◆第40話◆ 追加配備
重厚な扉を前にして、身なりと精神と呼吸を整える。仕事終わりに急いでここまで来た。
今日はいつもと違う。
なんとヒューメル大隊長からお呼びがかかったのだ。
そして、意を決してノックする。
「夜分に申し訳御座いません。ガイ・マートン、只今参りました。」
暫くの沈黙の後、「入れ。」と端的に返答があったので、直ぐに部屋へと入る。
部屋の主である、ヒューメル大隊長はやや御機嫌な様子で椅子に座っていた。
「ガイか。待たせたな。
お前以外にあの場を任せれる者が居ないので、移動は無しだ。だが、追加配備という形でようやく決まったぞ。
おめでとう。同僚が出来るんだ。これでお前も好きなだけ休日が取れるぞ。」
「!!本当ですか!?」
「ああ。呼んであるから、もうすぐこちらへ来るだろう。」
おお。
流石、大隊長だ。
あの化け物共と同じ空間に居られる猛者を見つけ出すとは。
扱いづらい奴隷や態度の悪い監視員達を一手に纏めているだけはあるな。
そんな感激で大隊長を尊敬していたら、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「入れ。」とヒューメル大隊長が声をかけると、ノックの主が入ってきた。
え?
ハーシャじゃないか。
え?
そんな……まさか……?
「ハーシャ・コーキン。只今参りました。」
「おう。ご苦労さん。話は聞いているな?」
「はい!ガイ様と同じ管轄に移動と聞いて、急いで馳せ参じました!」
「うむ。今後ともガイ共々、宜しく頼むぞ。」
「はい!任せてください!」
「待ってください!大隊長!
何故?ハーシャが??」
「ふむ。何、たまたまだよ。」
そんな訳がない!
ハーシャが入り浸るようになったとはいえ、タイミングが不自然だ。
しかも、大隊長は知らないはずなのに……彼女が来る時間帯に大隊長と鉢合わせていないのだから。
何処で知った?
いや、それよりも……。
「大隊長。自分は左遷されて、あの仕事になりました。ハーシャは何も問題を起こしてないはずです!」
「ああ。それか。俺の方にも話は上がってるぞ?
ウチのアレに騎士達はケンカを売ったらしいな。その馬鹿で可哀想な騎士達は怪我を負ったそうじゃないか。その管理責任として、彼女は移動になったのだ。」
クソが。
なんだその取ってつけたような理由は!
「……いや、しかし!」
「……ガイ様。そんなに私と一緒に仕事をされるのは嫌なのですか?」
「そんな事は無い!寧ろ個人的には嬉しく思う。だが!それでは君は……」
「では、よろしいのではないでしょうか?
私もガイ様と同じ仕事で嬉しいのです。いえ、私はその為に騎士団に入りました。私は本望です。」
「うんうん。お前達ならば、大丈夫そうだな。
今後もしっかり頼むぞ!」
ヒューメル大隊長は機嫌が良さそうに何度も頷き、俺のことをスルーして話をまとめてしまった。




