第33話 弱点
「さて、思うところは色々あるが、補強作業で仕事は出来ん。外出は終わったが、休日が終わった訳では無いからな。お前達もゆっくり休んだらどうだ?」
ガイ部長は慰めてきた。
「ガイ部長!
どうせガイ部長も休みになるから喜んでるだけですよね?口元が笑ってますよ?」
「ウグッ。仕方がないだろ。
お前らと違って俺はまだ休みすらないのだぞ?
寧ろそんな俺を褒め称えるのが普通だろ!」
「まぁそうですね。すみませんでした。
でも、夕食はどうなるのですか?
ガイ部長が持ってきてくれないと、自分達食べられないですよ?」
「チッ。それがあったか。
しょうがない。食堂に案内するから、着いてこい。今から夕食分貰っておけばいいだろ。」
「あっ!その前に、ガイ部長。
1つお願いがあるのですが、ちょっとした運動出来る場所はないでしょうか?」
「先輩?スポーツが趣味でしたっけ?」
「いや、そうじゃない。
ちょっと外出して気づいた事があってな。それの検証だ。」
「ブフッ。あんなに短い時間だったのに?」
「うるせぇ!日吉。お前も多分関係あるぞ?
俺達の致命的な弱点が判明したかもしれんのだ。」
「なんだと!?お前らの弱点だと?
よし!分かった。今すぐに行こう。着いてこい。」
何故かガイ部長が乗り気になって、グイグイきた。そんな部長に連れられて王城の中にある広場に着いた。
中心で兵士の格好をした人達が何かワチャワチャやってるので、訓練場かもしれない。
その訓練場の端っこを借りて、俺、日吉、ガイ部長は並ぶ。
「それで?カゲイ。
お前らの弱点とはなんだ?」
「はい。日吉。ちょっと、あの場所まで走ってみてくれないか?」
そう言って、遠くの方にあった的当て用の木が立っている場所を指さして伝えた。
「うっす!走るなんて久しぶりですね。
サクッと戻ってきますね!
じゃあ、行ってきまーー……すぅ?」
やる気満々の日吉は無駄にクラウチングスタートの構えまでして飛び出したはいいが、すぐに盛大に転んだ。
「イテテテ。コケちゃいました。」
てへぺろしてる日吉はスルーして、ガイ部長に報告する。
「これが俺達の弱点です。
あの仕事ばかりし過ぎて、俺達は真っ直ぐに走れなくなりました。
歩く分には問題ないのですが、力を込めるとどうしても仕事のクセが出るのだと思います。それで回ってしまい、真っ直ぐ走ろうとすると足が絡まって転けます。」
「先輩。それ本当ですか?」
「多分な。だから絡まれた時、逃げれなかったんだ。」
そう言って、俺も走ってみるが、やはり曲がってしまう。無理に真っ直ぐにしようとすると足が絡まってやはり転けた。
その後、俺も日吉も何度も走ったが、ダメだった。
「分かりましたか?これが俺達の弱点です。」
「お前ら……。それ……弱点になるのか?」
ちゃんと説明をしたにも関わらず、ガイ部長は何故か腑に落ちない感じだった。
「どうでしょう?
でも急ぎの時とか、使い物にならないでしょうね。」
「ああ。そういう……なるほどな。
弱点といえば、弱点か。」
「先輩。これ逆回転にしてもらえば、直るのですかね?」
「分からん。逆方向に曲がるようになるかもな。」
「お前ら。それは無理だな。
今、補強作業してる最中だから、もしその機能を組み込むとしても、また次の機会だろうな。」
「次の補強作業の時には是非お願いします!」
「ああ。伝えておくさ。
俺もたまに手伝ってるからな。このまま行くとお前らと同じになるかもしれん。」
ガイ部長はしんみりと頷き、了承してくれた。
本当にガイ部長は優しくて頼りになるなぁ。




