第32話 初めての外Ⅱ
翌日のお昼過ぎ。
予定通り補強作業で仕事は中断し、俺達が居ても業者には邪魔だろうと、ガイ部長に連れられて別の倉庫みたいな部屋へ案内された。
そこで、昨日に引き続き反省会だ。
「……ガイ部長。俺は何が悪かったんでしょうか?」
「カゲイ。……運が悪かったんだ。もう諦めろ。」
「ブフッ。ガイ部長。ストレートに言い過ぎです。先輩が泣いちゃいますよ?」
「うるせぇ!仕方がないだろ?
日吉も同じ状況になってみろ!どうしようもないだろ……。」
俺の外出は……
ほぼ10分も掛からずに終わってしまった。
日吉と同じようにガイ部長に見送られて王城の門を出た。日吉1人じゃ心配だと、ガイ部長は即座に戻って行った。
街並みを見渡しつつ、のんびり歩いていただけなんだ。
そしたら、すぐに武器を持った者達に絡まれた。
よく分からんけど彼らは苛立っていた。その苛立ちを俺にぶつけてきた。
要するに外出開始早々、まだオヤジの年齢じゃないけど、オヤジ狩りにあったのだ。
超怖かった。
お星様になったイカつい監視員達は、仕事だからとあまり意識してなかった。彼らの罵声は俺達の仕事振りが良くなかったからであり、それはそういう仕事なのだと割り切っていた。
俺だって日吉や他の後輩に怒ることもあったからな。
しかし、日常は別だ。
怖いものは怖い。
バカでかい声で威圧される度にビクッと体が縮こまる。
しかも相手は刃物を持っていた。震え上がっても仕方ないだろ?
ケンカですら、子供の頃に数度した程度。
勝つ負ける以前に、やる気すら起こらなかった。
とにかく、よく分からないけど平謝りした。土下座もした。
めちゃくちゃ笑われたが、それで終わるなら良いと思った。しかし、終わらなかった。彼らは金を集ってきた。所持金はガイ部長から貰った銀貨1枚だけ。流石にそれを渡す訳にはいかない。
おどおどしながらも、震える声で断ったら、彼らの内の1人が殴りかかってきた。
怖くて目をつぶるも、衝撃は一向にこなかった。恐る恐る目を開くと殴りかかって来た奴が拳を抑えて蹲っていた。
今が逃げるチャンス!と思って、駆け出した。
しかし、すぐに転んだ。躓いた?いや、足が絡まったんだ。
この時、衝撃な事実を知った。後で確認と検証をしないと。しかし、悠長に考え事してる場合じゃない。
盛大に転んだ俺と、激怒した表情で迫る彼ら。
ヤバい!リンチに合うと思って体を亀のように縮こまって耐えようとした。しかし、またもそれらしき衝撃は来なかった。
暫くしてひょっこり顔を上げると、全員が俺の周りで倒れていた。そのすぐ近くに俺を心配そうに見つめる男性が居た。
なんとその男性が助けてくれたのだ!
ありがたい。
立ち上がって、その男性にお礼とガイ部長のお小遣いを謝礼として渡した。無一文になるが、感謝のお返しをしないとダメだと思った。
そうこうしていると、警察官みたいな人達が来た。事情を聞こうと俺達に話しかけていた。
助けた男性が俺を指さして言った。
「この奴隷がやりました。」
え?貴方がやったんでしょ?
俺が虐められたから助けました。で良くね?
警察官は、
「またお前か。2日続けて騒ぎを起こすとは、いい度胸だな?」
とうんざりしながらも、怒ってきた。
昨日は俺じゃねぇ!
日吉だろ?
何を言っても聞き耳を持ってくれず。
……御用となった。




