第50話 石鹸
まったりと残り時間の休日を楽しむ。
いいものだ。
皆が働いてる隣で好き勝手に水浴びしてゆっくりしていた。
ちなみに布が欲しかった訳だが、実際のところ、布はかなりある。
オサイ達や3人の服は綺麗な服を何着か残して全て雑巾やタオルになっていて、雑巾は確かに不足気味だった。
しかし、彼らの服以外の布……。
そう。彼らが使っていた寝床の布があるんだ。
でも、それを雑巾にすることが出来なかった。
先に服から消費しておいて本当に良かった。
理由はハーシャ奥様だ。
彼女が居るから、水浴びの場所や、ひとりでできるもん計画で作ったトイレ以外のトイレ。そして俺達の寝床の場所。それらを隠す必要が出てきた。
ハーシャ奥様は慣れているのか、あまり気にしてはいないが、下手に下品な物をチラつかせると、無意識に鞭が飛んでくる。
よって俺達が気を遣うことになり、オサイ達の寝床の布で仕切って見えなくしているのだ。
そうして、1人水浴びをしたり、まったりと布屋の女性のことを考えていたら、いつの間にか仕事が終わっていて、4人で楽しく夕食を食べた。
先に水浴びをしたので、日吉だけが夕食終わりに水浴びをする。
「あ、日吉。
そういえば、さっき俺が使ったから、『せっけん』が無くなってしまったぞ。」
「マジですか。じゃあ、用意しないとですね!
先輩、見つけてますか?」
「ああ。大丈夫だ。任せろ!」
「なら、お願いします。」
「……おい!ちょっと待て。
お前ら、石鹸だと?どうしてそんなもの持っている?もしかして、ハーシャ。君があげたのか?」
「いいえ。ガイ様。私は知りませんわ。」
困惑している2人を他所に、俺は壁際まで行き、目星をつけていた壁の石をひとつ引っこ抜く。
うんうん。
やはり良い感じで『せっけん』になりそうだ。
その『せっけん』を日吉にポンと投げ渡す。日吉も受け取って『せっけん』を確認し、満足そうに頷いていた。
「ほら、日吉。これならどうよ?」
「流石、先輩ですね。
自分が目星付けてた奴より良さそうですよ!」
ふふん。
先輩としての威厳は保たなければならない。
日頃からしっかり探しておいて良かった。
俺と日吉がうんうん頷いていると、ガイ部長が騒ぎ出した。
「おいおいおいおい!
お前らは頭がおかしくなったのか?いや、元々おかしいな。
違う!そうじゃない!
簡単に壁の石を引っこ抜くなよ!
崩壊したらどうするつもりだ?
それに石じゃねぇか!石鹸じゃねぇぞ?」
「え?ガイ部長。
だってココ、壁や床の岩や石しか無いじゃないですか。
それを有効活用しない手はないじゃないですか?」
「いやいや。言っている意味が分からんぞ!」
これでも理解してくれないのか。
仕方がないな。
「ガイ部長。
私達の元居た世界では『せっけん』とは石で研ぐと書いて『石研』なのですよ。」
120%嘘だが、こうでも言わないと納得しないだろうな。
「なんだと!?ヒヨシ。本当か?」
「ブフッ。先輩。上手いこと言いますね。」
「おい。日吉!
ソコは乗るところだろ?
笑ったら冗談だとすぐにバレ……あっ!あー!!」
結局、ガイ部長とハーシャ奥様からケツバットと鞭の両方でボッコボコにされた。




