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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第3話 慣れ

【初日】


「日吉。とにかく終わりが分からん。最初に飛ばすと酷い目に会うぞ?」


「そうですね。いつもの仕事ですね。分かりました。」


終わりの見えない仕事量は俺達の会社では日常茶飯事だ。悲しいかな慣れている。


やるべき事は言葉が分からなくても、見れば分かる。棒を押すだけ。


無心で押した。考えて仕事していた会社よりも楽だった。


初日は多分、夜で終了した。

地下室なので、時間がわからん。でも24時間やらされることは無いと知って、2人で喜んだ。


しかし、俺も日吉もあの会社での生活が染み付いている。バリバリのインドア派になっていた。



【2日目】


「日吉。動けるか?」


「無理です。筋肉痛がヤバいです!」


「ああ。俺もだ。事前と事後にストレッチやマッサージは必須だな。」


「ですね。先輩。今からやっておきましょうか?」


「まだ始まるまで時間ありそうだし、そうしよう。」



【3日目】


「先輩。やっぱり体のケアって大事なんですね!全然楽ですよ。」


「そうだな。これなら、しばらくはやっていけそうだ。」




日々が経つにつれて、俺も日吉もこの環境に慣れていった。


そして……


【7日目】


「先輩。重大なことに気づいたのですが、いいですか?」


「ああ。俺もだ。」


「じぁあ、一緒に発表しますか?いっせーの……」



「「会社の仕事よりも、ここの仕事の方が楽!」」




「……。」


「……。」


「先輩。」


「なんだ?」


「自分達、奴隷なんですよね?」


「ああ。多分、そうだな。」


「じゃあ、元の世界では、奴隷以下だっ……」


「日吉!それ以上、喋るな!……悲しくなるだろ?」


「だって……!

先輩。こんなの馬鹿みたいじゃないですか!?」


日吉は叫びながら泣いていた。

日吉を慰めながら、俺も泣いた。



この環境を見れば分かる。前の世界よりも遥かに文明レベルが低い。精密機器なんて見た事がない。機械ですら、この設備が機械といっていいのか微妙なところだ。大体、動力が人力ってことすら前の世界では有り得ない。


それなのにだ。

遥かに文明レベルが高かった前の世界の会社生活よりも、今の奴隷生活の方が楽なんだ。


「そういう事もあるさ。

むしろ、あの地獄を抜け出したんだ。良かったと思うしかないだろ?」


「先輩。そうですね。

ポジティブシンキングって奴ですね。」


地獄で教わったことを、ちゃっかり言うなよ。


「日吉。お前も相当毒されてたんだな。」

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