


そんな俺の前に、日吉が石をシェイクしながら積み上げられた石を背にして向き直る。


「ふむ。まぁ最初の1杯はいつもので頼むよ。日吉ソムリエ。」


「かしこまりました。」


そう言って、積み上げられた石からひとつ取り出し、地面を滑らせて俺の元へ届ける。


「5年物。花壇産でごさいます。」


流れてきた石を受け取り華麗にテイスティング。


「うむ。やはりこのローズの香りは良いね。せっけんにぴったりだ。」


「影井様。せっけんにするなら、こちらが良いかと。」


またひとつの石を、俺の元へ。


「これは!この芳醇な香りは!?」


「25年物。女子更衣室産でごさいます。」


「なんと!これは素晴らしい!よく入荷出来たな?」


「いえいえ、影井様。まだこの程度で驚いては困ります。」


更にもうひとつの石が、俺の元へ。


「なんだ?このツーンとした刺激臭は?」


「18年物。女子トイレ産でごさいます。」


「馬鹿な!?違法じゃないのか!?」



「……おい。変態共。

馬鹿なことやってないで、飯食ってさっさと寝ろ!」


「酷い!ガイ部長!

今からが日吉ソムリエの一番の見どころで、面白いところだったのに!」


急に現実に戻されてガイ部長に抗議を上げたが、日吉ソムリエだけはまだ続けていた。


「影井様。実は更に取っておきがあるのですよ。」


続けて、石を滑らせて俺の元へ。


「これは……!この匂いは……ガイ部長?」


「流石です、影井様!ええ。8年物。ガイ部長の部屋産でございます。」


「買いますわ!いくらですの?」


「ハーシャ!落ち着け!

馬鹿共の相手をしなくてもいいんだ。」


取り乱すハーシャ奥様を抑えるガイ部長。

少しやり過ぎたかもしれないな。

俺と日吉はちょっとだけ反省した。


ちなみに、年代は分からないがガイ部長の部屋産だけは本物だったので、こっそりハーシャ奥様に賄賂として渡した。

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