第48話 尋問
結局、明彦君と出会って、布屋の女性と……
あっ!名前聞くの忘れた。また来月行った時に聞くとしよう。
そんな布屋の女性と出会って、何も買わずにお小遣いだけ置いて帰ってきてしまった。
まだ昼過ぎにも達していないかもしれない。
しかし、再びうろつこうにもお小遣いは無い。
綺麗な女性に会えただけでも充分満足していたので、そのまま帰ることにした。
職場に戻ると、日吉とガイ部長で押して、ハーシャ奥様が速度管理をしていた。
3人とも俺の早い帰還に驚いていた。
また捕まったのか?
いや、1人で戻ってきたから違うか。
でも手ぶらだし、何か買ってきた訳でもなさそうだ。
という感じで不思議そうに見られた。
『出会った女性に一目惚れしたから、お金を渡して帰ってきた。』
俺の外出内容を簡単に言えばこうなる。
しかし、これをそのまま伝えたところで、笑われるのは目に見えている。
どう説明したら良いだろう?と少し考えていたら、心配したのかガイ部長が押すのを切り上げて日吉1人に任せ、ハーシャ奥様と一緒に俺のところまで来た。
「ガゲイ。一体どうした?何かあったのか?」
「いえ。特に何も。ただお金を使いきったので帰ってきただけですよ。」
「それにしては早いな。大体朝からお店もそんなに開いてないだろ?
朝食を食べたばかりだったし、お前らは普段からあまり量を取らせていないから食べきれないだろ?」
「いえ。何かを食べた訳でも無いです。」
「なんだ?まさか……女か!女に使ったのか?」
ガイ部長は中々鋭い。
ピンポイントで正解だったので言葉に詰まっていると立て続けに責められた。
「おいおい。嘘だろ?
お前、相手の女を絞め殺してないだろうな?
手首とか握り潰してないだろうな?」
「ガイ部長。俺はそんなことしませんよ!
それにそんなことしたら捕まっているじゃないですか!」
「確かにそうだな。
なら何に使った?酒臭い感じも無いし、さっきから歯切れも悪い。
カゲイ。お前、俺の金を一体何に使った?」
ヤバい。濁していたら、掘り起こしてきた。
食事も酒も言い訳に使えない。そして女であることもバレた。逃げ道が無い。
泣く泣く、本当の事を伝えると、ガイ部長は酷く呆れていた。
「……じゃあ何か?
布を買いに行った先で、その店の女性の冗談を真に受け、お金だけ置いて帰ってきた……と?」
「……はい。その通りです。」
「はぁ。お前のことを大馬鹿だと思っていたが、超大馬鹿だったのか。」
「まぁまぁ。ガイ様。
カゲイの気持ちは少しだけですが、分からないでもないですわ。」
ガイ部長は怒りを通り越していたが、ハーシャ奥様からまさかの援護があった。
「!!ハーシャ奥様!分かってくれるのですか!」
「私だって、ガイ様を一日中観察出来るなら、お金を払います!」
「ですよね!それが普通ですよね!」
「ええ。アナタにもそんな人を見つけたのですわね。頑張りなさい。」
「はい!ハーシャ奥様。」
「……ハーシャ。別に俺なんかずっと見てても楽しくはないだろ?」
ガイ部長は少しだけ俺とハーシャ奥様から距離を取っていた。




