第46話 運命
『あなたは、運命を信じますか?』
俺?
俺は運命を信じていない。
だが、運命は存在するかもしれないと思っている。
それを信じていると言う?
ところが違うんだ。
このファンタジー世界に来る前の、元の世界でだが、そこまで昔じゃないある日だった。
普通に寝ていたんだ。
寝る前に感動モノのドラマを観たり、そういった本を読んでいた訳でもなく、普通に寝ていた。
夢を見た。
俺はある女性と結ばれる夢だった。それはそれは幸せな日々だった。しかし、何かに巻き込まれ、若くして一緒に死んだ。どう死んだかまでは覚えていない。夢だしな。
そして、時が流れたのか別の俺となって、また女性と結ばれた。最初の女性とはちょっと違う感じの雰囲気だが、結ばれた瞬間にお互いに気づいた。あの時の愛しい人だと。
しかし、またもや今度は戦争中みたいな感じになって、遮蔽物に2人で身を潜め、抱き合って隠れていた。
「もう俺達は助からない。でも次も必ず君を見つけ出す!だから!」
そう言って爆発に巻き込まれて一緒に死んだ。
そんな、ありきたりの映画のような夢だった。
それ自体、何処にでもあるかもしれない普通の出来事だ。
しかし、そこからが異常だった。
夢で2回目に死んだ瞬間、飛び起きた。
人生で初めてだったかもしれない。本当に飛び起きたんだ。
目を開くと同時に上半身が不自然に起き上がったんだ。
「見つけなきゃ……。絶対に探し出すんだ……!」
飛び起きた俺はそう呟いていた。
呟いた後ようやく俺を取り戻した。
そう。俺じゃない何かが俺を動かしていた。そんな感じがしっくりきた。
その後、勝手に動いたり喋ったりする俺自身が怖くなり、あまりの気持ち悪さにトイレで吐いた。
……という出来事を体験したんだ。
運命はあるかもしれないだろ?
でも、信じてはいない。
何故なら、夢で会った女性の顔が分からないんだ。
いや、覚えていない。思い出せないのかもしれない。
ツメが甘いだろ?まぁ夢だしな。
だから、信じようがないだろ?
昔の彼女かもしれない。まだ出会ってないのかもしれない。
そんなしょうもない事で俺の人生を翻弄されたくない。
運命だから……とか考えても仕方がないんだ。
何故、こんな話をするのか?
運命と言うと結局信じてるじゃん!ってなるか。
なので、別の言葉で言うならば、一目惚れしたんだ。
明彦君の紹介で行った布屋の女性に。




