第31話 自由Ⅱ
『国家公務員』
なんて素晴らしい響きなのだろうか。
国が運営する為の仕事をする者。
よって、ちょっとやそっとじゃ潰れる事は無い。
民営化されたり、国が滅亡したら無くなるが、そんな事は滅多に起こりえない。
しかも、この世界なら更にグレードが上だ。
この証がある限りクビを切られることも無いらしいのだ。
業績や勤務態度を問われる心配も無い。
ただただ棒を押すだけで良いんだ。仕事内容も簡単だろ?
確かに死ぬまで仕事をしなければならないのはキツいかもしれない。
しかし、そんな事はまだまだ先。俺も日吉も20代だからな。2人で協力し合えば数十年は楽勝だろう。
前の世界では、不況により会社が潰れるかもしれないとか、リストラされるかもしれないとか、日頃から常に将来の不安と背中合わせだった。
何十年も先の不安よりも、目先の不安が大きかった。
例え、キリキリ死ぬ気で働いても、クビを言い渡されるのは一瞬。そして、生活はガラリと変わる。恐れない方がどうかしている。
そういった事が無いんだ。
申し訳無さそうに言うガイ部長には分からないかもしれないが、俺と日吉にはそれが良い事だった。
そういえば、こうして奴隷になってみて気づいた事がある。
オサイ達が憧れた『自由』。
自由とは、本当に素晴らしいものなのか?
というか、本当に自由というものがあるのか?
人の世で生活する際、自由に生きれば必然と周りにも影響を及ぼす。
だから、周りに迷惑を掛けないように、法やマナーを守り、周囲に合わせたり、自分自身でその責任を負ったりするんだ。
これが『自由』なのか?
勿論、その中で自由に生きれば良いだけかもしれない。
それが『自由』なのか?
なぁ。自由にやりたい事出来てるか?
寧ろ、自由にやりたい事あるのか?
何かを目指し、夢破れてなんて、どこにでも転がっている。
諦めた者。
必死にしがみつく者。
その選択すらも『自由』か。
もしかしたら、誰もが自由な世界……それは悲しい世界なのかもしれない。
まぁ『自由』も人それぞれ。その考え方も人それぞれか。
そんな俺と日吉は奴隷になった。奴隷として日々キツい仕事をこなしている。
でも、今は割と好き勝手にやらせてもらえている。
これは自由なのではないだろうか?
俺達は奴隷。『自由』とは正反対の『不自由』の極みに居るはずなのにだ。
その一番の要因はガイ部長なのだろう。
この人が居るから俺達は自由だ。
俺も日吉もそう思っていた。
「とにかく。今、俺達は楽しんでますよ!ガイ部長。」
「先輩。そうですね。
ガイ部長のお陰でもあるのですから、自分達の事で申し訳無い気持ちにならなくて良いですよ!」
「……お前ら。」
「これからも、俺や日吉と頑張っていきましょうね!」
「そうですよ!自分達が死ぬまでガイ部長に見守ってもらわないとですね!」
「……フッ。そいつは勘弁して欲しいな。」
「「えーー!?」」




